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健やかな肉体、地道な姿勢が生み出した爆発力のあるゴルフでタイガー・ウッズ首位タイ発進

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
いい感じで振れるようになったというウッズ 。健康な肉体こそがカギだ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

「6アンダーなんて期待してなかったんだけど」

 ホールアウトしたタイガー・ウッズが真顔で言った。3連続ボギーのバッド・スタートとなった初日。先行きに暗雲が立ち込めたが、そこから先は、9バーディーを奪って巻き返し、首位タイでフィニッシュ。その戦い方は、さすが王者の貫禄だった。

 巻き返すことができたのは「とにかく1つでも2つでもいいからアンダーにしよう」という地道な作戦が功を奏したことだ。普通なら躓いたからこそ無理をしたくなるものだが、百戦錬磨のウッズはどんなときも冷静に自身の「今日のゴルフ」を見つめ、分析していた。

「アイアンの調子は練習のときと同様にいい感じで打てていた。それを継続していければと思いながらプレーしていた」

 スタートホールから大観衆が押し寄せた初日。ウッズの一打一打に一喜一憂するところは、日本のギャラリーもアメリカのギャラリーも同じだが、喜怒哀楽を激しく表現するアメリカのギャラリーに比べると、日本のギャラリーの応援の仕方は、かなりおとなしい。

 ウッズをフォローする大群にしては、むしろ静かだという印象だったが、むしろウッズは「日本のファンは素晴らしい。とても励みになった」と、日本のファンの声援を喜んでいた。

 今、ウッズの肉体の状態が改善されていることが、この日の首位発進につながったのだろう。昨季のウッズの最後の試合となったBMW選手権のときは「左膝の痛みをかばっていたことが腰にも来ていた」。そのせいで、パッティングのラインを読むためにしゃがむことすらできなかったことを明かした。

 だが、8月に受けた左膝の手術のおかげで、今では「体をうまく回してスイングできる」。

 心配されるのは今後の天候だけだ。明日2日目は激しい雨の予報が出ており、不規則進行になる可能性は高い。

「長い週末になりそうだ」

 長くとも、地道に足元を見つめ、乗り越える。そんなウッズの戦意が伝わってきた。 

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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