歌手であり4人の子を持つサラリーマン、「home」続編が話題の木山裕策に聞く子育ての秘密
つい先日、父の日といえば思い出したのが、4人の子の父親であり歌手の木山裕策さんでした。家族の絆が希薄になりがちな時代のなか、サラリーマンを続けながら人間愛を歌い上げてきたシンガーです。
2008年に『第59回NHK紅白歌合戦』に「home」で出場したことを覚えてらっしゃる方も多いことでしょう。そんな木山さんが、この春にカバーアルバム『F 守りたい君へ』をリリース。本作には、名だたる有名カバー曲のなかに、1曲だけオリジナル曲が収録されています。それが「home」の続編を描いた新曲「旅立ち〜home2016」でした。幼かった息子が、20歳を迎え巣立っていく様をリアルに描いたナンバー。いわゆる「home」から8年を経過した楽曲となっています。そこで、木山さんに楽曲の制作秘話を聞いてみました。
●「旅立ち〜home 2016〜」誕生秘話とは?
「『home』と『旅立ち〜home 2016〜』は、音楽プロデューサーの多胡邦夫さんに作っていただきました。『home』の頃は、とにかく子どもが可愛くてて、毎日大変だけど寝顔を見ているだけで明日もがんばろうと思えるような幸せを歌っていました。今回の『旅立ち〜home 2016〜』では、だいぶ時間が経ちまして、一番上の子が20歳を迎えて、子育ての形も変わってきて、彼自身も自分の道をみつけて旅立っていく時期のなか、親としてどんなメッセージを伝えることができるのか?という思いを込めた曲になっています。」
●夢を叶えるという生き方を貫けた理由とは?
「計算をしていないだけだと思うんです。もともと脚本家になりたかったのですが、その夢は叶わずでしたから。子どもが生まれた頃から、人生ってコントロールできないことを知りました。ハプニングをできるかぎり楽しく受け入れる生き方を学んだんですね。生活は大変でしたけど、子どもは可愛かったんですよ。なので、いっぱいいた方が楽しいっていう考えでした。生活費のことを計算していたら4人もつくらなかったでしょうし(笑)。無計画な人生を受け入れて楽しむという生き方ですね。歌手になれたのも、36歳の頃に、甲状腺がんになって、自分の声を残しておきたいと思ったからなんです。」
●子育てで大事にしていることとは?
「最初から親な人なんていないですよね。子どもといっしょに育っていくわけですから。僕が大事にしていることは、子どもにあれこれ言わないことですね。自分で考えさせるようにしています。親の指示を待っているような子どもを育てたら、自分がいなくなったら迷ってしまうと思うんです。僕自身は親からいろいろ言われた世代でした。でも、その通りにはならなかったですから(苦笑)。仕事も歌も、自分の好きなことを選んで生きてきた人生です。でも、歌のオーディションも最初は不合格だったんですよ。ダメだった姿、そこからチャンスをもらって必死でがんばっていく姿、なんとかデビューできた姿。歌もなんですけど、日常生活でもカッコつけないようにしています。大人になるというのは、じぶんでいろいろ選ぶことができて楽しいことなんだよって、言葉だけではなく背中で伝わっていけばいいなと思っています。」
●カバーアルバム『F 守りたい君へ』の選曲について
「タイトルの『F 守りたい君へ』の“F”には、FatherとFamilyという2つの意味があります。カバー曲の中で、一番思いが強いのは、中島みゆきさんの『誕生』です。子どもが生まれたときに外国では『Welcome!』って言うらしいんですよ。いい言葉だなと思って。つらいことや悲しいことがあっても生まれたときはみんな『Welcome!』って迎えられたはずだから、その時のことを思い出してほしい。もし、思い出せないんだったら私があなたに言ってあげるからっていう前向きなメッセージが素晴らしいですね。あと、僕にしては珍しくアップテンポなナオト・インティライミさんの曲『今のキミを忘れない』は、クリス・ハートさんとデュエットさせてもらっています。一言でいうと、聴いて元気付けられるような曲を今回は選んでいます。馬場俊英さんの『スタートライン』もそうですね。僕自身は静かな暗い曲が好きなんですけど、今回は家族みんなでで聴いてもらえるような暖かい楽曲を選んで、楽しくなるような歌い方でアレンジしてみました。家族で車に乗るときに聴いて欲しいですね。世代をこえて会話が生まれてくれたら嬉しいです。」
木山裕策 オフィシャルサイト