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【衆院選】小池代表、雨の錦糸町で必死の演説。安倍首相に”反撃”

安積明子政治ジャーナリスト
笑顔もこわばる……(写真:アフロ)

雨の日の街宣に「緑」はなく……

 10月20日午後6時。近づきつつある台風21号の影響だろうか、街宣会場となる錦糸町駅は雨でぬれていた。駅前に付けられた街宣車の上に登壇するのは、希望の党の小池百合子代表と民進党の前原誠司代表だ。電車事故の影響で2人の到着が遅れるとのアナウンスが流され、しばらくしてから、小池代表と前原代表を乗せた数台のワゴン車がロータリーに入っていった。ドアが開き、小池代表が現れると、年配の女性の声が「小池さん!」と呼びかけた。いまだ小池人気は健在なのか。しかしかつてのような緑のいでたちの応援団の姿は見あたらなかった。

 2人が街宣車に上がると、前原代表が先にマイクを握った。

「9月1日(の代表就任)の後、人事を決める際にある議員のスキャンダルが発覚し、また離党者が後をたたない。こういう状況の中で安倍さんは解散を決めた」

 最初に出てきたのは情けない恨み節だ。だが党のガバナンスは代表の責任。中でも致命的だったのが、野党共闘ではなく希望の党との合流を選択したことだろう。前原氏は「衆院選は政権選択の選挙だ」という原則を堅持したが、今回の衆院選はそうはなっていない。

 メディア各社の予想によれば、自公は300議席前後を維持し、与党が揺らぐことはないようだ。野党では、公示後に結成された立憲民主党が伸び、共闘のためにいくつかの小選挙区で候補を降ろした共産党が苦戦。そして当初は大きな注目を集めた希望の党は、東京都内でも議席獲得が難しい状況だという。

18日の反撃か?

 そのせいだろうか、小池代表が安倍首相への反撃が厳しくなっている。そしてこの時の演説ではこう述べたのだ。

「なぜこんな選挙になったのか、いま思い出せる人はいないと思うが、(安倍晋三首相は)『消費税の使い道を変えるんだ、国民のみなさんに聞いてみたい』と言っていたのに、いつの間にか『北朝鮮情勢だ』などといって、話が変わってきている。それほど今回の解散の目的というのがあやふや、いえ何かを隠そうとしている、いえ自分の(総裁選)3選目を確実にするためだ。これこそ安倍ファーストの解散総選挙だ」

 確かに18日の池袋街宣で、安倍首相はその発言のかなりの部分を北朝鮮問題に割いた。地元池袋での発言だけに、小池代表はこれに反応したのだろう。さらにこの日に自由が丘で行われた街宣でも、安倍首相は北朝鮮問題に言及している。というのも10月16日から20日まで、日本海から黄海にかけて大規模な米韓合同軍事演習が行われたが、これが北朝鮮を刺激しているからだろう。実際に朝鮮労働党の機関紙である労働新聞は20日、「核戦争の導火線に火をつけようとする米国の妄動を糾弾」と題する声明を発表し、米国を痛烈に批判している。このような危機に関する情報を首相の耳に入っていないはずがない。

党勢の挽回ならず

「AまたはB。その選択できる、新しい流れを作っていこうではないか」

 小池代表は簡単に言うが、果たしてAとBは統治能力の点で対等なのか。そうでなければ同列に比較しようがないが、多くの国民はいまだ民主党政権時の経済停滞、尖閣諸島など領土問題に関しての外交面での稚劣な対処を忘れてはいない。

 投開票日まであと1日になったが、希望の党はまだ挽回のきっかけを掴めていない。小池マジックもつき果てたか。

 

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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