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投票日時点で18歳の誕生日が来ていない人でも選挙で投票できる??-弁護士が解説

福永活也福永法律事務所 代表弁護士
(写真:アフロ)

いよいよ東京都議会選挙が始まりました。

今回の選挙の投票日は7月2日ですが、投票権が認められるのは、投票日である7月2日時点で日本国民であり、かつ、「年齢18歳以上」であることとされています。

そこで、17歳が18歳の誕生日を迎えるに際して、法律上、いつから18歳として扱われるかが問題となります。

答えは、明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)にあり、この法律では、年齢の数え方については、民法第143条に従うと定められており、一方、民法第143条には、期間はその起算日に応答する日の前日に満了すると規定されています。

これはどういうことかと言いますと、民法等で多く採用されている初日不算入の原則(民法第140条)の例外に当たるわけです。

初日不算入の原則とは、例えば、4月1日の正午に、今日から1週間以内という期間を定めた場合に、正確に時間を計算すると、4月1日の正午から7日が経過した4月8日の正午までとなりそうですが、それだと1日未満の細かい時間を把握しなければならず不便であるため、初日つまり4月1日の正午から深夜24時までの1日未満の時間を切り捨て(初日を算入しない)、4月2日から7日間が経過した4月8日深夜24時をもって期間が満了したものとするという考え方です。

多くの法律では以上のような初日不算入の原則を採用しているのですが、年齢の計算に関しては、たとえ1日未満の短時間でも、実際に生命を有した時間を切り捨てるのは適当ではないという考え方から、特別に初日を算入することとされているのです。

その結果、例えば4月1日正午に生まれた人が歳をとるのは、翌年の4月1日の前日、つまり3月31日の深夜24時となるのです。

重要なのは、4月1日の0時ではなく、あくまでも3月31日の深夜24時という点でして、本稿で挙げている選挙の投票日との関係でいえば、投票日は7月2日ですが、7月3日に生まれた人は、法律上は7月2日24時に歳をとるという計算になるため、特に7月3日に18歳の誕生日を迎える人(平成11年7月3日生まれの人)は投票日に18歳になると扱われる結果、選挙で投票権が認められることになるのです。

ちなみに、年齢の計算に関しては、タバコを吸ってもいい年齢やお酒を飲んでもいい年齢等を考える際にも同じ計算方法になるのですが、実際には誕生日の0時と、誕生日の前日の深夜24時は同じ瞬間を指しているので、法律上、どちらの日をもって歳をとると考えるかで問題が生じることはありません。

本稿のついでに小話ですが、うるう年の2月29日に生まれた人は、誕生日は4年に1回しか来ませんが、法律上、歳をとるのは毎年2月28日であるため、ちゃんと毎年1歳ずつ増えていくことになるのでご心配なく。

※本事は分かりやすさを優先しているため、法律的な厳密さを欠いている部分があります。また、法律家により多少の意見の相違はあり得ます。

明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)

○1 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス

○2 民法第百四十三条 ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス

出典:法令データ提供システム

民法

(期間の起算)

第百四十条  日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

(暦による期間の計算)

第百四十三条  週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。

2  週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

出典:法令データ提供システム

福永法律事務所 代表弁護士

著書【日本一稼ぐ弁護士の仕事術】Amazon書籍総合ランキング1位獲得。1980年生まれ。工業大学卒業後、バックパッカー等をしながら2年間をフリーターとして過ごした後、父の死をきっかけに勉強に目覚め、弁護士となる。現在自宅を持たず、ホテル暮らしで生活をしている。プライベートでは海外登山に挑戦しており、2018年5月には弁護士2人目となるエベレスト登頂も果たしている。MENSA会員

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