大学生はこづかいを何に使っているのか
こづかい消費対象は「友人との交流」「マンガ」
学業への注力は当然の話だが、自在にアルバイトが出来、自由に自分のために使えるお金を確保できる、人生で一番お金に関するフリーハンドを得られる時期かもしれない大学生時代。そのような時期に大学生達は、何に対してお金を消費しているのだろうか。
次以降のグラフは東京工芸大学が2013年10月に発表した、4年制大学に在学する人を対象に行った調査結果を基に生成したものだが、それによれば大学生がもっとも自分のこづかいを費やしている対象は「友人との交流」だった。7割近くの人が「友達付合いにこづかいを(ある程度頻繁に)使っている」と答えている。無論、非回答者が友達との交流で一切金銭を消費していないというわけではない。
「交流」の具体的中身は記述されていないが、ちょっとした飲み食いや買い物の付き合いなど、イベントへの参加など、細々とした出費が想定できる。さらに「交流」の手法そのものも指定が無いことから、インターネット上での付き合いも該当するのだろう。
次いで多いのは「マンガ」。定期購入雑誌以外に気に入った連載の単行本を購入、友人やネット上で薦められて新刊を購入する事例など、マンガ好きなら購入機会は多い。昨今ではサイト上でボタンを数回押すだけで注文が出来るため、衝動買いは留まるところを知らない。「書籍」は第8位に甘んじているところを見ると、読書性向の上でもマンガの方が優先順位は高い。
「貯金」が第4位についていることに意外さを覚える人もいるかもしれない。余剰費のすべてを充てているわけではないが、「余ったお金を貯金に回す」という心掛けをする大学生が多い実態には注目したい。
外から内へと変わるこづかい消費
大学生のこづかい消費傾向は昔も今も変わらないのだろうか。そこで現在30代・40代で、以前大学生だった人に同じ質問(当時の様子を思い出してもらう)を行い、現役との比較をした結果が次のグラフ。
この10年から20年ほどの間で大きく変化した環境といえばインターネット周り。しかしネット関連は元々ほとんど追加コストを必要とせず、余剰費を投入する必要性は薄く、両者間にほとんど差異は見られない。唯一挙がっている「携帯・スマホ」は、有料アプリ、あるいは課金系ゲームだろうか。
大きな変化は「マンガ」「ゲーム」「ファッション・美容」などの本人自身が楽しむタイプの娯楽の増加。そして「貯金」もまた、本人の利益という視点では他の上位項目と変わらない(あるいは「より堅実になった」「将来を達観している」という見方もある)。
一方「飲み会・コンパ」「恋人・異性との交流」のような他人との利益の交流、「音楽鑑賞・オーディオ機器」「自動車・バイク関連」など高額を消費する娯楽は大きく減少している。大学生の娯楽、消費性向に小さからぬ変化が生じているのが見て取れる。
なお「恋人・異性との交流」については、金銭面だけでなく、自由時間の消費対象としても、減少傾向にある。
異性関係はインターネットの普及で、普段の連絡はネット経由で行うなどの理由により「お金も使わず、合う機会も少ない」というドライな様式に変化している場合もある。しかしながら時間もお金も消費をケチっているのではなく、単に消費する対象が居ないので、消費することができず、結果として回答率が減少している可能性も否定できない。つまり昔と比べて今の大学生は、異性との付き合いに疎くなっている……のかもしれない。
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