お金持ちほどネット利用…アメリカ年末商戦動向
米年末商戦の購入先にも表れる世代間格差
アメリカの年末商戦は感謝祭の翌日にあたる11月第4金曜日からスタートする。この日は消費者の消費性向が急上昇し、ようやく小売店が黒字になることから、ブラックフライデーと呼ばれている(同時に感謝祭関連商品の在庫処分的セールも混じっている)。またオンラインショップなどでは感謝祭明けの月曜日に売り上げが急増し、年末商戦がスタートすることからサイバーマンデーと呼称されている。
アメリカの調査機関ギャラップ社では2013年12月に、どのような購入ルートを用いて今年の年末用の買物をするかについて尋ねた調査結果を発表している(質問をしたのはブラックフライデー直前)。具体的にはオンライン、デパート、ディスカウントストア、専門店、カタログ通販と5つの買い物ルートを提示し、それぞれを年末商戦のお買物で、どれ程使うかを「とてもよく使う」「それなりに使う」「あまり使わない」「全然使わない」の4選択肢の中から一つ選んでもらっている。次以降のグラフは、そのうち「とてもよく使う」の回答率を示したもの。要は「年末商戦で多用するショップ」という次第。
世代別動向を見ると、カタログ通販を除けば若年層ほど各ルートでの購入性向が高い。複数の購入ルートを用い、積極的にプレゼントなどを購入している。安売り機会を狙い、自分自身へのギフトを購入する事例も多いだろう。
一方でリアル店舗、具体的にはデパートやディスカウントストアにおける世代別変化と比べると、オンラインでの世代間格差は大きい。これは実店舗への来店の積極さ以上に、普段からのオンラインショップの利用性向の違いが大きいことが要因。高齢者にはやや面倒でも技術的困難の無いデパートへ足を運んで品定めをするより、使い慣れないオンラインショップで商品を選択して購入する方がハードルは高い。
また専門店もオンラインと似たような世代間格差が確認できる。これは商品購入時の面倒くささが高齢者に嫌われているものと考えられる。つまり一つ一つ専門の店で購入するより、デパートのような多種多様な商品が揃っている場所で、一度にまとめて購入することで、出回る機会を減らせるという次第である。
高年収者ほどオンラインストアを愛用
年収別に区分し精査すると次のようなグラフが生成される。特にオンラインストアで年収による差異が著しい。
デパート・専門店・カタログ通販では年収による差異はほとんどない。オンラインストアでは高年収ほど高利用、ディスカウントストアでは低年収ほど高利用との形で大きな差が出ている。前者はインターネットの環境整備状況や利用頻度による慣れの違い、さらには年収に合った高額商品の選択がしやすい、喧騒に巻き込まれなくて済むという理由から。後者は商品選択の際に重要視するポイント(価格の安さを最優先)、そして普段良く使うか否かによって差が生じているものと考えれば道理は通る。
2007年夏の金融危機に始まる先の不況に伴い、富裕層でもディスカウントストアを常用する機会が増えたという話は良く見聞きする(一例:「この頃アメリカで流行っている「トレードダウン」という考え方」)。しかし年に一度のお祭り騒ぎ的なクリスマス商戦においては、騒ぎを嫌うことを優先するようだ。
スマートフォンやタブレット機の普及に連れ、オンラインストアを使う機会は今後も加速度的に増加していく。無論デパートやディスカウントストアが利用されなくなることは無いが、オンライン経由で年末商戦の買物をする人はますます増加し、サイバーマンデーにおける売上は年々増加していくに違いない。
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