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20代女子は着飾る「コスメ」より土台をケア 美容トレンド大転換、背景に何が?

道満綾香Z世代のメディア「Z総研」アナリスト
(写真:アフロ)

Z世代はお金こそ大胆には使えないものの、美容に関心を持ち始める人が多い世代であり、SNSの影響などもあり、過去の世代と比較しても美容意識が高いという特徴があります。

コロナ禍でマスクが手放せなくなりましたが、新しい生活様式にも柔軟に対応していくのが上手な世代でもあります。

そんなZ世代の美容に対する消費行動が最近大きく変化したことを知っていますか?

今回はZ世代の美容トレンドと、その裏にある原因に迫ります。

流行に敏感で発信力のある若者たち。

彼女ら、Z世代の動向が美容業界全体に及ぼす影響が強くなってきているため、これをつかめば、今後の美容トレンドが予想できるかもしれません。

コロナ禍における美容の消費行動の変化

新型コロナウイルスの感染拡大前まで、アットコスメ上位には、リップなど“色”が特徴的なコスメやお顔を華やかにメイクアップするコスメが並んでいました。

しかし、コロナの感染拡大後、スキンケア製品やマスク対策の商品、マスクメイクに合わせたコスメなど、これまでにみられなかったジャンルの商品がアットコスメ上位になるなどの変化が見られました。

コロナ禍では家にいる機会が多くなり、外出時にもマスク着用が必須となりました。

マスクにより顔の大部分が隠れることでメイクの必要性が薄れた一方で、「マスク荒れ」などの肌トラブルを起こすことも。

その結果、着飾る「コスメ」から土台となる肌をケアする「スキンケア」への需要が高まったのではないでしょうか。

Z世代に人気のスキンケアアイテムの代表例は、こちらのIPSAのザ・タイム アクアR

アルコールフリー、油分フリーで肌に優しいだけでなく、その透明で少しくねっている形がSNSと相性が良く、置き画※として多くの人に投稿されることによって大人気のアイテムとなったようです。

※置き画とは、「置き画像」の略称で、自身の買った化粧品やアクセサリーなどのアイテムを白い布の上に載せて、写真を撮ること。Z世代の写真の撮り方として主流となっています。

また、友人へ渡すプレゼントもこのような需要変動にあわせて変化しています。

これまではグロスや口紅のような「メイクアップ化粧品」が主流でしたが、今は保湿リップなどの「スキンケアアイテム」が主流となっているようです。

「スキンケアアイテムには高価なものが多く、なかなか自分では買う勇気が出ないからこそ、友人からプレゼントされた時に嬉しい」(20歳・大阪・女子大生)との声も。

コロナ禍における自宅ケア美容の変化

新型コロナウイルス感染拡大の状況下において、「おうち時間」が圧倒的に増えたことで、先述のスキンケアアイテムへの需要増はもちろん、自宅ケアにも変化が起きています。

まず、高価な美容家電がこれまで以上に流行中です。

美顔器やメディリフト、セルフ脱毛機器など、数万円するような高価な美容アイテムもニーズが高まっています。

また、おうちにいる時間が長くなったことに加え、トレーニングジムなどの施設が閉鎖した影響から、運動不足を懸念する方も多かったのではないでしょうか。

Z世代では、おうちで筋トレなど自宅トレーニング=「宅トレ」をする人が増加しました。

YouTubeで動画を見ながら、SNSで友人と励まし合いながら、一緒に「宅トレ」に励むのが流行っているようです。

【関連】Z世代で広がる『宅トレ』とは?オンラインや万能フードなど新しいダイエットの形に迫る

コロナ禍におけるコスメやスキンケア製品の販売方法の変化

百貨店でのコスメ購入といえば、今まではBA(ビューティアシスタントなど、各社により呼称は異なる)に案内を受けて自分にあった美容アイテム探しをすることが当たり前でした。

しかし、ソーシャルディスタンスを取らなければならなくなり、BAとの接触が禁止になりました。

また、百貨店だけでなくLOFTや薬局においてもサンプルの使用が中止になるなど、店舗においての購入がスムーズにいかないことも…。

その結果、コスメやスキンケア製品の新たな販売方法として、ライブコマースが台頭しています。

ライブコマースとは、InstagramやYouTubeのライブ機能、SHOWROOMなどのライブアプリを使った新しい販売方法。

配信者は喋りながら実際に商品を紹介し、視聴者は配信者も見ることができるチャットで質問等をすることが可能です。

同時多数と交流でき、どこからでも双方向でコミュニケーションが取れることが大きなメリットであるライブコマースは、以前より少しずつ流行してはいましたが、今回のコロナウイルス感染拡大により一気に成長しました。

中国ではすでにライブコマース市場が日本円換算で約6.4兆円規模に急成長しており、日本でも今後増えていくのではないかと言われています。

例えば、資生堂では今年7月からライブコマースを行っています。

このように一企業が行うこともあれば、インフルエンサーが自身のライブ配信内でPRすることもあります。

Z世代の人気ライバー「ももち」は、個人で商品をピックアップし、ライブコマースを行っています。

その他のZ世代の美容についての関心

コロナ禍の変化に加え、Z世代の美容についての関心には他にもトレンドの波があります。

1つ目が、パーソナル化の進行。

流行りをただ追い求めるだけでなく、「自分にあったものを使いたい」という声が増えています。中でも「パーソナルカラー診断」、「骨格診断」、「顔タイプ診断」が人気です。

2つ目が、インフルエンサーブランドの流行。

美容系のYouTuberをはじめ、若者に人気のあるインフルエンサーがコスメブランドを立ち上げるケースが増加しています。

インフルエンサーブランドといえば、従来「インパクトはあるが、中身は期待しない」と言った印象を持たれる方が多いかもしれませんが、最近のインフルエンサーブランドは「本当にいいもの」が多く、一時の人気にとどまらず、ロングセラー商品が多い特徴があります。

美容系YouTuberのブランドとして最も成功したと言えるのは、先日NMB48を卒業したばかりのアカリン(吉田朱里)がプロディースするBIDOLではないでしょうか。

「アカリップ(アカリンのリップという意味)」という言葉が流行り、取り扱い店舗であるLOFTなどから売り切れが続出するほどの人気っぷりです。

また、3人組YouTuberの「さんこいち」の古川優香がプロデュースするコスメブランド「RICAFLOSH(リカフロッシュ)」は3月に商品発売開始したものの、あまりに人気に半年たった今でも、店舗では常に在庫切れになるカラーもあるそうです。

ブランド立ち上げではありませんが、元祖美容系YouTuberとして有名なかわにしみきとコスメブランドVAVI MELLO がコラボし、コスメを発売したケースでも反響がとても大きく、話題となりました。

まとめ:美容トレンドの発信もZ世代から

新型コロナウイルスの影響により、Z世代の間で美容アイテムの消費行動や自宅ケアに変化が起きていることに加え、美容業界における販売方法にも変化が起きています。

メイクアップにかけていたお金をスキンケアに使ったり、テスターが使えない中でもSNSを活用して自分に似合うコスメを見つけていたりと、制限された中でも可愛くなる努力は怠っていないことがわかりました。

また、パーソナル診断やインフルエンサーブランドなどのトレンドの波も起きていることから、今後の美容業界にはまだまだ変化が起きる予感がします。

新しい生活様式に柔軟に対応して美を追い求める『Z世代』。

「流行の発信は若者から」と言われているため、Z世代の美容行動の変化には注目していきたいものです。

Z世代のメディア「Z総研」アナリスト

兵庫県出身。大学在学時に女子大生のマーケティングを目的としたTeamKJを設立し、プロデューサーを務める。大学卒業後はリクルートグループに入社。その後、スタートアップ数社でZ世代を対象としたPRやプロモーションを行い、数々のメディアに取り上げられるなど若者向けのアプリがブレイク。その後、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングを行う株式会社N.D.Promotonで取締役に就任。Z世代の研究メディア「Z総研」ではアナリストとして、ジェネレーションギャップが生まれるZ世代の「今」を取材している。

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