【全曲解説】ORANGE RANGEのRYO、日常ポップ感あふれるソロ・プロジェクトの魅力!
●RYO from ORANGE RANGE『DELIGHT』完成への道のり。ソロとレンジの違いとは?
ORANGE RANGEのヴォーカル、RYOがソロ・デビュー作『DELIGHT』を9月16日にリリースする。本作は、ファンクやディスコ、ロックンロール、バラードなどを楽しませてくれる、やわらかなキャラクターがナチュラルに反映された1枚だ。元気を貰えるポップチューン満載、海や山を感じさせるシーズナリーなサウンドに注目したい。そこで、RYOにアルバム制作秘話、本体であるORANGE RANGEとの違いなどについて、全曲解説を軸に話を聞いてみた。
◆ソロデビュー作『DELIGHT』は、自由度の高いポップな内容だと思いました。先日8月26日に、ORANGE RANGE新作アルバム『TEN』がリリースされましたが、ヴォーカルを担当しているバンドという母体がありつつ、なぜいまソロ活動へと踏み込まれたのですか?
RYO これまでもソロとして何曲か作っていて、イベントにも出ていたんですよ。そんなこともあって、ソロ・アルバムはタイミング的に今年だなって思っていて。スケジュール的には4月はORANGE RANGEのツアーもあって大変だったんですけどね(苦笑)。
◆RYOさんの中ではORANGE RANGEという母体があるなかで、ソロとしてはどんな方向性、どんなサウンドを目指していましたか?
RYO ソロの目標は、新しいお客さんへ向けてORANGE RANGE本体への入り口になるような課外活動をやってみたいなと思ったんです。たとえば、バンドだと大掛かりになっちゃうのでクラブイベントなどに誘ってもらっても、さらっと出るのが難しいんですよ。でも、ソロだったらオレがぱっと出て行けて、それがバンドへの入り口になったらいいなって。どんどん繋がりを作っていきたいなと思っています。なんていうか、修行って気持ちが強いですね。どこへでも行く!っていうのがキーワードですね。
◆アルバム構想は、一昨年ぐらい前からのイメージですか?
RYO はじまりは一昨年くらい前でした。プロデューサーのシライシ紗トリさんはもちろん、ISEKIさんだったり、N.O.B.U!!!、果山サキちゃんっていう、けっこう仲間うちで助けてくれる人がいたので、アルバムにしたいなって思ったんです。でも、日程的にバタバタしてたので、遅れに遅れてスタッフにはすごい迷惑かけちゃいました。まだアルバム完成の実感は沸いてないですね。でも、もうライブのことを考えています(苦笑)。
◆サウンド・プロデュースは、ORANGE RANGEでもおなじみだったシライシ紗トリさんですね。
RYO 新しいオレを導いてくれました。今回作業していても、レコーディングしていくうちにどんどん変化していったんですよ。70年代〜80年代くらいのソウルファンクが、シライシさんは好きなんですよ。でも世代的にオレは知らなかったんですね。でも、聴いているうちにめっちゃ好きになって。これが大発見でした。
◆RYOさんは、もともとはどんな音楽を聴かれていたんですか?
RYO 世代的には、ラウドロックとかですね。昔の音楽にはあまり触れて来なかったんですよ。でも、掘り起こしてみたらカッコいい曲にいっぱい出会えました。なので曲作りやレコーディングはテンションあがってました。寝る時間なくてもいいなって思っていて。でも、大変だったのは、いつもレンジだとヴォーカルを3人で分けるんですよ。Aメロは誰、Bメロは誰、サビは誰って。この3つを最初から構想して曲を作っていくんですね。でも、今回はひとりだったんで、スイッチの切り替えが大変でした。
◆曲作りへのチャレンジもあったんですね。
RYO シライシさんにデモ音源を持っていく時に、ある程度形にしたものを渡しました。いっしょに作業していたのがDJ KEINっていうんですけど、家が近くて、一緒にずっと曲を作ってましたね。
◆アルバムを作る上で参考になった作品なんてあったりしましたか?
RYO レゲエ、EDM周辺ですね。
◆それこそ最近はロック周りのフェスとEDM的なフェスがありますけど、だいぶお客さん含め方向が分かれてきちゃった感じがありますよね。
RYO その両方のシーンを知ってる存在でありたいんですよね。高校の頃からバンドやってたんですけど、やっぱりライブハウスに行く人間とクラブに行く人間が分かれてたんですよ。でも、自分は両方とも仲良くやってました。
◆ORANGE RANGEとの違いは創作するにあたって何かありましたか?
RYO 基本的に自分のメインのキーをとる場所が、レンジだと低いんですね。なので、自分にあわせたキーではなかったりするんです。だから基本、土台が違うんですよ。ソロを友達に聴かせると「あれ、これRYOの声?」って言われると思います。でも、自然に歌えてるんですよ。アルバム自体のコンセプトは特になかったんですけど、特徴があるとしたら歌のキーの違いですね。
アルバム『DELIGHT』RYO from ORANGE RANGE 全曲解説
●01. 〜DELIGHT〜
◆楽曲それぞれ、いろんな方向性が出ていますよね。1曲目はアルバムのタイトルチューンという。
RYO 登場シーンですね。1時間くらいでリリックが出来ました。アルバムで一番最後に取り組んだ曲ですね。声もぜんぜん直してないんですよ。一番自然体かもしれないですね。
●02. Pump it up
◆これは四つ打ちのパーティー・チューンですね。
RYO ずっとイベントに出てたんですけど、1曲目がバシっと決まらなかったんですね。絶対これが1曲目って曲を作りたくって。最初メジャーコードだったんですけど、結局マイナーに変えて。結果カッコよく仕上がりました。これはもうアガる曲ですね(笑)。サビから最初に作りました。
●03. GLAMORUS RIDDIM
◆ホーンセクションがかっこいいし、カッティング・ギターがまたセクシーですよね。
RYO ホーン隊が、レコーディングする時に立ち会ったですけど、やっぱり生だと迫力が違いますね。この曲、「GLAMOROUS RIDDIM」ってタイトルなのに、歌詞で"GLAMOROUS"って単語が出てこないんですよ(苦笑)。
◆あ、ほんとだ。
RYO 最初、グラマラスな女性をイメージしていたんです。でも何回も書き直していくうちに"GLAMOROUS"って言葉が無くなりまして。でも"GLAMOROUS RIDDIM"ってイメージが抜けなくて。じゃあタイトルはこれでいこうと。リリック見て「なんで"GLAMOROUS RIDDIM"なの?」って思う人多いと思いますけどね(苦笑)。
●04. 夏だぜジョニー
◆びっくりしました。この曲は、エビ中こと私立恵比寿中学に楽曲提供されていましたね。
RYO アルバムの柱になるような曲を考えていたんですよ。で、プロデューサーのシライシさんと話しながら仕上げていきました。ちょうど、その時にエビ中さんから話がきたんですね。
◆2ヴァージョン用意するのは大変だったりしました?
RYO そうですね。苦労したのは詞を書くときに夏の単語がもうやたらレンジで使い切ってたんですよ(苦笑)。
◆ははは(笑)。そして、サウンド的にはロックンロールという。
RYO ビッグバンドがテーマですね。シライシさん的には、真ん中でRYOがスーツ着て歌って、しかも何を弾いているワケでも、踊るワケでもなくただスーツ着てカッコよく歌っているのってよくない? みたいなところからはじまりました(苦笑)。
◆それは目に浮かびますね、エビ中の方と会ったりしたんですか?
RYO 本人たちとはまだ会ってないです。やっぱり女の子が歌うとさわやかになりますね。
●05. 愛のキセキ with 果山サキ
◆果山サキさんをデュエット・ヴォーカルに迎えられていますね。
RYO サキちゃんとはけっこう前から知り合いで。つながっているアーティストが多いんですよ。この曲は、結婚式をテーマに書いてますね。
◆音楽的に豊かな雰囲気を醸し出しながらも、テーマ性ある曲もがっちり決めてきますね。
RYO ORANGE RANGEのおかげですね。そういうことにまったく抵抗がないんですよ。
●06. WISPER feat. ISEKI
◆これはフィーチャリングで元キマグレンのISEKIさんが参加されてますね。
RYO シライシさんから紹介されました。はじめましてではないけど、久しぶりです!ってなって。ISEKIさんのデモから広げていったんです。最初はボサノヴァ風だったんですよ。でも、キラキラしたエロい方向に持っていこうってシライシさんから案がでて。
◆イメージに変更があったんですね。岡村靖幸さん的なエロさがツボです。
RYO ありがとうございます。もともとの曲からはだいぶ変わりましたね。
●07. SHAKE IT
◆デジタル・テイストが強いですね。これは前からあった曲なんだそうですね。
RYO レンジでやろうかなと迷っていた曲です。でももう1曲の方をレンジでやることになって、これはソロでやることになりました。
●08. Go! Go!
◆こちらもハウスでディスコな感じというか。
RYO リリックの内容は、音楽をはじめたころから、自分のオリジナルを作るまでの思いを思いだして書きました。なのでリリック重視だったりしますね。
●09. Tim Don!-Don!(DELIGHT MIX)
◆イントロの三線から、澄み渡った青空が見えるような美しいナンバーですね。
RYO 地元の嘉手納町長さんが弾いてくれてます(笑)。すごい人なんですよ。こういうことを気軽に普通にやってくれる方で。たまに沖縄でイベントやる時にも、町長さん一緒に弾いてくれるんですよ。
◆それこそ、RYOさんが町の誇りみたいな感じなんですね。
RYO 町長さんは、若者が楽しめる場所を作ってくれる行く人なんです。嘉手納町での音楽イベントも増えていて。
◆そうなんですね。ちなみに「Tim Don!-Don!」ってどんな意味なんですか?
RYO "チムドンドン"っていうのは胸がドキドキするっていう沖縄の方言なんです。四つ打ちのビートを聴いた時にそう聴こえてきて。で、オレの発音をKEINさんが聴いてて、「チムじゃない、ティムだな」って。で、造語でティムにしました。
●10. pa mai ti-da feat. Kina & Kalani
◆続いては、沖縄とハワイが混ざったようなちょっと不思議なテイストな曲。
RYO これはハワイにKina & Kalaniって兄弟の二人がいて、サビでハワイ風のメロを入れてもらったんですね。しかもそれに対して沖縄の掛け声だったり、沖縄要素をぐちゃっと混ぜていく流れでした。やってみて、意外と合うんだなって発見でしたね。
◆なるほど。
RYO 違うのは言葉の入れ方ですね。メロ作った後の言葉の入れ方が違う。オクターブ下で一緒にサビを歌ってるんですけど、むず!って思って(苦笑)。でも、めっちゃ勉強になりましたねこれは。
◆Kina & Kalaniとの出会いはどこから?
RYO これもシライシさん経由でした。すぐ波長が合いましたね(笑)。緊張せず家族感があって。沖縄って感じでした。
●11. DRIVE feat. N.O.B.U!!!
◆ポップチューンとしての完成度が高い曲ですね。
RYO N.O.B.U!!!はもう付き合いが長いんですよ。最初に会ったのは13年前くらいかな。ORANGE RANGEがデビューした時くらいですね。当時、宮崎に行ったときに、前座のバンドで、彼は当時ドラムで。まだ中学生だったかな。そこから5年後くらいにN.O.B.U!!!としてデビューして。実は今回ジャケットのアートワークを描いたヤツはN.O.B.U!!!の当時のバンドのギターだったりして。そんなこともあって、テーマを友情にしたくて。
◆そのN.O.B.U!!!さんのバンドは解散して?
RYO そうですね。N.O.B.U!!!はソロで、気づいたら歌い手になっていたっていう(笑)。
◆日常感あるやわらかいポップサウンドっていうのは、N.O.B.U!!!さんがいるからこそ出る安心感なんですね。
RYO リリックの内容は今のリアルな自分たちを書いています。MVを観た地元の同級生や友達から連絡がきて「ありがと、やる気出たわ!」ってLINEメッセージを貰えて嬉しかったですね。
●12. My Love
◆私的なバラード・ナンバーですよね。
RYO 基本はアコギがメインなんだけど、キラキラしてる曲ですね。これはもう自分のことです。嫁さんに書いたような。……プロポーズをちゃんとしてなかったので、もう7年目なんですけど(苦笑)。書かなきゃって思って。
●13. GLAMOROUS RIDDIM-REPRISE-
◆そしてラストは、インストで楽しく締めるという。
RYO レコードじゃないですけど、また頭へ一周して戻ってくれたらいいなって。全13曲、自分の引き出しで開いてなかった箱を全部開けた感じです。でもまだスタートですね。せっかく開けたので、今からそれを広げていかないとって思っています。
RYO from ORANGE RANGE オフィシャルWEB
●リリース情報
RYO from ORANGE RANGE
1stソロアルバム「DELIGHT」
2015.09.16 RELEASE
CRCP-40429/2,778+税
【収録曲】
01. 〜DELIGHT〜
02. Pump it up
03. GLAMOROUS RIDDIM
04. 夏だぜジョニー
05. 愛のキセキ with 果山サキ
06. Whisper feat. ISEKI
07. SHAKE IT
08. Go! Go!
09. Tim Don!-Don! (DELIGHT MIX)
10. pa mai ti-da feat. Kina & Kalani
11. DRIVE feat. N.O.B.U!!!
12. My Love
13. GLAMOROUS RIDDIM-REPRISE-
●インストアライブ情報
フリー・ミニLIVE&CD購入者特典会
2015年9月19日(土)15:30 START
タワーレコード渋谷店屋上 SKYGARDEN
●リリースパーティー情報
「RYO from ORANGE RANGE "DELIGHT" RELEASE PARTY」
2015年9月19日(土) 23:00 START
代官山UNIT&SALOON
前売り:スタンディング 3,500(消費税込)
当日:スタンディング 4,000(消費税込)
問合せ:UNIT 03-5459-8630
<出演>
■DELIGHT FLOOR
RYO from ORANGE RANGE / ISEKI / N.O.B.U!!! / 果山サキ / Kina & Kalani / 大志 from 1 FINGER / Do The Right Inc
[GUEST DJ]大蔵 from ケツメイシ[DJ]DJ KEIN / DJ NIRAI
[LIVE PAINT]Kento Yukizaki
■SALOON (brix FLOOR)
[DJ]naotohiroyama / MOA (CARIZMA) / Lichard (from OKINAWA) / ui_nyan / SIEGZEON / Yu Matsumoto