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海外公演を経て、moumoonが確立した “いまを感じさせる次世代ポップ”な高揚感!

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
moumoon

“音と言葉の実験。あたらしい発見”を問うネクスト・ステップへの覚醒

ポップシーンのマエストロ、YUKAとKousuke Masakiによる2人組ユニットmoumoon。ほぼ全ての楽曲のサウンド・クリエィティブ、アレンジメントを2人で手がけるセルフ・プロデュース・アーティスト。1年半振りに8月12日(水)リリースする最新アルバム作品『It's Our Time』は、J-POPシーンへ“音と言葉の実験。あたらしい発見”を問うネクスト・ステップへの覚醒だ。

一般的なmoumoonのイメージと言えば、魔法感あるポップな浮遊センスを思い浮かべるリスナーは多いだろう。しかし、海外の名だたるフェス『JAPAN EXPO』(フランス)、『SXSW』(アメリカ)、『The Great Escape』(イギリス)でのライブ経験を経た最新作『It's Our Time』では、海外ポップシーンと同時代的にシンクロするシンセ・ポップの取り入れ方など、絶妙な“いま”を感じさせる高揚感あるサウンドが魅力だ。

『It's Our Time』のような自由な作品が生まれました(YUKA)

2014年1月にリリースした前作アルバム『LOVE before we DIE』は“死ぬ前に聴きたい音楽を”というコンセプチュアルな作品だったこともあり、その反動もあってか今作はよりフリーダムさを追求しているという。そのことをヴォーカル&リリックを手掛けるYUKAはこう語る「新しい扉が開けたと思います。初めてアルバムを作った時みたいな、初めてCDを出す時のような感覚なんですよ。1年半前にリリースした『LOVE before we DIE』で、一区切りついたような感じがしたんですね。そこから、その延長でいく選択肢もあったんですが“いま一番自分たちが表現したい雰囲気って何だろう?”って考える時間があって、『It's Our Time』のような自由な作品が生まれました」。

ギター&コンポーサーのMasakiはアルバム『It's Our Time』についてこう語る。「ここ最近のアルバムは、コンセプトというかテーマがあったんです。なのでテーマに合わせてサウンドを寄せていました。今回は、割と制作期間を長く持てたので、曲ごとにアイディアを練れたんです。なので、アルバムとしてのテーマは決めていなくて、自由に、好きな感じに作っています。だからこそいろんな方向に広がりました。シングル曲はコンスタントにリリースしてるんですけど、アルバムの中でも良いフックになって、ちゃんとマッチしているんですよ。だから散らかってはなく、ちゃんと流れも生まれたんだと思います。楽曲のクオリティにこだわったので没になった曲もいっぱいありました(苦笑)。なんていうか、作っていて楽しい曲、聴いていて楽しい曲、何回も聴きたい曲を選んで、完成させていきました」。

●1曲目:It’s Our Time

YUKA ここ最近のアルバムは、テーマがまずあって、テーマに合わせて楽曲を制作していました。でも今回のアルバムは、自由に、自分たちを表現するアルバムにしたかったんです。もちろん、テーマやレコーディングで完成された世界観も大切なんですけど、今回のアルバムは自由さだったり、ライブで表現している生々しくもダイレクトな音世界にこだわってみました。まさに“「It's Our Time」=私たちが楽しむ時間”だと思っています。

Masaki インディーズ時代に「Flowers」って曲がありまして、当時YUKAちゃんの声を録音した時と同じような「あ、すごいいいな!」って感覚が蘇ってきたんです。「It’s Our Time」という曲がが生まれて、moumoonとして一回りした感覚があるんですよ。

YUKA 「It’s Our Time」は、メロがシンプルだし、楽器の構成もシンプルなんですね。なので「もう一癖欲しい!」となって、早口な「I’m curious about〜」ってフレーズを挟んでみたら、ちょっとヘンテコで面白くなったんです。これまでは、メロディにしっかり言葉を当てはめることを大切にしてきたんですけど、今はあえて崩すことに興味があります。うまくいったので良かったです(笑)。

Masaki 「It’s Our Time」は自由な曲ですね。曲のどこが大事で、どこを目立たせたいかってことを考えたナンバーです。

YUKA 取材で「アルバムが出来てみてどうでしたか?」って質問をされた時に、なんて答えようかなって考えていたんです。正直に言葉にするとしたら「すごく柔らかくて常に形を変えながら、ぶにょぶにょした得体の知れないモノが私たちからポーンって出てきたみたいな。これが何なのかは、これから突き詰めていきたいです!」っていう感覚のアルバムなんですよ(苦笑)。まぁ、分かりやすく言えば「自分たちから、何が出てくるか分からないという面白さと、スリルを感じたアルバム制作でした」って感じですね。「It’s Our Time」は、そんな世界感を代表する曲です。

もともと、楽曲の評価の高さもあり、海外シーンとシンクロする要素があったmoumoon。最新作『It's Our Time』では、カラフルに弾けるリード曲「It's Our Time」、ヒット感あるシンセポップな「Never look back」、魔法センスを感じさせる「IROIRO」、ゲーム的世界感を表現する「Fight Back」、高揚感あふれるキラーチューン「cocoon」、屋外が似合うダンスチューン「ICE CANDY」、英語詞でスムージーな「BF」など、海外の最前線ポップシーンで活躍するバンド、パッション・ピット、ハイム、フォスター・ザ・ピープルなどと、サウンド的に接点を感じられたことが興味深い。moumoonのポップ感覚が、いかに世界水準のポップセンスとシンクロしているかは、本作を聴けば伝わるだろう。

●7曲目:cocoon

Masaki イントロのちょっと変わったフレーズから曲が生まれました。もともとサンプル音源遊びの中で、偶然あのフレーズが出来たんです。このフレーズを活かして発展させようって。あと、YUKAちゃんの早口フレーズもカッコ良いよね。

YUKA イメージ的には、海外のポップ・ミュージックにあるような、細かい譜割のフレーズなんです。ミュージックビデオもだけど、東京のひんやりした感じを表現したかったんです。映画『バベル』って作品があるじゃないですか? 公開時に観た時に、あっ、東京だなって思ったんです。外国人視点の面白さですね。たとえば、ぐちゃぐちゃに進化しすぎた街、TOKYO。雷で光ったビルがモンスターに見えるような、ちょっと怖いセカイに迷い込んじゃったみたいなイメージ。だから寂しいし、少し冷たい感じがするんです。でも、あたたかいところを求めて歩いてるみたいな。

Masaki この曲って全部打ち込みなんですよ。エレキギターを一瞬入れてみたんですけど、ほとんど聞こえてこないかも……。

YUKA サウンド的には、moumoonらしさとして超えてはいけないフィールドのギリギリをせめぎ合う楽しさがありました。前作だったら絶対収録してないですね。でも本作『It's Our Time』では重要な曲。ライブでも盛り上がりますね。

あんまり決めない感じがいいんだよね、今は(Masaki)

さらに、アルバム収録曲でもじっくりと聴きたいスローテンポな、ひんやり感がたまらない「I'm Scarlet」、皆既月食をテーマにした「Eclipse」、大人のリアルな日常と向き合う「WATASHINOSUBETE」、人間関係の本質を描く「Hello,shooting-star」など、あらゆる楽器を独自なアプローチで駆使し、職人センスを垣間見せる細やかな音や言葉へのこだわりにも注目したい。

こういったセンスは、アルバムのジャケット・アートワークにもあらわれている。写真からイラストへのシフトチェンジ。アーティストとして、ムードが変わったことを大きく表現しているのだ。いわゆる“ゆるさ”というか、“カチっとしなくていいんだ”という心持ちのありかた。Masakiは「あんまり決めない感じがいいんだよね、今は」と語っている。

全11曲+1曲(CD Only盤/オフィシャルファンクラブ「月面基地」盤のみボートラ付)。moumoonらしさあふれる宝物のようなオリジナリティあるポップ感。5年後、10年後も楽しめるサウンドを目指したという最新作『It's Our Time』が解き放つ永遠の輝き。moumoonの目線は、確実にポップシーンの未来を見据えている。

最新アルバム作品『It's Our Time』
最新アルバム作品『It's Our Time』

moumoon公式特集サイト ※アルバム全曲解説、特典映像解説などあり!

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音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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