Yahoo!ニュース

【小室哲哉】アーティスト自ら主催するコンテンツ・マーケティングの可能性とは?

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
左:安藤美冬、右:小室哲哉

10月30日、都内某所で『avex life design lab』主催、小室哲哉による秘密の会合が行われた。テーマは『音楽家 小室哲哉 いつでも新しいことに挑戦できる大人でありたい 〜小室哲哉 次なるビッグヒットにかける思い〜』。いわゆる、小室哲哉による、コンテンツ・マーケティングをテーマにした参加型大人のエンタテインメント・イベントの実践だ。

今年の10月にスタートした、オトナのための学びの場『avex life design lab』での目玉となる講義だったが、小室哲哉はただのトークショーや講演会にはしたくなかったという。昨年行われたIT×音楽業界のカンファレンス『THE BIG PARADE : Entertainment x Technology』や、京都で行われたITベンチャーへの投資家が集まるイベントなどでのトークショーの経験から、集まった50名の参加者とともに、クローズドなコンテンツ・マーケティング会議の場を用意し、創作やマーケティングの過程をアーティストとともに楽しむ事が出来る、参加型大人のエンタテインメントを提供したのだ。

小室哲哉
小室哲哉

MCは、ソーシャルメディアを活用したノマド・ワークスタイルを実践されたことで知られる安藤美冬。小室による、上海でのピアノライブや、Twitterでの積極的な情報発信、そしてAWA、LINE MUSIC、Apple MUSICなどサブスクリプション型音楽サービスや、GMOグループとの企業コラボ、神田沙也加やtofubeatsとの新ユニットTK feat. TK、さらに共感度の高い作品作りなど、トークは多岐に渡った。

参加者からも、音楽の付加価値の提供として楽曲の素材パーツ(リズム、ベース、ヴォーカル、ギター、シンセフレーズなど)を扱いやすくするステム・データとしてバラ売りする案や、音楽と医療とのコラボレーションなどがプレゼンテーションされた。いわゆる起業家と投資家の関係性のような、エレベーター・ピッチ(短い時間でプレゼンしてビジネスチャンスをつかむテクニック)的な雰囲気だったことが興味深い。

小室哲哉
小室哲哉

小室哲哉曰く、良いメロディを生み出すヒット曲はもちろん、日常生活に解け合い付加価値を与えてくれる環境音楽的なランドスケープ・ミュージックにも興味を持っているという。「職業病ですが、スーパーでもコンビニでも音楽が耳に入ってくるんです。特に歯医者さんでかかるクラシックは気になっています。たとえば、ノイズや空調を消す効果としても音楽は役立つんですよね。KEIKOの実家が経営している西麻布のフグ屋は、ミシュランの星を頂いているんですが、僕はそこで3時間弱、一度も同じメロディが出て来ない、リピートがない音楽を提供しています。割烹料理のコースの展開をイメージしているんですね。あと、品川に水族館やホテルがありますよね? そこへ向かう通路で流れている音楽も作っています。他にも、湯布院の温泉や針治療の治療院や歯医者、リゾートクラブでもかかっていたり、様々なスペースで緊張しないような音楽を提供していますね」。

左:安藤美冬、右:小室哲哉
左:安藤美冬、右:小室哲哉

会議は大いに盛り上がり、予定時間を大幅にオーバーしながら、音楽における希少価値や拡散〜集束の課題、ヒットの定義の変化について語られた。90年代、TM NETWORK全盛期にCI(コーポレート・アイデンティティ)を取り入れ、TMNへとネーミングとブランドをリニューアルした経験を持つマーケッター的センスを持つ小室哲哉ならではの独自な視点によるトークが続いた。

今後こういったイベントは、ファンの参加だけでなく、たとえば企業のマーケティング担当限定などセグメント化した参加者とともに、アーティスト自身が参加するエンタメ性溢れるコンテンツ・マーケティング会議の実施など、直接的なネットワーキングな交流、モノ作りを促進させる“試みの場”としても期待したい。

『楽しむオトナをクリエイトする 新オトナ・スクール avex life design lab』とは?

http://lifedesign-lab.avex.jp/

小室哲哉オフィシャルサイト

http://avex.jp/tk/

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

ふくりゅうの最近の記事