米ツアーの人気選手が「お金次第」で新ツアーへ移籍!?マネーゲームに揺れるゴルフ界

(写真:ロイター/アフロ)

ゴルフの世界では信じられないようなことが起こるもので「何だって起こりうる」「不可能はない」とは、世界一の米PGAツアーが掲げてきたスローガンでもあるのだが、今、そのフレーズが自身に降りかかりつつあり、緊張感が漂っている。

米ツアーに対抗する新ツアー、PGL(プレミア・ゴルフ・リーグ)が米ツアーの人気選手たちに総額30~50ミリオンダラー(約32~54億円)の大金を積んで熱烈なオファーを送っており、その中には世界ナンバー1のダスティン・ジョンソンや話題が尽きないブライソン・デシャンボー、メジャーに強いブルックス・ケプカ、長年の人気を誇るアダム・スコットやリッキー・ファウラー、ジャスティン・ローズらが含まれていることがわかった。英紙「ザ・テレグラフ」の第一報を受け、米誌「ゴルフウィーク」が報じた。

PGL(プレミア・ゴルフ・リーグ)と名付けられた新ツアーは年間18試合を開催予定。そのうちの10試合は米国が戦いの舞台になると言われている。

各試合とも1試合の賞金総額は10ミリオン(約11億円)という超高額。一昨年に日本で開催されたZOZOチャンピオンシップと同等規模の高額大会が年間を通じて開催されることになる。

試合形式は個人戦とチーム戦の双方があり、個人戦は3日間大会で予選カットは行なわず、世界のトッププレーヤーばかり48人が腕を競い合う。チーム戦は4人1組、合計12組が世界一を競い合うという構想。2022年からの開始が予定されている。

きわめて具体的な上、米ツアーと日程的に重なり、ふんだんな「サウジ・マネー」が資金源と言われている高額賞金の魅力は米ツアーに勝るとも劣らない。

さすがに米ツアーのジェイ・モナハン会長も黙ってはいられなくなり、「我がPGAツアーと新ツアーの両方のメンバーになることはできない」と記したメモを選手たちに回して釘を刺し、警戒している。

そして米ツアーは昨年11月に欧州ツアーと戦略的提携を結んだ。これは欧州ツアーのTV制作やウエブコンテンツ制作を行なう「欧州ツアープロダクション」の株式を米ツアーが取得し、米ツアーのジェイ・モナハン会長が欧州ツアーの理事会のメンバーに加わること、ツアーの日程や賞金、ポイント配分、試合出場の条件に関しても米欧両ツアーが協力体制を取っていくといった内容の、いわば部分的な提携だが、その根本には一致団結してPGLに対抗するという目的がある。

さらに米ツアーは今年4月には「プレーヤー・インパクト・プログラム」なる新たなボーナス制度を創設した。これは、試合の成績ではなく、選手の人気や注目度、スポンサーやツアーへの貢献度などに応じてビッグボーナスを支給するというもの。その人気度と貢献度を数値化してランク付けを行ない、シーズン終了時の上位10名に総額40ミリオン(=4000万ドル、約43億2000万円)のボーナスを授けるという。見事1位に輝いた「超人気者」が獲得するボーナスは最高額の8ミリオン(=800万ドル、約8億6400万円)となる。

こんなふうに米ツアーは米ツアーで選手たちがPGLへ流出しないよう、あの手この手を尽くしているのだが、潤沢な資金を擁しているであろうPGLは、ビッグマネーをちらつかせながら人気選手たちの獲得作戦を行なっている。

PGLの“ネゴシエーター(交渉人)”は米ツアーの人気選手たちが大勢暮らしているフロリダ南部に数か月に亘って滞在しながら、日々、交渉を続けているとも報じれており、「お金次第だ」「10億ならあり得るな」と“移籍”を示唆している声も聞かれるという。

事態はまさに「マネーゲーム」の様相。米ツアーのジェイ・モナハン会長は今週のウエルスファーゴ選手権会場に向かい、米ツアー選手たちと話をすると見られており、その内容と選手たちの反応が注目される。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米後、米ツアー選手と直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を発信している。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年から米国から日本に拠点を移す。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送(月〜金、12時55分から13時)、静岡放送(日曜、朝7時30分から7時45分)、山梨放送(月〜金17時25分から17時30分)で放送。

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