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ゴルフ界を揺らしたミケルソン問題発言を今度はノーマンが批判。最大の被害者はミケルソン自身!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

今年6月から新ツアー「リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズ」を創始しようとしているグレッグ・ノーマンが、米ESPNのインタビューに答え、ロンドンで開催予定の同ツアー初戦にすでにエントリーしているフィル・ミケルソンを批判した。

「リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズ」は年間8試合から成るツアーとされているが、ノーマンいわく、「フィルの2月の問題発言は、我々が年間14試合のツアーを始めようとしていた矢先に報じられ、あの発言が大騒動となったことで、我々は大きな痛手を受けた。フィルの発言はPGAツアーを傷つけ、我々を傷つけ、ゴルフというゲームを傷つけ、そしてフィルを傷つけた。誰に対してもネガティブな流れを作り出した」

ミケルソンの発言とは、PGAツアーを「欲深い人々」、ノーマン率いるサウジアラビアの新ツアーを「恐ろしい人々」などと侮蔑的に表したもので、それが問題視され、ミケルソンは即座にほぼすべてのスポンサー契約を失った。そしてミケルソンは公けの場から姿を消した。

そんなミケルソンの失墜ぶりを間近に眺める形になったことが「我々のツアーに大いなるダメージをもたらした」と、ノーマンはミケルソンを批判したのである。

とはいえ、今回のインタビューでノーマンは、すでに英国紙テレグラフなどを通じて報じられた内容とは少々異なる内容を語り、それらはどれも既報より「望ましい状態」を示すものばかりだった。

たとえば、既報では、「リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズ」初戦には、48名の出場枠を上回る「70名がエントリー」とされていたが、今回のインタビューでは「200名がエントリー」と上方修正した。

また、「エントリーした中には、世界ランキングのトップ100のうち15名が含まれる」とされていたが、ノーマンは「トップ50のうち15名。元世界ランキング1位が2名いる」と、精鋭揃いであるかのように語った。

それにしても、やっぱり気になるのは、ノーマンから批判されたミケルソンの行く末だ。英国紙テレグラフや複数の英国メディアによれば、ミケルソンはノーマンのツアーの初戦のみならず、全8試合に出場するという内容の契約をすでに交わし、3000万ドル(約38億5000万円の前払金もすでに受け取っていると報じられている。

それらがすべて真実であれば、PGAツアーからは出場停止にとどまらず、メンバーシップ剥奪などの厳罰に処される可能性もある。その一方で、新ツアーを率いるノーマンからは大っぴらに批判されてしまったミケルソンは、果たして、今後、どんな道を歩むことになるのか。

ディフェンディング・チャンピオンとして臨む全米プロ、グランドスラムの悲願をかけて挑む全米オープンには、どちらもエントリー済みだが、PGAツアーがミケルソンのメンバーシップを停止や剥奪とした場合、その状況をPGAオブ・アメリカやUSGAが重く見て、ミケルソンの出場を認めない可能性を、米メディアも想定し始めている。

ノーマンはミケルソンの発言でダメージを受けたと批判したが、結局、最大のダメージを被るのは、ノーマンも指摘したように、ミケルソン自身となりそうである。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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