10年で早寝早起き化する乳幼児
10年前と比べて早寝早起きになった乳幼児
おもちゃの高機能化、ゲームやスマートフォン、タブレット機の浸透などによる映像メディアの発達、情報の多様化・桁違いの増加により、子供を取り巻く環境も大きな変化を遂げている。それにつれて好奇心旺盛な子供も、昔と比べると夜更かしをするようになった……そう考えている人も多いのではないだろうか。
次のグラフはNHK放送文化研究所が2013年9月に発表した「2013年幼児生活時間調査」の概要を基に作成したもの。2013年3月と、10年前の2003年に幼稚園児の起床時刻帯・就寝時刻帯における、「寝ている子供」の割合。例えば0630-0645(午前6時半から45分)の2013年の睡眠値は80%とあるので、この時間帯に寝ている幼稚園児は80%、起きているのは20%ということになる。この値が高いほど、寝ている割合が高い。
夜半部分でややイレギュラーを見せるが、概して10年前と比べると幼稚園児は早起き(朝、同時間帯では寝ている率が低い)、早寝(夜、同時間帯では寝ている率が高い)となっている。理由は色々と考えられるが、起床時間だけでなく就寝時間も早くなっている点を見ると、母親側の就労事情もいくぶんはあるが、むしろ健康志向の増加によるものの影響が大きいのだろう。10年の間に母親の就労時間が長期化し、早起きを強要されるのなら、同時に母親の帰宅時間も遅くなり、子供の就寝時間も後ろにずれこみがちとなるはずだからだ。
また、この「早寝早起き化」は幼稚園児だけでなく、保育園児、さらには未就学児でも同様に起きている。乳幼児全体の傾向と見て間違いない。
生活リズムが異なる幼稚園児と保育園児
やや余談になるが。それでは夕方前に退園する幼稚園児と、概して夕方以降夜まで園に留まる保育園児との間で、起床や就寝時刻にはどのような違いがあるだろうか(未就園児は多分に幼い子供が多く、幼稚園児・保育園児とは比較しにくいため、今件では考慮外とする)。
仮に朝の時間帯で寝ている乳幼児が50%を切る、つまり起きたのが50%を超えたタイミングを「標準起床時刻」とすると、幼稚園児と保育園児は共に午前7時から7時15分。しかし細かい時間別動向を見ると、全般的に保育園児の方が早起きとなっている。これは子供の特性上によるものではなく、保護者、特に母親の事情によるものだろう。保育園通いをさせている母親の方が、長時間労働をしている割合が高く(だからこそ幼稚園よりも預かり時間の長い保育園に子供を通わせている)、結果として家事の時間を少しでも長く取るために、朝も早起きとなる。子供にもより早起きをさせねばならなくなる。
一方、夜の時間帯で仮に寝ている乳幼児率が50%を超えるタイミングを「標準就寝時刻」とすると、幼稚園児と未就園児は午後9時から15分、保育園児は午後9時半から45分になる。幼稚園児の方が保育園児よりも30分ほど就寝時間が早い。
保育園児は夜遅くなると一部立ち位置が幼稚園児と逆転するものの、夜更かしをする傾向がある。多分に乳幼児本人の希望によるものではなく、保護者の勤務状況に伴う理由によるものだと考えられる。母親は夕方以降にパートから帰宅し、それから夕食の準備や各種家事を行うことになる。当然時間はかかり、子供への対応も遅れてしまう。
さらに保育園児は幼稚園児よりも早起きでもある。結果として睡眠時間が短くなるわけで、睡眠時間の不足が気になるところだ。
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