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アメリカを目指す日本の男子ゴルファーに朗報!?予選会(QT)上位5名「いきなりPGAツアーへ」の道

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 男子プロゴルフの最高峰、PGAツアーを目指す日本ツアーの選手にとって願ってもない朗報が舞い込んだ。

 クォリファイング・トーナメント(QT)、米国では通称「Qスクール」と呼ばれる予選会でトップ5に入れば、下部ツアーでの最低1シーズンの下積み期間を経ずして、「いきなりPGAツアー選手になれる」登竜門が今年の12月から設置される見込みであることが、米ゴルフウィーク誌によって報じられた。

 PGAツアーの歴史を遡れば、かつてのQスクールは、文字通り、一発勝負の登竜門だった。

 プロ転向したばかりの初々しいゴルファーも、はたまたプロキャリアはすでに10数年という苦労人的な選手も、どこの国のどのツアーを主戦場にしていようとも、世界ランキングが何位であろうとも、エントリーして挑戦し、規定された順位以内に入りさえすれば、翌年からは、いきなりPGAツアー選手になることができた。

 これまでPGAツアーに参戦した日本人選手の多くは、この一発勝負の登竜門としてのQスクールを潜り抜けてPGAツアー選手になった。水巻善典も、田中秀道も、丸山大輔も、そうだった。

 しかし、その後、下部ツアーなど下部組織の充実を図ろうと考えたPGAツアーは、2013年からPGAツアーに通じるシステムを大幅変更し、QスクールはPGAツアーではなく下部ツアーへの登竜門に変わった。

 たとえば、日本ツアーの選手がPGAツアーの正式メンバーになるためには、まずQスクールに挑み、そこでトップ40に食い込んで下部ツアーであるコーンフェリーツアーの出場資格を手に入れ、コーンフェリーツアーで腕を磨いた上でPGAツアーへ昇格するという具合に、「Qスクール → 下部ツアー → PGAツアー」という順路を経る必要があった。

 だが、この長い順路をショートカットする「狭き門」が今年から設置されるという。

 まだPGAツアーからの正式な発表はされていないが、米ゴルフウィーク誌によれば、今年12月に実施されるQスクールからは、トップ5に食い込んだ選手にPGAツアーへの出場資格が付与されることになるという。

 Qスクールの会場として予定されているのは、PGAツアーの本部がある米フロリダ州ポンテべドラビーチのTPCソーグラスとその近郊のソーグラス・カントリークラブの2コース。

 米ゴルフウィーク誌はソーグラス・カントリークラブの社長が同クラブのメンバーたちに宛てて送ったレターを入手したそうで、そのレターには「我がクラブにPGAツアーがQスクール会場となってほしいと言ってアプローチしてきた」といった経緯とともに、TPCソーグラスで85名、ソーグラスCCで85名、合計170名が競い合うといった具体的な人数も示され、「PGAツアーはQスクールをテレビ中継を行なうイベントに昇格させる」とも記されていたという。

 Qスクールから「いきなりPGAツアー選手」になれるのは、わずか5名。狭き門ではあるが、下部ツアーを経由することなく、PGAツアーに直接つながる登竜門ができること、いや正確に言えば、一発勝負の登竜門が10年ぶりに復活することは、PGAツアーで戦うことを渇望している日本の若い選手たちにとっては、何よりのビッグニュースに違いない。

 是非とも挑戦し、トップ5に食い込んで、最短ルートでPGAツアーに辿り着いてほしい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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