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日本ゴルフ界のエース、松山英樹にとって「重要なチャレンジ」になる

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 日本の男子ゴルフ界のエース、松山英樹が、今週、重要なチャレンジに挑もうとしている。

 松山がPGAツアーの正式メンバーとして参戦を開始したのは2014年シーズンからだったが、彼はそのルーキーイヤーに早々にシーズンエンドのプレーオフ・シリーズへ進出。そして、フェデックスカップ・ランキングのトップ30のみに限定される最終戦のツアー選手権出場を果たした。

 以後、松山は昨年まで9年連続で、そのツアー選手権に出場し続けてきたが、今季はプレーオフ・シリーズ第1戦のフェデックス・セント・ジュード選手権が今週8月10日から開幕しようとしている現段階でランク57位。トップ30どころか、トップ50にも入っておらず、プレーオフ第2戦のBMW選手権も最終戦のツアー選手権も、出場できるかどうかは未確定の状況にある。

 とはいえ、松山には、まだまだ起死回生の可能性が残されている。

 今週から始まるプレーオフ・シリーズ3試合では、先週までのレギュラーシーズンの大会で付与されたポイントの4倍が授けられる。レギュラーシーズンでは優勝者には500ポイントが付与されていたが、プレーオフ・シリーズで優勝すれば、一気に2000ポイントが得られる。2位以下でも同様に高得点が見込めるため、優勝あるいは上位入りができれば、ランキングは大きく動くことになる。

 もちろん、松山がジャンプアップできる可能性があるということは、逆に他選手がジャンプアップして松山が一気に突き落とされる可能性と背中合わせではあるが、そこは勝負の世界。文字通り、一か八かの大勝負になる。

 松山が現在のフェデックスカップ・ランキング57位を今週のプレーオフ第1戦終了後に50位以内にアップさせることができれば、第2戦のBMW選手権に進むことができ、その先にあるツアー選手権出場への道も開けてくる。

 だが、このトップ50入りには、それ以外にも大きな意味がある。

 今季から創設された賞金総額2000万ドル級の「格上げ大会」は、来季は「シグネチャー・イベント」と名称があらためられた上で、予選落ち無しのシグネチャー・イベントが合計8試合、開催される。

 今季のフェデックスカップ・ランキングでトップ50入りしてBMW選手権進出を果たした選手には、来季のこのシグネチャー・イベント8試合への出場も、その時点で確約されるのである。

 もしも第1戦終了後にトップ50入りができなかったとしても、プレーオフ・シリーズ終了後のフォール・シーズンの大会でさらにポイントを稼ぎ、ランクアップするチャンスもまだ残されてはいるが、あれこれ先延ばしになるより、できるだけ早い段階で決められるものは決めて、すっきりしたいのは、松山もファンも同じなのではないだろうか。

 これまで9年間、連続してプレーオフ・シリーズすべてに出場してきた松山にとって、第2戦への進出をかけて背水の陣で第1戦に挑む今週は、きわめて重要なビッグ・チャレンジになる。

「10年ひと昔」というフレーズがあるが、まさに10年目の試練。なんとか乗り越え、10年連続のツアー選手権進出を果たしてほしい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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