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脱マスクでますます拍車がかかる!?2023年に注目のメンズメイクブランド3選

藤村岳男性美容研究家・エッセイスト
(写真:アフロ)

政府が2023年5月8日から新型コロナをインフルエンザと同じ第5類へと引き下げ、原則として屋内・屋外を問わずマスクの着用は3月13日から個人の判断に委ねられることになった。その是非はここでは触れないが、長らく我々の生活に欠かせなかったマスクが取れることになり、ライフスタイルがまた一変しそうだ。

コロナ禍で自分の見た目に

「気づき」始めた男性たち

コロナ禍のオンライン会議などで、画面上で否応なしに自分の見た目を直視させられた多くの男性たちは、「他人から自分がどのように見えているのか」を意識しだした。それは今まで「美容など関係ない」と思ってきた男性にさえも「気づき」となり、見た目に対する重要性を理解し、過不足を補うという行動に出た。疫病は災厄だが、この気づきだけは不幸中の幸いであったと言えるかもしれない。

脱マスクで男性のメイク事情が変わる?
脱マスクで男性のメイク事情が変わる?写真:イメージマート

ちょっとしたアラを隠すことのできたマスクがなくなることで、自信を持って素顔をさらせる人と、そうでない人が出てくるだろう。そんなときに役立ってくれるのが、実はメイクである。オンライン下でも早い人はメイクを取り入れていたし、コロナ前でもZ世代と呼ばれる若い人々を中心にメイクをしていた男性も実は少なからず存在していた。そして、今年の3月以降は、よりメイクをする男性が増えていくことが予想される。そこで今回は男性が使いやすいと筆者が感じた、3つのブランドを取りあげてみよう。

注目度ナンバー1! 

あの花王が展開するメンズメイクは

インフルエンサーとDXで若者にアプローチ

ファンデーションとして使うインプレスカラーウェアは従来のベージュのバリエーションではなく、くすみや色ムラなど悩み別で選ぶ。画像提供:花王
ファンデーションとして使うインプレスカラーウェアは従来のベージュのバリエーションではなく、くすみや色ムラなど悩み別で選ぶ。画像提供:花王

まず注目すべきは、花王が展開する新進気鋭のブランド「UNLICS(アンリクス)」。「欲望のままに美しく」をスローガンとして掲げ、今までのメンズメイクからさらに一歩進んだコンセプトとなっている。そして共同開発に3人のインフルエンサーである車谷セナ、USUKE、翔貴(いずれも敬称略)を迎えた。

従来のメンズメイクには「していることがバレないように」という前提があった。そんなタブーを吹き飛ばし、自分が思うままに美しくなっていいのだという一種の免罪符を男性に与えているような存在だと筆者は理解している。メンズメイクはもはや自己表現であり、自己実現のツールでもある。

多彩なアイテムがあるが、中でも注目なのは「インプレスカラーウェア」という肌のトーンを整える、いわゆるファンデーション的な存在。4色あり、くすみ肌にはブルー、色ムラを飛ばすベージュ、赤みやニキビをカバーするグリーン、ヒゲを隠したい時のオレンジなどのユニークな色設計が特徴だ。メイクに慣れていない男性は一瞬、驚くだろうが、これらは女性用の下地などでは古くからあり、特にめずらしくはない。しかし、それを男性専用アイテムへと応用したのはすごい。

また、公式サイトには「BEAUTY DIG-TIONARY」というコンテンツがあり、詳細な使い方はもちろん、スマホやPCのカメラを使って自分の顔をキャンバスにバーチャルで各アイテムを塗布した時の仕上がりなどを見せてくれる。

BEAUTY DIG-TIONARYと名付けられたコンテンツは自分の顔にメイクをした際の印象を知ることができるほか、塗り方などのコツも学べる。画像提供:花王
BEAUTY DIG-TIONARYと名付けられたコンテンツは自分の顔にメイクをした際の印象を知ることができるほか、塗り方などのコツも学べる。画像提供:花王

このサイトに出てくる男性はモデルもインフルエンサーもみな、色白でヒゲのないつるりとした肌をしている。世界的に人気を博しているBTSなどの韓流スターを彷彿とさせるルックスばかり。これが今の若い世代の言わば「欲望」であり、「理想の姿」なのだ。

昭和世代がかつて男らしさの代名詞として憧れた高倉健や石原裕次郎などはここにはいない。どちらが良いとか悪いというものではなく、時代は変わり、価値観も変わった。昭和世代の中には「メンズメイクなんて」と揶揄する、最低限のスキンケアさえしない化石のような男性もまだまだいるのは事実。彼らは、今後、マスク無し生活でどのような素顔を見せるのであろうか、注目していきたい。

プロのメイクアップアーティストがプロデュース

男性のメイクは、もはやマナーの時代に

さて、注目のブランドに話を戻すと、プロのメイクアップアーティストがプロデュースしたブランドにおもしろいものがある。ひとつ目はパリコレのバックステージや名だたるセレブを担当してきたグローバルな経歴を持つEita(敬称略)の手がける「AFFINITÉS(アフィニテ)」。

プロのメイクアップアーティストがプロデュースするアフィニテ。画像提供:AFFINITÉS
プロのメイクアップアーティストがプロデュースするアフィニテ。画像提供:AFFINITÉS

メンズは、メイクではなく、マナー。」と謳い、足すのではなく、足りない部分を補ってゼロを目指すというコンセプト。初心者でも難しいテクニックなしに使えるアイテムが揃う。肌を均一にするのにはあまり重きを置かず、部分的に色づけをするスティックタイプのコンシーラーで目の下のクマやヒゲの剃り跡、小鼻の毛穴の開きなどをカバーするというのが特徴的だ。これならサッとひと塗りで済むので、初心者にも取り入れやすい。

コンシーラーは全5色。目元のくすみやヒゲのそり跡まで自然にカバーできる。画像提供:AFFINITÉS
コンシーラーは全5色。目元のくすみやヒゲのそり跡まで自然にカバーできる。画像提供:AFFINITÉS

また、多くの男性の悩みでもあるテカリに関しては自身の名前を冠した「Eitaクリーム」が便利。こちらは保湿しながら自然なツヤを引き出すという設計だ。シンプルな使い勝手とスタイリッシュなパッケージも印象がよく、スキンケアの延長上でこれからメイクを始めるという男性にぴったりだろう。

潤うのにテカリではなく自然なツヤを生み出す男性のニーズを的確に捉えたクリーム。画像提供:AFFINITÉS
潤うのにテカリではなく自然なツヤを生み出す男性のニーズを的確に捉えたクリーム。画像提供:AFFINITÉS

夫婦やカップルで楽しむのもアリ!

メイクはコミュニケーションツールにも

もうひとつ、筆者が注目しているプロのメイクアップアーティストとして活躍している方が手がけているこちら。「誰でも、どんな人も使えるコスメ」を目指して作ったという「COMMUNICOS(コムニコス)」は、ジェンダーや年齢に囚われないというコンセプトを持つ。

公式サイトで一際、目を引くのがシチュエーションというコンテンツで、家族揃ってのBBQで妻が夫にリキッドファンデーションを勧めたり、金婚式のお祝いをする際に夫の眉を妻が切って整えてあげたり、同性カップルの夜遊び前の身支度にフォーカスしたりなど、実にユニークで、しかもイマドキな描写があるところ。

妻が不慣れな夫にメイクを施すというシチュエーションもイマドキな光景だろう。画像提供:コムニコス
妻が不慣れな夫にメイクを施すというシチュエーションもイマドキな光景だろう。画像提供:コムニコス

こちらのリキッドファンデーションは3色展開で日本人の肌になじみやすい設計になっている。しかし、実はそれらよりも慣れない男性でも取り入れやすいのが「プレストパウダー」と「アイブロウマスカラ」だと筆者は思う。前者は光を散乱させる効果があるので、軽い色ムラや毛穴などはひと塗りするだけでふんわりとカバーできる。ファンデーションと組み合わせるのももちろんよいが、単品使いでもよい。持ち歩いて、サッと直せるので便利。

色はつかずとも光の反射を利用して、毛穴やくすみなどを優しくカバーできるパウダーをポーチに入れておけば、出先でも活躍する。画像提供:コムニコス
色はつかずとも光の反射を利用して、毛穴やくすみなどを優しくカバーできるパウダーをポーチに入れておけば、出先でも活躍する。画像提供:コムニコス

また後者のマスカラは、まつげに塗布してボリューム感を出すというのは当然として、眉毛やヒゲ(!)、髪の生え際の白髪隠しなどにも使えるマルチタスクなアイテム。さまざまな毛をしっかりキャッチしてくれるブラシを上手く使うと、気になる箇所をピンポイントで修正できる。皮脂や汗にも強いので、アクティブな男性が使っても落ちにくいのがうれしい。

まつげに使うマスカラは、眉を描いたり、ヒゲや生え際の白髪を隠したりとマルチに使える便利アイテム。画像提供:コムニコス
まつげに使うマスカラは、眉を描いたり、ヒゲや生え際の白髪を隠したりとマルチに使える便利アイテム。画像提供:コムニコス

今後、メイクはジェンダレスなアクションへと発展する

今まで、メンズ用のメイクブランドは百貨店などに並ぶプレステージといわれるカテゴリやロフトなどのバラエティショップ、コスメ専売ショップなどの勢いが強かった。ある特定の人に向けたものであった。

もちろん以前からドラッグストアにもメンズメイクアイテムは並んでいたのだが、ここに来てトイレタリー最大手の花王が本格的に参入してきたことにより、様子が一変するであろう。男性のメイクそのものの裾野が広がり、市場としてますます活況になることを期待している。

また、DXの活用やプロ仕様のアイテムなどバリエーションが増えることで、消費者である男性たちの経験値も上がっていく。これらの動きから察するに今後、メイクは女性や男性などのジェンダーを問わない当たり前の行為となっていくだろう。

男性美容研究家・エッセイスト

編集者としてハーブやアロマテラピーについて学んだ後、生活情報誌に携わる。そんな中、ヒゲを剃るなど男性特有の行動をしない女性ライターが男性の美容記事を執筆することに違和感を覚え、独立。シェービングを中心に据えた独自の「男性美容理論」を打ち立て、パイオニアとして活動。以降、テレビ・ラジオなどのメディア出演のほか、講演・イベント出演をこなす。また、コンサルタントとしてコスメ開発やブランド監修も務める。国内外のスパを訪れ、男性が楽しめるスパ・エステについても造詣が深い。最近はジェンダレス化の流れに伴い、女性への美容のアドバイスや提言も行う。著書に『一流の男はなぜ爪を手入れするのか』(宝島社)など。

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