老舗総合格闘技団体の記念興行を締めた2人の若者

“闘うフリーター”所英男(38)やUFCにも参戦した小谷直之(33)ら、強豪ファイターを輩出してきた総合格闘技団体『ZST(ゼスト)』が11月22日、東京・ディファ有明で『ZST.49』を開催した。

旗揚げ13周年の記念大会として開催された今大会で強烈なインパクトを残したのが、セミに登場した坂巻魁斗(かいと・18)と、メインでZSTバンタム級王座初防衛戦に臨んだ柏崎剛(ごう・19)の2人だ。

ZST13周年記念大会では2人の10代が圧倒的な強さを見せた(C)ZST事務局
ZST13周年記念大会では2人の10代が圧倒的な強さを見せた(C)ZST事務局

強すぎる18歳は“ぱるる推し”

坂巻は、伊藤誠一郎(21)が持つZSTフライ級王座に挑戦するはずだったが、伊藤の負傷欠場により試合はキャンセルに。代わって益田亮(31)との同級暫定王者決定戦に臨むこととなった。

だが、昨年11月のプロデュー以来快進撃を続ける18歳は、対戦相手変更にも動じる気配はまるでない。試合開始早々、寝てはヒールホールド、立てばバックスピンキックと短時間に中身の詰まった攻めを見せ、流れのままヒールホールドから移行しての三角絞めで1ラウンド3分35秒、圧巻の一本勝ちを収めた。

勝ち名乗りもそこそこにマイクを握った坂巻は……。

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中学1年からのAKB48ファン。なかでも、「ぱるる」こと島崎遥香をこよなく愛する。試合中の勇猛果敢な姿と、「ぱるる」を語るはにかんだベビーフェイス。この大きすぎる振れ幅も坂巻の魅力のひとつだ。

1階級上の王者を完封した現役大学生

メインに登場した柏崎も、盤石すぎるほど盤石の闘いを見せた。

対戦相手の加藤惇(29)は、現ZSTフェザー級王者。ZST史上初の現役王者対決となったが、2階級制覇を狙う加藤の打撃勝負には付き合わず、巧みな足技でテイクダウンを連発。最終3ラウンド3分29秒、スリーパーホールドで1階級上の王者を仕留めた。

“ZST超新世代のエース”というキャッチフレーズにたがわぬ強さを見せた柏崎は、ふだんは国際関係を学ぶ現役大学生(2年)だ。

ZSTでは2002年の旗揚げ当時から弱冠20歳の小谷直之をエースに抜てきしたり、“スーパー高校生”と謳われた山田哲也(25)を輩出するなど、若い世代に活躍の機会を惜しみなく与えてきた。アマチュアやセミプロの大会も開催し、アマからプロへのプロセスが明確なのも、若い世代が順調に育つ理由のひとつと言える。

10代ファイター躍進の理由とは

加えて、10代ファイターの躍進には競技の開始年齢も大きく影響している。

「総合格闘技はボクシング、キック、レスリング、柔術とやることが多いから、すべてを習得して自分なりのスタイルを築くまでには6、7年、いや10年はかかる」

UFCにも出場したある格闘家は以前、そう語っていた。だから、30代前半で活躍する選手が多いのだ、と。では、なぜ柏崎や坂巻は10代で完成度の高い闘いを見せられるのか。

じつは、柏崎は小学2年から柔道を始め、中学1年からすでに総合格闘技の世界に足を踏み入れている。“ぱるる推し”の坂巻も同じだ。小学1年から空手を習い、中学2年で現在のジムに入門、元レスリング日本代表で総合格闘家の宮田和幸から指導を受けてきた。

幼少期にテレビでPRIDEやK-1に親しんできた彼らにとって、“総合格闘技”は柔道や空手と変わらぬ格闘技の一競技、いやスポーツの一ジャンルなのかもしれない。

そういえば、試合後、坂巻は言っていた。

「水泳でも体操でも今、自分たちの年代が活躍している。この年代のみんなで日本のスポーツをどんどん盛り上げていきたい」

上原譲・ZST代表も「10代の選手が出てくるのは総合(格闘技界)の自然の流れで、今後は主流になってくる」と語っているように、“PRIDEチルドレン”世代が総合のリングを席巻する日も近いかもしれない。

【今大会の放送予定】

GAORA SPORTS

初 回  12月17日(木) 19:30 〜 22:30

再放送 12月19日(土) 14:00 〜 17:00

再放送 12月20日(日) 22:30 〜 25:30

ZSTオフィシャルサイト