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「PGAツアーvsリブゴルフ」の法廷闘争はオーガスタ・ナショナルなどを巻き込み、さらなる泥沼化!

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

 ゴルフ界を大揺れさせている「PGAツアー対リブゴルフ」の法廷闘争は、両者の対立にとどまらず、米国開催のメジャー大会主催者すべてを巻き込んで、さらに泥沼化していることが、初めて確認された。

 米ウォールストリート・ジャーナル紙によると、米司法省は、マスターズを主催するオーガスタ・ナショナル、全米プロを主催するPGAオブ・アメリカ、全米オープンを主催するUSGA(全米ゴルフ協会)に対し、反トラスト法(独占禁止法)違反に関する捜査をすでに行なっているとのこと。

 米司法省、オーガスタ・ナショナル、PGAオブ・アメリカは、いずれも同紙の取材に対してノーコメントの姿勢を見せているが、USGAの関係者は米司法省から捜査対象とされていること、全面的に協力する意向であることを確認したという。

 一連の法廷闘争の始まりは、リブゴルフが創設されたことだった。

 サウジアラビアの政府系ファンドの支援を受け、グレッグ・ノーマンがリブゴルフを創設したのは今年6月のこと。ロンドン郊外でリブゴルフ初戦が開催され、初日の第1打を打った直後、PGAツアーはリブゴルフに参加したPGAツアー選手に資格停止処分を科した。

 これに対し、リブゴルフの大会に出場したことでPGAツアーのメンバーシップを停止された17名が「PGAツアーは独裁的、独占的なパワーを不当に行使している」としてPGAツアーを提訴した。今回明らかにされたメジャー大会主催3団体に対する捜査は、その延長線上で浮上し、開始されたものと見られている。

 原告組の17名は、その後、徐々に訴えを取り下げる選手が原告組から抜け、現在では3名まで減っているが、そうした動きと入れ替わるようにリブゴルフ自身が原告に加わるという変化が見られた。

 一方で、PGAツアーはリブゴルフによって不当な損失を被ったとして、リブゴルフを逆提訴しており、双方の訴えを審議する初公判は北カリフォルニア連邦裁判所で2024年1月8日に予定されている。

 また、PGAツアーは今月10月にリブゴルフを支援しているサウジアラビアのPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)とサウジアラビア政府を提訴しており、こちらの裁判はニューヨーク州の連邦裁判所で行なわれることになる。

 こうしたPGAツアーとリブゴルフの二重三重の裁判に加え、今度はオーガスタ・ナショナル、PGAオブ・アメリカ、USGAを巻き込んでいる法廷闘争は、一体どんな決着を見るのかが注目される。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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