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ゴルフ界のレジェンド、ミケルソン、マスターズ出場を拒否され、出版予定の2種類の本で、さらに堕ちる!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

ゴルフ界のレジェンド、フィル・ミケルソンが「八方塞がり」の状況に陥っている。

サウジの新ツアー創設構想に絡んで発した言葉が問題視され、長年のスポンサーを次々に失ったミケルソンは、2月半ばに発言を謝罪し、一時休養を宣言して以来、姿をひそめている。

すでにPGAツアーから出場停止処分を受けていると見られているミケルソンの名前は、来たる4月7日からのマスターズの出場者リストから外れており、当初は出場停止処分中だからだろうと見られていたが、オーガスタ・ナショナルから「来ないでほしい」と強く言い渡されていたことが米国の複数のメディアによって確認された。

ミケルソンの問題発言は、米国のゴルフライターが自著を出版するために昨年11月にミケルソンに取材した際の会話が今年2月に明かされ、問題化したもの。

サウジ側の人々のことを「恐ろしい人々」、PGAツアーのことを「欲深い人々」と、双方に対して侮蔑的に表し、その際、社会人として口にすべきではない英語も発していた。

オーガスタ・ナショナルは、そうしたミケルソンの一連の言動を問題視し、インビテーショナル(招待)大会であるマスターズに、そんな人物を招きたくはないという意志を示したものと見られている。

問題発言を含んだその本は今年5月に出版される予定だが、実を言えば、それ以上に世間を騒がせると見られているもう1つの本が今年12月に出版予定だそうだ。

その本は、かつてミケルソンの「ギャンブルの友」だったと言われるビリー・ウォルター氏が米国のジャーナリストと共著で出版を予定しているもので、そのウォルター氏は2017年にインサイダー取引で43ミリオン(約51億円)を不当に得たとされ、有罪判決を受けて5年間の刑務所生活となった。

ウォルター氏は「ミケルソンも2012年に93万ドル超の利益を得た」と主張。その際、ミケルソンは無言で10万ドルを支払ったとされており、その「謎の支払い」は、いまなお謎のままだが、その謎解きが本の中で明かされるのではないかと見られている。

さらに、ウォルター氏は「ミケルソンはかつて私に2ミリオン以上、ギャンブル代を借金していた」とも明かしているそうだ。

どこまでが真実なのかは、本人のみぞ知るところだが、もはやPGAツアー仲間からミケルソンを弁護しよう、助けようという動きが皆無なところが、もの悲しい。

マスターズに出られないミケルソンが、昨年、50歳にしてメジャー最年長優勝を果たした5月の全米プロに出るのかどうか、出られるのかどうかは、ファンとしては気になるところであろう。

しかし、米メディアはすでにこんな厳しい言葉を綴っている。

「もはや、ミケルソンは次にどの試合に出るかではなく、これからどうやって(生きて)いくのかが疑問だ」

ゴルフ界にはいられなくなるという意味である。ゴルフ界のレジェンドがどんどん堕ちていくことが、あまりにも悲しい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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