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連休は映画を!「絶対面白い」11月のおすすめ5作品

渥美志保映画ライター

先月好評だったので、今月も書いてみましたおすすめ映画。今月は先月ほどはタマがないので、娯楽作とアート系とりまぜて5本をご紹介します。公開日順に並べてますが、まあ最初にこう言っちゃなんですけれど、今月の個人的な目玉作品は下から2番目『コードネームU.N.C.L.E.』でっす!てな感じで、まずはジョージ・クルーニー兄キの新作からいってみましょう!

『ミケランジェロ・プロジェクト』

アニキとマット。お馴染みのふたり。
アニキとマット。お馴染みのふたり。

第二次世界大戦下、ナチス・ドイツによって欧州各国から略奪された美術品を、奪還し保護するために結成された部隊「モニュメンツ・メン」の、知られざる活躍を描く。戦時下にも文化を守ろうとした男たちという、いかにもジョージ・クルーニーが好きそうなモチーフを自らの監督・主演で描くエンタテイメント作。60年代くらいのハリウッド映画、例えば『大脱走』を思わせるような、鷹揚なテンポも彼らしい。マット・デイモン、ケイト・ブランシェット、ジャン・デュダルジャン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン……って、全員でオスカーノミネート何回?受賞何回?っていう(特にオッサン好きにはたまらない)すごい豪華メンバーで、お互いに共演経験も多く、その呼吸のあった演技と会話だけで十分に楽しめる作品

オフィシャルサイト

11月6日(金)公開

コ・スとパク・シネの淡い恋愛も見どころ。私的にはハン・ソッキュが主役ですけども!
コ・スとパク・シネの淡い恋愛も見どころ。私的にはハン・ソッキュが主役ですけども!

李朝朝鮮時代、王族の衣服を作る「尚衣院」を舞台に、王宮に渦巻く嫉妬と陰謀に翻弄された、ある天才職人の運命を描く。ひょんなことから王宮入りを命じられた天才仕立て師ゴンジン。だがその革命的なデザインは王宮内外に様々な波風を立てるようになり、伝統を重んじる尚衣院の長、ドルソクは危機感を募らせてゆく……。仕立てられる豪華な衣装の数々が美しくウットリ。ゴンジン役のコ・スと王妃役のパク・シネの禁じられた淡い恋心もドキドキです。古い映画ですが40代以上ならたぶんご存知の『アマデウス』を思い出させる作品。大らかで無邪気な天才と、その才能に焦がれながら嫉妬する凡人ドルソク。その哀切と狂気を、韓国の名優ハン・ソッキュが見事に演じ切り、ラストは胸が締め付けられます。

オフィシャルサイト

11月7日(土)公開

『ローマに消えた男』

1人二役のトニ・セルヴィッロは『グレート・ビューティー』も素晴らしかった俳優さん
1人二役のトニ・セルヴィッロは『グレート・ビューティー』も素晴らしかった俳優さん

このままでは大敗が明白な統一選挙を目前に、最大野党の党首エンリコが失踪。エンリコに疎遠の双子の弟ジョヴァンニがいると知った秘書は、困り果てた末に彼を替え玉に仕立て上げることに。理想と情熱とユーモアで国民やマスコミ、政敵までをも魅了する(ある種の)変人ジョヴァンニの快進撃は、『王子と乞食』的な物語としてすごく面白いけれど、実は心の病の治療を終えたばかりというのがミソ。政治の場で、そしてもしかしたら現代社会それ自体で、理想を信じ訴えられるのは狂人しかいないというアイロニーにも思えたりします。「双子」というモチーフも示唆的で、政治の表裏、人間の二面性、狂気と正気などに置き換えられ、「理想の勝利」にも「融合した現実」にも思えるミステリアスなラストには何とも言えない余韻が残ります。アート系映画が好きな人におすすめの1本。

オフィシャルサイト

11月14日(土)公開

ヘンリー・カヴィルとアーミー・ハマー…イケメンすぎやないかい!
ヘンリー・カヴィルとアーミー・ハマー…イケメンすぎやないかい!

60年台に一世を風靡したドラマ『0011ナポレオン・ソロ』シリーズが映画になって登場。冷戦下で再び蠢き始めたナチスの残党を相手に、アメリカとロシアの凄腕(だけどはみ出し)スパイがタッグを組むことに!?『マン・オブ・スティール』のヘンリー・カヴィルと、『ローン・レンジャー』のアーミー・ハマーという二人の超イケメンが、それぞれクールなモテ男と不器用なマッチョ系に扮した、恋あり、笑いあり、アクションありの、100人中100人がたのしめる娯楽作。今月の超目玉作品!と個人的に断言!監督はカップル男子を撮らせたら右に出るものはいない『シャーロック・ホームズ』のガイ・リッチー。60年代ファッションもおしゃれ!

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11月14日(土)公開

『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』

恐ろしいことに無数の犬(CGなし)が追っかけてきてます。
恐ろしいことに無数の犬(CGなし)が追っかけてきてます。

両親は離婚し、学校でも孤独な少女リリの、唯一の心の拠り所は愛犬ハーゲンの存在。だが恋人と長期海外出張に行く元妻から娘を押し付けられた父親は、腹立ちまぎれにハーゲンを捨ててしまう。必死に探すリリの努力もむなしく、非道な人間たちに追われ、脅され、傷だらけになっていくハーゲンは、かつてとはまったく別の犬へと変貌してゆく……。「国が雑種犬の徹底排除に乗り出す」という架空の設定のもと、なんと犬たちの反乱という想像の斜め上の展開に発展してゆく驚きのハンガリー映画。誰もいない街を数百匹の犬が少女を追って走るオープニングには度肝抜かれます。少女と犬のきずなを描きつつ、シリア難民大量流入の今を予見するような寓話にも。

オフィシャルサイト

11月21日(土)公開

ということで、今月もみなさん、楽しい映画ライフを!

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Daniel Smith

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映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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