【臨時国会】 任期残り3年”終活”に着手し、意気盛んな安倍首相

日中首脳会談のために北京に飛び立つ安倍夫妻(写真:つのだよしお/アフロ)

臨時国会が始まった

 第197臨時国会が10月24日に始まった。会期は12月10日までの48日間とされているが、年末まで延長されるだろう。年が明ければ通常国会が開かれ、4月には4年に1度の統一地方選だ。そして今上天皇が譲位され、新天皇が即位される。夏には参議院選が行われる。

 その参院選がここ数年の政治の山場になるに違いない。2013年の参議院選では自民党は選挙区49議席、比例区29議席の計78議席を獲得し、改選前の84議席から128議席と大勝した。大勢はその反動で、次回の参院選で自民党が議席を減らすと読んでいる。

問題はどのくらいの議席が動くのかという点だ。安倍晋三首相の悲願は憲法改正だが、その発議には衆参両院で3分の2以上の賛成が必要だ。参議院で与党勢力がそれを割り込んでしまったら、その夢はつい果てる。実際のところ、その可能性はゼロではない。

歴史に名を残したい安倍首相

 そうした懸念を払しょくしようというのだろうか。あるいはその前に、できるだけのことをしようというのだろうか。最近の安倍首相は前にもまして精力的に見える。たとえば外国人労働者の受け入れ枠を改正し、実質の移民政策に踏み切った。また若年者の労働力不足への対処と老人福祉費用削減するため、70歳定年制を導入しようとしている。これらはこれまでの日本の制度を大きく変革するものだ。

 消費税増税はもちろん、北方領土問題解決もその任期中に実現するつもりかもしれない。消費税については、任期中に2度も増税した政権は過去にない。北方領土問題は、ウラジーミル・プーチン大統領から9月の東方経済フォーラムで前提条件のない年度内の平和条約締結を呼びかけられた。さっそく11月の訪ロ説が囁かれており、安倍首相はこれまでの4島一括返還論から、より柔軟な2島先行返還論に主張を変更する可能性もある。参院選と同時の解散総選挙説はそれを根拠のひとつになっている。そもそも外交は政治家がもっとも歴史に名前を残しやすいジャンルで、その成果は「外圧」として国内政治に影響を与える。

訪中は大成功

 25日から27日までの訪中も、安倍首相の高得点になったはずだ。2012年の尖閣国有化以降悪化していた日中関係だが、中国側は李克強首相が25日の夕食会と26日の昼食会を開催し、習近平夫妻は26日の夕食会で安倍首相をもてなしている。その歓待ぶりは昨年12月に3泊4日の日程で訪中した韓国の文在寅大統領と比較するとよくわかる。文大統領に対して中国側の政府レベルの接待は、近主席の夕食会の1度限り。今年4月の板門店での南北首脳会談以降、文大統領が東アジア外交をリードして安倍首相が阻害されていた観があったが、それを見事に払しょくした。何よりの成果は安倍訪中を報じた中国の各メディアの写真が、2人のトップの後ろに日の丸を写し込んでいたことだ。これほど日中友好を印象付けるものはない。

後継者作りも余念ない

 29日の代表質問では、安倍首相の秘蔵っ子と言われる稲田朋美元防衛相が立った。稲田氏の役職は筆頭副幹事長兼総裁特別補佐。大臣経験者を党の筆頭副幹事長や総裁特別補佐として登用することは一見して降格のようだが、この2つのポストを兼任させることで稲田氏を党内の中心に位置付けることを強調した形だ。そして代表質問は、安倍後継候補としての再デビューの舞台といえる。安倍首相は総理大臣を辞めた後もその権力を温存するため、布石を打つのに余念がない。

 そうしたスタートが第197臨時国会といえる。もっともせいぜい年末までとその期間は短いが、内容は非常にもりだくさん。しかも日本政治のターニングポイントとあっては、この臨時国会は目を離せない。