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格闘技、女子も楽しめる?~RIZIN(ライジン)編~

藤村幸代フリーライター
29日『RIZIN』より(C)RIZIN FF/Sachiko Hotaka

『RIZIN』お茶の間視聴者の評は?

「いやあ、男の中の男、高阪剛には泣けた!」

「久々に格闘技観たけど、ロシアにも強い若手が育ってきてるんだねえ」

格闘技のテレビ放送があると、テレビ観戦した知り合いに感想を聞くようにしている。会場とお茶の間で、各試合にどのくらいの温度差があるか、またテレビコンテンツとして格闘技が純粋に面白いか否か、生の声がリサーチできるからだ。

冒頭の感想は、「テレビでやっていたら格闘技は観るかな」という、ほどほどの格闘技好きである40代男性2人の声。フジテレビで29日、放送された格闘技イベント『RIZIN(ライジン)FIGHTING WORLD GRAND-PROX2015 SARABAの宴』を観ての感想だ。

他にも男女半々の30~40代、計8人の知人に聞いてみた。男性は、八重樫東、井上尚弥が揃ってベルトを腰に巻いたボクシング世界戦の放送を含め、全員が19時から23時の間に一度はチャンネルを格闘技番組に合わせていた。しかし、女性のほうは――。

「テレビつけながらバタバタしてたからなあ。たしか芸能人のお宝映像とかの番組かな」

「やってたんだ、格闘技。でもダンナが観ないと私も観ないかなあ」

一瞬だけ観たけど、怖そうですぐにチャンネルを替えたという1人以外は、残念ながら誰も観ていなかった。

31日のRIZINには元大関の把瑠都ことバルトやヒョードルも参戦
31日のRIZINには元大関の把瑠都ことバルトやヒョードルも参戦

RIZIN女性スタッフに聞く格闘技の楽しみ方

もちろん、女性にも格闘技にハマっている人は多い。ただ、男性に比べると、やはりその数は圧倒的に少ないだろう。実際、『RIZIN』第一弾が開催された、29日のさいたまスーパーアリーナも、目測ながら8割ほどは男性の観客だった。

知れば知るほど人間味があり、奥が深い格闘技の世界。できれば女性にもその魅力を知ってほしい。そこで、格闘技イベントを裏で支える女性スタッフに、格闘技の楽しみ方について教えてもらうことにした。

ご登場いただいたのは、『RIZIN』の広報担当、木村陵子さんだ。

「格闘技イベントに携わるようになったのは約8年前。PRの仕事に興味を持っただけで、それまでは格闘技の『か』の字も知らなかったんです。実技を習ったことがないので、今でも細かい技術的なことは分かりません。でも、観ていてすごく面白いですよ」

明日、31日には『RIZIN』第2弾として同じさいたまスーパーアリーナで『IZA(いざ)の舞』が開催され、フジテレビで放送もされる。その試合カードを例にとり、木村さんがオススメの観戦方法を教えてくれた。

観戦方法その1は「とにかく迫力を楽しもう」。

「いま30~40代の女性は、家でお父さんやお兄さんが『PRIDE』を地上波で観ていて、たまたま一緒に観て好きになったという人も多いと思います。そのときはたぶん、『ヒョードルが出ているから観よう』ではなく、シンプルに迫力に圧倒されたのではないでしょうか。であれば、今回のヘビー級トーナメントは絶対楽しめると思います。今は知名度はないけれど、明日のヒョードル、ノゲイラを目指して世界中から強豪が集まり、闘う。それはそれは凄い迫力で、ストレスも吹き飛ぶと思います」

注目の山本アーセンは“母親”が共感ポイント

オススメの観戦方法その2は「思いきり共感しよう」。

「31日は女子の試合が2試合あります。中でもRENA(レーナ)選手は160センチ、50キロの24歳。見た目も格闘技をやっているようには見えないし、とにかく可愛い。そんな彼女が総合格闘技に初めてチャレンジするんです。同じ女性として思わず応援したくなるし、同世代の女子は特に身近に感じて共感しやすいのではないでしょうか」

もう一人、山本“KID”徳郁を叔父に、元レスリング世界女王の山本美憂を母に持つ、山本アーセンの試合にも注目してほしいと木村さん。

「アーセン選手の場合は、やっぱりお母さんの存在が共感ポイント。ずっとレスリングをやってきた息子が、初めて殴り合いのある総合格闘技に挑む。美憂さんの中では色々と葛藤もあったのではないかと思います。『自分の息子が、もしリングに立ったら……』そう考えながら試合を観ると、ドキドキハラハラというか、切ないというか。格闘技の試合が全然違ったものに見えると思います」

「今後は女性ファンをどんどん増やしていきたい」と語るRIZIN広報の木村陵子さん
「今後は女性ファンをどんどん増やしていきたい」と語るRIZIN広報の木村陵子さん

会場でしか味わえない体感型イベントも

『RIZIN』の想定ファンはやはり男性だが、女性やファミリー層が気軽に会場に足を運べるよう、“格闘技体感型イベント”とも言える新しい取組みにも新たに着手したという。

「29日から31日の3日間、さいたまスーパーアリーナの広いスペースを一般に無料で開放して、『格闘技EXPO』を開催しています。トップファイターのトークショーや撮影会のほか、お宝グッズや幻のポスターなどを展示した格闘技ミュージアム、プロレスイベントなど。お腹がすいたら飲食コーナーでイートインできるし、格闘技とふれあいながら1日過ごせるんですよ」

テレビで観てもよし、予定がなければ会場に足を運んでみるのもよし。「来年こそは、何か今までと違う世界に触れてみたい」と思っている女性がいたら、もちろん男性も、格闘技を観戦してみてはいかがだろう。

『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX2015 IZAの舞』

日時:2015年12月31日(木)開場13:30、開始15:00

会場:さいたまスーパーアリーナ(JR「さいたま新都心」駅すぐ)

主催:RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX2015実行委員会

※同会場のコミュニティアリーナでは入場無料の「格闘技EXPO」も開催中。

放送予定

■フジテレビ

タイトル:RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX2015 IZAの舞

放  送:2015年12月31日(木)午後7時~11時45分

■GYAO

タイトル:RIZIN2015裏側まるっとLIVE

放  送:12月31日(木)午後3時~8時(予定)

■スカパー!(PPV・PPS)

タイトル:RIZIN FIGHTING WORLD GP 2015 FINAL ROUND

初回放送:2015年12月31日(木)午後3時~10時※完全生中継

再 放 送:2016年1月1日(元旦)午後4時~11時

2016年1月3日(日)午後4時~11時

チャンネル:スカチャン0(CS800/プレミアムサービス580)

フリーライター

神奈川ニュース映画協会、サムライTV、映像制作会社でディレクターを務め、2002年よりフリーライターに。格闘技、スポーツ、フィットネス、生き方などを取材・執筆。【著書】『ママダス!闘う娘と語る母』(情報センター出版局)、【構成】『私は居場所を見つけたい~ファイティングウーマン ライカの挑戦~』(新潮社)『負けないで!』(創出版)『走れ!助産師ボクサー』(NTT出版)『Smile!田中理恵自伝』『光と影 誰も知らない本当の武尊』『下剋上トレーナー』(以上、ベースボール・マガジン社)『へやトレ』(主婦の友社)他。横須賀市出身、三浦市在住。

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