2020年プロ野球ペナントレースはどうなるのか?海外ではリーグ戦休止の前例も

新型コロナウイルス蔓延を前に、プロ野球はついに無観客試合もできなくなってしまった(写真:ロイター/アフロ)

26日、阪神の藤浪投手の新型コロナウイルス感染が明らかになった。NPB事務局は今のところ、このことで来月24日に開幕の方針は変わりないとコメントしているものの、感染は今回、藤浪に続いて発表された選手だけとは言い切れず、世界的パンデミック状態の中、ひと月弱で万単位の観客を集めるプロ野球興行を行えるかは難しくなっていると考えるのが妥当だろう。すでにアメリカメジャーリーグはシーズン短縮の方針を決め、日本国内のプロスポーツではバスケットボールのBリーグが27日にシーズンの打ち切りを発表している。NPBは現在延期となった五輪期間中の公式戦実施によって開幕の遅れたレギュラーシーズンやポストシーズンの枠組み全体は維持する方針だが、シーズンの短縮、最悪はシーズンの休止もありえる状況になってきた。

NPBのシーズン休止は太平洋戦争によるもののみ

 長い日本のプロ野球の歴史において、リーグ戦が実施されなかったのは、敗戦の1945年のみである。

 プロ野球は、太平洋戦争の戦火の中でもペナントレースをなんとか行ってきた。しかし、1944年シーズン終了後にプロ野球の統括機関であった「日本野球報国会」がときの政府の方針により、活動休止に追い込まれ、敗戦の1945年には公式戦は実施されずに終わった。それでも敗戦前の1月には正月大会と銘打ったオープン戦を「報国会」が実施、敗戦後11月には「報国会」の前身だった「日本野球連盟」が復活し、東西対抗戦を実施している。

シーズンキャンセルはないが、ストによる短縮はあったMLB

 一方、日本よりはるかに長い歴史をもつMLBに目を転じてみると、シーズンキャンセルはないものの、ストライキによるシーズンの短縮がある。史上初のストライキは1972年。この時は開幕が2週間遅れ、86試合がキャンセルされている。

 1981年にはシーズン途中に50日ものストライキが実施された結果、実に713試合がキャンセル。長期にわたる中断により、レギュラーシーズンそのものも、あとづけで前後期制に改められるなど、リーグ戦のフォーマットにも影響が出た。

 そして 1994年8月12日から翌95年の4月24日まで実施された史上最長のストライキでは、計938試合がキャンセルされた。このストライキによるシーズン中断は実に232日間に及び、1994年シーズンは結局途中で打ち切り、史上初めてワールドシリーズがキャンセルという事態になった。

シーズンキャンセルの歴史をもつラテンアメリカのウィンターリーグ

 中南米のウィンターリーグでは、リーグ戦のキャンセルは決して珍しいことではない。シーズンも北半球のプロリーグに比べて短く、リーグそのものの財政基盤が不安定で、レギュラーシーズン、ポストシーズンのフォーマットや球団数も頻繁に変わるとあって、シーズンそのものがキャンセルされることがあった。

 プエルトリコでは、2007-08年シーズンが財政難によりキャンセルされている。ただしプロ野球の火を消すなということで、台湾代表を招いて数試合のシリーズが組まれている。

 2004年秋にプロリーグが復活したニカラグアでは、5年目の2008-09年シーズンがキャンセルになっている。プロリーグが何度も興亡しているコロンビアでも、1993年に復活した現行リーグになってからだけでも、財政難から2度シーズンがキャンセルされている。

未曽有の困難の中、プロ野球、ファンはどうあるべきなのか

 シーズン短縮、キャンセルの前例をみてきたが、シーズンキャンセル、短縮はその後、野球人気後退やリーグの衰退を招いている。そういう観点からは、NPBがなんとかリーグ戦のフォーマットを維持しようとするのも当然のことである。

 しかし、今回の新型コロナウイルス渦は、近代以降人類が直面する未曽有の災厄と言えるものである。社会全体として、なによりも優先すべきは人命であり、そのためにはウイルスの蔓延を防ぐと思われる方策は躊躇なく実施すべきだろう。

 今は、皆がなにも恐れることなくスタジアムに集える日を迎えるため、選手だけでなく、ファンである一般市民もできることをすべき時である。