マスターズ初日、松山英樹の2位タイ発進を支えた「当たり前」の要因

(写真:ロイター/アフロ)

マスターズ初日が終わり、史上4人目の連覇を狙うダスティン・ジョンソンは2オーバー、74と苦しみ、30位タイ。

昨年大会で意気込みすぎて体調不良に陥り、不調に終わったブライソン・デシャンボーは「今年こそは」とやっぱり意気込み、4オーバー、76。このところ不調続きのローリー・マキロイも、やっぱり振るわず、4オーバー、76と苦しんで、60位タイと出遅れた。

アンダーパーは12人、60台で回ったのは、わずか3人。この数字は、この日のオーガスタ・ナショナルが、いかに難しいコンディションであったかを示している。

そんな中、松山英樹は1イーグル、2バーディー、1ボギーの3アンダー、69で回り、2位タイの好発進を切った。そう、松山こそはこの日60台で回ったわずか3人の中の1人となった。

「これだけグリーンがタフな中で、流れが悪くなりそうなところで(パットが)入ってくれたのが良かった」

好ラウンドのカギはパットだったと振り返った。今年でマスターズ出場10回目となる松山は、今年ほど硬くて速いグリーンはこれまで見たことがなく、自分にとっては新しいコースのようだとも語っていた。

そのグリーン上で、彼のパットは確かに冴え渡っていた。2番では5メートルを沈めてバーディーを先行させ、8番は7メートルのイーグルパットを沈め、13番はチップショットをミスヒットしたものの、次なるバーディーパットを沈めた。パットの冴えがもたらした2位タイ発進だったことは間違いない。

だが、それはあくまでもスコアリングの決め手であって、彼の好発進をもたらした最大の要因は、彼のラウンドの全体的な安定性だったのではないだろうか。

2番でティショットを左に曲げ、パインストローの上から足を滑らせながらも打った第2打でしっかりフェアウエイの好位置へ出し、第3打を着実にグリーン上に置いた。だからバーディートライができたのだ。

8番のイーグルもフェアウエイを捉えたドライバーショットとグリーンをしっかり捉えた第2打があったからこそだった。

13番はティショットで手を放したが、フェアウエイを捉え、クリークに入ってもおかしくなかった第2打が助かるというラックに恵まれ、3打目のチップはミスヒットではあったが、どれもケガをしそうでしなかった。だからこそ、バーディーパットを打つことができた。

そうやって言葉にすると当たり前に聞こえることが、信じがたい硬さや速さのオーガスタ・ナショナルでは当たり前ではなくなってしまう。

「フツウなら当たり前」が当たり前ではなくなる場所で、当たり前のようにプレーできるかどうかがマスターズでは問われる。

それをまず2番でしっかりやってのけた松山のこの日の初バーディーを目にしたとき、今日の松山は行くだろうと直感的に思った。

「(ボギーを喫した)17番以外は、いいプレーができた」

そう、パットはもちろん良かったが、ショットや攻め方、すべてを含め、全体的に良かったという「当たり前」ができたことのほうが大きかったのだ。

ディフェンディング・チャンプながらやや出遅れたジョンソンは、「グリーンはとても固くて速かった」と言いながらも、自身の出遅れた最大の要因は「風」だと言った。グッドショットが風にやられたこと。これもまた「当たり前」のように聞こえるが、やっぱりパットがすべてではない。

すでに米メディアは「ジャパン・ダブル」と謡っている。開幕前に開催されたオーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権で優勝した梶谷翼に続き、松山が勝てば、「ジャパニーズがダブルで優勝か!?」

しかし、まだ初日。あと3日間、何が起こるかはわからず、当たり前のことが当たり前ではなくなって、何だって起こりうるのがオーガスタという場所だ。

この日、首位を走っていた松山をジャスティン・ローズが抜き去り、65という快スコアをマークして、4打も上を行く7アンダー、単独首位でフィニッシュしたように、すごいことが起こりうるのがマスターズだ。

明日以降、残る3日間、まったく目が離せない。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米後、米ツアー選手と直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を発信している。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年から米国から日本に拠点を移す。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送(月〜金、12時55分から13時)、静岡放送(日曜、朝7時30分から7時45分)、山梨放送(月〜金17時25分から17時30分)で放送。

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