2年目を迎えたグアテマラ・ウィンターリーグ閉幕
グアテマラに発足した新プロ野球リーグ
現地時間15日、中米グアテマラのウィンターリーグが閉幕した。
この国のウィンターリーグは昨年発足し、その際も記事で取り上げたが(「中米グアテマラにプロ野球ウィンターリーグ誕生」
https://news.yahoo.co.jp/byline/asasatoshi/20181002-00098984/)、このリーグ「リガ・プロフェシオナル・デ・ベイスボル・デ・グアテマラ(LGB)」は、9月から12月のシーズンを予定していたものの、結局シーズンを大幅に短縮。各チームたった9試合のレギュラーシーズンとプレーオフだけ行い、わずか1か月で閉幕し、そのまま解散してしまった。
今年実施されたリーグは、このリーグとは別資本の新リーグで、「ベイスボル・インベルナル・グアテマラ(グアテマラ・ウィンターリーグ、BIG)」と名乗り、この国のプロ野球の灯をともし続けるべく、4球団をそろえた。
新リーグには、前年度シーズンを戦ったクラブのうち、スポンサーがついたロボス(ウルフズ)のみが残留。これにブロンクス、グランドスラム、ビキンゴス(バイキングス)が加わり昨年と同じ4チームが、10月12日の開幕から12月初めまでの各チーム21試合のレギュラーシーズンを戦い、12月6日からのポストシーズンに入った。
昨年と同じく、フランチャイズ制度はなく、試合はすべて首都グアテマラシティの北はずれにあるトラポ・トレビアルテ野球場で実施し、入場料は前年の半額となる10ケッツァル、米ドルにして1.35$という格安設定で観客を呼び込もうとした。このあたりにこの国の野球の地位が現れていると言えるだろう。国内の選手層もまだまだ薄く、プロとしてのレベルを保つため、各チーム10人まで外国人選手を登録することができる。外国人選手は近隣のニカラグア、エルサルバドル、ホンジュラスからも来ていたが、圧倒的多数はドミニカ人だ。ただし、そのドミニカ人も、その多くは、夏のシーズンにアメリカやアジアでプレーできず、ドミニカ野球連盟が行う夏の国内プロリーグでプレーしていた選手だった。彼らのようなラティーノだけなく、2003年にカナディアン・リーグ(このシーズンだけ存在した独立リーグ)でプレーしていた安井大介という日本人投手も在籍している。
このようなリーグにありがちなのだが、やはり投手不足は深刻なようで、スコアを見ると10点以上の大差の試合が多い。リーグ当局もそのような状況に対処し、プロリーグには珍しくコールドゲームを採用した。11月28日にはビキンゴスのドミニカ人投手、エルドリス・カスティージョがグアテマラプロ野球史上初のノーヒットノーランを達成したが、これも大差のため7イニングでの記録という注釈付きのものとなった。
前リーグの失敗を参考に、財政基盤を確立し、現地テレビショーへの出演を行ったり、選手の育成に主眼を置き、プロ契約を結んでいない選手の登録も認めるなど、まずはリーグの継続を最優先に置いた運営によりともかくもシーズンを全うできたことは評価に値するだろう。
新リーグ初代チャンピオンに輝いた「ブロンクス」
2段階のポストシーズンはともに最終戦までもつれる熱戦となった。
2位チームと3位チームによる3戦2勝制のセミファイナルはロボスとビキンゴスの戦いとなったが、これをロボスが2勝1敗で制し、シーズン首位のブロンクスとの5戦3勝制の決勝シリーズに進んだ。これも最終第5戦までもつれたものの「下剋上」はならず、ブロンクスがグアテマラプロ野球2代目、BIGとしては初代のチャンピオンとなった。
また、プレーオフには、ホンジュラス人のマウリシオ・デュボン内野手(ジャイアンツ)、決勝シリーズにはニカラグア人のジョナサン・ロアイシガ投手(ヤンキース)という2人のメジャーリーガーが試合前の野球教室と始球式に参加し、花を添えた。
このリーグに参加したあるドミニカ人選手の話だと、このリーグの報酬は月400$。ウィンターリーグの中でも最底辺だ。ここでプレーする選手たちは、稼ぎ場を求めて、次のプレーの場を探すことになる。
日本の野球ファンにはほとんどなじみのない中米のプロ野球だが、野球人気の低下が世界中で叫ばれている中、来年も継続していくことを願わずにはおれない。
(写真はすべて、BIG提供)