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YouTube×スマホ時代の新表現“リリックビデオ”に注目!

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
リリックビデオ作品が好評なSKY-HI

●歌詞を軸とした映像表現を目的とした“リリックビデオ”

音楽を楽しむ環境が、YouTube&ニコニコ動画×スマホ時代となった昨今。拡散を目的とされた音楽コンテンツにも変化が起きている。歌詞を軸とした映像表現を目的とした“リリックビデオ”に注目が集まっているのだ。

そこで、日本のアーティストで気になる“リリックビデオ”を集めてみた。

見比べてみてわかるのが、デジタルな文字アニメーション、または手作り感あるアイディア重視な、ソーシャルで拡散される事を目的としたインパクト重視な作品が多いのが特徴だ。しかし、歌詞を飽きずに伝わりやすく工夫する事で、より楽曲の世界観へ没入しやすくなることは大きなメリットだと思う。

●こだわりを感じさせるニュース性の高いオフィシャル作品が増えている

なお、全編に歌詞を連動表示させる“リリックビデオ”が日本で大きく広がったきっかけは、ニコニコ動画でのボーカロイド作品だ。アニメーション風な作品が多いのもニコ動文化な影響かもしれない。海外では、古くはボブ・ディランの「Subterranean Homesick Blues」(1965年)の映像が発想のルーツといえるだろう。そして近年は、ソーシャルPRに積極的なケイティー・ペリーが先陣をきったといわれている。もともとは、正式なミュージックビデオ映像が完成するまでの仮作品としての扱いだったり、ファン作成による二次創作的な投稿が主流だったが、最近ではこだわりを感じさせるニュース性の高いオフィシャル作品が増えている。

●あらたな音楽文化の広がりとして必然

かつて、ウォークマンから携帯電話へ音楽を楽しむ環境が移行した際に“着うた”文化が誕生したように、YouTube&ニコニコ動画×スマホ時代に、曲と歌詞をモニター上でいっぺんに楽しめる“リリックビデオ”が広がっている状況は、あらたな音楽文化の広がりとして必然なのかもしれない。今後もミュージックビデオ文化の派生として増えていく事だろう。

<アーティストによるリリックビデオ作品>

●Perfume「Hold Your Hand」(short ver.)

「曲名にちなんで、手をモチーフとしたリリックビデオ。スタッフの手を使っている事がポイント。5月21日よりiTunes Storeなどにて配信。」

●吉澤嘉代子「未成年の主張」

「手作り8ミリ映画風で、ノートブック(ボブ・ディランへのリスペクト?)を使った洒落た演出が目を離せない作風。メジャーデビュー・アルバム『変身少女』も発売中。」

●SKY-HI「Tyrant Island」

「リリックがエモーショナルに動き出すクールなデジタルアニメ風作品。1stアルバム『TRICKSTER』より。」

●ストレイテナー「BLACK DYED」

「オフショット風なリップシンク映像に、ダイナミックなリリックを合わせていく手法。」

●清 竜人「Zipangu」

「アーティスティックな動きのあるアニメーションが美しい。」

●安藤裕子「世界をかえるつもりはない」

「手紙に書いたような文字が動き出す展開。」

●T-ARA「Lucky Wannabeee!」

「撮影のオフショット風映像作品作品に、リリックを追加する手法。」

●高橋優「CANDY」

「言葉を大事にするアーティストにはリリックビデオは向いている。」

●安室奈美恵「Damage」

「2012年に作成された洋楽テイストでクールなリリックビデオ。」

●じん(自然の敵P)「カゲロウデイズ」

「昨今のボカロ作品や、J-POPのリリックビデオへ大きな影響を与えた作品。」

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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