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タイガー・ウッズがマスターズに出る!?「オーガスタで練習ラウンド」の目撃証言にゴルフ界が騒然

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
2020年大会以降、ウッズはマスターズに出ていない(写真:ロイター/アフロ)

 昨年2月の交通事故で右足に重傷を負って以来、戦線から離れ、リハビリに励んできたタイガー・ウッズが、3月29日(火)の朝(米国時間)、「長男チャーリーくんを伴ってオーガスタ・ナショナルに現れ、練習ラウンドを行なった」という目撃証言が得られたことを、複数の米メディアがブレイキング・ニュースとして報じると、来たる4月7日に開幕する今年のマスターズに「ウッズが出るかもしれない」という期待が一気に高まり、米国、いや世界のゴルフ界が騒然となっている。

 その後、さらなる証言を得た米ESPNは、ウッズのフロリダの自宅の「ご近所さん」であり、ツアー仲間でもあり、親友でもあるジャスティン・トーマスも「ウッズ、チャーリーとともにオーガスタ・ナショナルの全18ホールを回った」と報じた。練習ラウンドを終えたウッズは「いい感じだ」と満足の言を口にしたという、

【出場者リストに名前がある!?】

 「タイガー・ウッズがマスターズに出るかもしれない」という噂は、ここ最近、ファンや関係者の間で、ずっと囁かれ続けてきた。

 というのも、マスターズを主催するオーガスタ・ナショナルが公開しているホームページ上の出場者リストには「Tiger Woods」の名前が掲載されているからだ。

 マスターズ5勝のウッズは、「過去の優勝者」として、毎年マスターズに出場する資格を有しており、彼が「出ない」と明言するまでは、彼の名前は出場者リストに載り続ける。しかし、ウッズが「出ない」と明言すれば、彼の名前は「今年の大会でプレーしない過去の優勝者」のリストに移される。

 ウッズの名前がいまなお出場者リストにあることは、彼がいまなお「出ない」とは言っていないこと、出るかもしれないこと、出るか出ないかを決めかねている状態にあることを物語っている。だからこそ、「ウッズはマスターズに出るかも?」と囁かれ続けている。

【最近までの経緯】

 昨年2月の交通事故以来、ウッズが出場した試合は、昨年12月の「親子大会」PNCチャンピオンシップのみである。長男チャーリーくんとともに同大会に臨んだウッズは、瀕死の重傷を負ったあの事故からわずか10か月とは思えないほどのスムーズなスイングと巧みな小技を披露し、世界を驚かせた。

 しかし、2日間36ホールの「お楽しみ大会」を乗用カートで回ったPNCチャンピオンシップは「世界のトッププレーヤーを相手に激しく競い合うツアーとでは、まったく異なる」と冷静に現実を見つめたウッズは、「ツアー復帰は、まだまだ遠い」「まずは歩いて4日間72ホールを回ることが最大の課題」と語っていた。

 今年2月に開催されたジェネシス招待で大会ホストを務めた際も、起伏に富むオーガスタ・ナショナルは、ツアー競技の中でも歩いて回ることがタフなコースなのだと語ったウッズは「ただ出ても意味はない。他の選手たちを倒せる、勝てるという自信が持てない限りは、家で足を鍛える。それが僕だ」と言い切った。

 厳しい表情でそう言ったウッズが、今年のマスターズに選手として臨むことは「さすがに難しいだろう」という見方に多くの米メディアや関係者が頷いていた。

【動きを見せていた最近のウッズ】

 だが、ここ最近のウッズは、「出場する」ことを否定しないまま、相棒キャディのジョー・ラカバを伴い、フロリダの自宅近くのホームコース「メダリスト・クラブ」で、しばしば「歩いて」練習ラウンドを行なっている姿が目撃されており、「ウッズはオーガスタを歩き通せるかどうか、マスターズを戦えるかどうかを、必死に試しているのでは?」と見られていた。

 その矢先の29日の午前9時、ウッズのプライベートジェットがフロリダのローカル空港を飛び立ち、9時30分ごろにオーガスタのローカル空港へ降り立ったことが、パパラッチや熱狂ファンによって即座に伝えられると、まず米ゴルフ界が騒然となり、米メディアが色めき立った。

 とはいえ、ウッズがオーガスタ・ナショナルで練習ラウンドを行なったことが、イコール、今年のマスターズにプレーヤーとして出場することを意味しているわけではない。

 現状では、マスターズ・ウィークの火曜日に昨年覇者の松山英樹が主催する「チャンピオンズ・ディナー」にウッズが出席することだけは確実とされているが、水曜日のパー3コンテストにウッズが参加するかどうかも、まだ明かされていない。

 そして、過去の優勝者であるウッズは、プレーヤーとしてマスターズに出場するとしても、事前にエントリーを行なう必要はなく、それゆえエントリーのデッドラインも設定されてはいない。極端に言えば、大会初日ギリギリまで出場するか否かの決断を保留することも可能だが、現実的には「マスターズ・ウィークが始まる以前」、つまり今週中に意思表示をすると米メディアは見ている。

 マスターズ出場となれば、文字通り、奇跡の戦線復帰となる。「いやいや、それはさすがに難しい」と思える一方で、「ウッズならば」とも思える。

 だからこそ、ウッズの練習ラウンドのニュースは、ビッグニュースとなって世界を駆け巡っている。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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