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10月9日、伝説のロックの地 日比谷野音で “雨あがりの夜空に” 再び

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
1986年@野音での仲井戸麗市 photo by おおくぼひさこ
1986年@野音での仲井戸麗市 photo by おおくぼひさこ

●記憶に残る伝説的なコンサートを生み出し続けた日比谷野音

日比谷野外大音楽堂に思い入れの強い音楽ファンは多い。RCサクセションやARB、THE MODS、ストリート・スライダース、THE BLUE HEARTSなど様々なバンドが伝説を残してきたライブ空間だ。

1986年@野音での仲井戸麗市 photo by おおくぼひさこ
1986年@野音での仲井戸麗市 photo by おおくぼひさこ

東京ドームや横浜アリーナ、武道館とはまた違う、キャパ3,000人というアーティストとオーディエンスの距離感の絶妙な音楽空間。都心のど真ん中でありながらも緑溢れる森(公園)のなかという独特のシチュエーション。屋外ということもあり、暑さ、寒さ、雨など、“筋書きのないドラマを生み出す天候という自然演出”もあってか、とかく記憶に残りやすい伝説的なコンサートを生み出し続けてきた。日比谷野音は、バンドマンにとってのパワースポットだと思う。

●日比谷野音にまつわるBOφWY結成秘話

80年代初頭、BOφWY結成前に上京した氷室京介は、思うようにいかなかった前身バンドでの活動に挫折し、故郷高崎に帰ろうとしたことがある。しかし、最後のつもりで観に行ったというRCサクセションの日比谷野音でのステージを観て奮起し、新バンド構想を思いつき当時はライバル関係であった布袋寅泰を誘った結果、BOφWY結成へ至ったという。レジェンダリーなロックバンドの魂の継承が今もなお、日比谷野音では行われ続けているのかもしれない。

●名曲として歌いつがれるスタンダード「雨あがりの夜空に」

RCサクセションは、1981年5月30日に行った日比谷野音での伝説のステージ『PLEASE ROCK ME OUT』をライブ盤としてリリースしている。この時、ラストに奏でたナンバーが1980年1月21日にリリースした名曲「雨あがりの夜空に」だった。忌野清志郎と仲井戸麗市による共作ナンバーだ。

あれから36年がたった。RCサクセションは解散し、忌野清志郎はもういない。しかし、2017年の今でもロックフェスやイベントなどで、出演バンドが最後にみんなで集まってセッションする際に選ばれる名曲として「雨あがりの夜空に」は定番化している。楽曲は、歌い語りつがれている。

1976年生まれの筆者が、後追いで「雨あがりの夜空に」を知ったのは、1990年のクリスマスに行われたNHKの音楽番組『POPS & ROCK SPECIAL LIVE'89』だった。バンドブーム当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったユニコーンとJUN SKY WALKER(S)が「雨あがりの夜空に」をセッションしたのがきっかけだ。録画したビデオテープが擦り切れるぐらいに何度も観たものだ。その後も、様々なイベントやフェスで「雨あがりの夜空に」が歌われ続けている現場に出くわしている。「雨あがりの夜空に」は、日本ロック界で確実にスタンダードとなった、歌い継がれる名曲といえるだろう。

●日比谷野音『雨あがりの夜空に 2017』開催へ

そんな歴史ある日比谷野音で、RCサクセションのギタリストだった仲井戸麗市がCHABO BANDとして『雨あがりの夜空に 2017』をタイトルにワンマン・ライブを行う。メンバーは、CHABOこと仲井戸麗市(Vo・G)、早川岳晴(B)、河村“カースケ”智康(Dr)、Dr.kyOn(Key)。さらに梅津和時(A・SAX)、片山広明(T・SAX)という日本音楽シーンにおける鉄壁の最強メンツだ。当時のシングル・ジャケットを彷彿とさせる告知ポスターにもこだわりを感じられドキッとさせられた。

当日は、仲井戸"CHABO"麗市 67th Birthday LIVEでもあるという。そこで、一昨年2015年リリースされた最新アルバム『CHABO』のリリースの際に取材させていただいたご縁で、CHABOさんに”日比谷野外大音楽堂の思い出のテキスト”を寄稿していただいた。日本が誇るロックンロール・レジェンドによる日比谷野音でのステージが今から楽しみだ。

●特別寄稿:仲井戸麗市による日比谷野音の思い出

1960年代、地元新宿を彷徨いていた少年にとって、銀座〜日比谷界隈は、ちょっとハイカラな大人のムードってな香りの街であった。日比谷図書館にもたまに行ってたっけ、勿論読書、勉強のためなんかであるはずはない、女の子と知り合えるチャンスがあるかも、なーんてな理由だ。その図書館に隣接する「野音」......。1969年(だったと思う)「10円コンサート」なんてな欧米のFree・concertを模したLiveを体験したのが、野音初体験だったろうか......記憶があいまい、バラバラだが、以来客としても様々なLiveを体験している。

自身のステージとしての初体験は、70年代初期「古井戸」としてであったと思う。その後、ある時の古井戸のステージ、マンドリンを弾くために座った事が敗因か、泥酔状態の俺は本番中に居眠りしてしまったぁ......なんぞという汚点も残している(笑)。以降各時代、様々なLiveで野音体験、CHABO BANDワンマンでのステージ、同じく90年代麗蘭としてのステージも忘れがたい...。

そして多くの思い出、想い、感慨にあふれるのはRCサクセションとしての「恒例の夏の野音」である。やがてRCが活動をストップして......1994年忌野キヨシローと再会を果たしたのも「グラッツド・オール・オーバー」と名付けた「夏の野音」であった......。

日比谷野音は...思えば「夏」との関わりのイメージの象徴みたいなものであったのかも知れない...「夏」それは文字どうりの季節としての夏、あるいは「人生における夏」なーんてな意味あい、フィーリング、風景であったりするのかも...うんぬんかんぬん...だ。

今年2017年10月9日 CHABO BANDとしてその野音のステージに立つ。

季節としての夏はとっくに過ぎてはいるが、「イメージとしての夏」に自分自身。そして来てくれるみんなと共に再会できれば......

なーんぞとハッパかけてる日夜であります......。 

Oh yeah! 『雨あがりの夜空に2017』

仲井戸“CHABO”麗市

1986年@野音での仲井戸麗市 photo by おおくぼひさこ
1986年@野音での仲井戸麗市 photo by おおくぼひさこ

仲井戸“CHABO”麗市 公式サイト

http://www.up-down.com/020chabo/02150news/hotnews.html#LIVE

<LIVE INFO>

CHABO BAND『雨あがりの夜空に2017』CHABO 67th Birthday LIVE

メンバー:仲井戸麗市(Vo.G)・早川岳晴(Ba)・河村"カースケ"智康(Dr)・Dr.kyOn(Key) with 梅津和時(A.Sax)・片山広明(T.Sax)

日程:2017年10月9日(月・祝)OPEN 16時15分 / START 17時

会場:日比谷野外大音楽堂(雨天決行・荒天中止)

http://www.livefans.jp/special/chabo-yaon

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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