アメリカでは平均週5回は「家族全員で夕食」
共働き世帯の増加や食生活の変化、情報化社会の発展などに伴い、日本ではいわゆる「孤食」「個食」が社会問題視されつつある。海外では似たような話は持ち上がっているのだろうか、「孤食」の問題はクローズアップされているのだろうか。一つの事例として、先日(2013年12月)アメリカの大手民間調査機関ギャラップ社が発表した、同国の「家族そろっての夕食に関する調査」の結果を見ていくことにしよう。
それによれば、少なくともこの15年位の間では食のスタイルの上での変化は無く、毎日家族皆で夕食を取る世帯が過半数、高頻度が3割、半数以下が2割程度の割合を示している。平均値は5.1回/週。
属性別で差異を見ても、大きな違いは無い。
強いて言えば既婚者ほど回数は多く、未婚者ほど少ない。生活の安定度合による両親の多忙さによるものだろう。多忙さで回数が減ると仮定すれば、雇用形態別でフルタイム労働者の方が頻度がやや低くなるのも説明が可能となる。
今件はあくまでも「18歳以下の子供がいる夫婦世帯」に限定した調査結果。例えば「夫婦だけ」「片親のみ」の世帯における食卓状況までは分からない。しかしアメリカにおける夕食の孤食状況を推し量る貴重なデータとして、覚えておいても損はなかろう。
ちなみに日本でも似たような調査が、直近でもいくつか実施されている。例えば2013年11月にパルシステム生活協同組合連合会から発表された「家族の食卓に関する調査2013」によると、夕食を毎回必ず囲む世帯は36.2%となっている(「「毎日必ず夕食を家族で」は36%、出来ない理由は「夫の仕事」」)。概算平均回数を算出すると、4.5回/週。上記ギャラップ社によるアメリカの結果と比べると、0.6回ほど少ない。
日本はアメリカと比べると、夕食においては多少ながらも「家族そろって食卓を囲む」頻度は低いようだ。
もっともこのような調査が行われていること自体を見るに、あるいはアメリカでも、食事における家族間のコミュニケーションについて、同じような問題を抱えているのかもしれない。今調査の原文タイトルも「Most U.S. Families Still Routinely Dine Together at Home(多くのアメリカ世帯では”今なお”自宅で日常的に家族揃って夕食をとっている)」とあり、家族皆で食事をとらない場面が増えている、少なくとも問題視されていることを示唆するものとなっている。その点でも、懸念がうかがいしれよう。
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