「私は助けられた。ともにある、ことを伝えてほしい」フィリップ・トルシエから日本代表サポーターへの願い

撮影=藤巻祐介(TAKIBI)

 日本時間6月19日21時、サッカー日本代表はロシア・ワールドカップ(W杯)の初戦でコロンビア代表と対戦する。16年前の日韓W杯で日本代表をベスト16へと導いたこの男は、今の日本代表をどう見ているのか。当時の日本代表と今の日本代表との違い、当時の思い出、日本への思いについて、フィリップ・トルシエ氏に話を聞いた。

トルシエ氏のコロンビア戦予想「日本にとってはアドバンテージもある」

ーー2002年のワールドカップについて、今思うことは?

トルシエ「自分たちがしっかり準備してやってきたかどうか、これが一番大事なことです。学生が試験に臨むときのような気持ちで、準備がしっかりできていれば大丈夫だし、2002年、私自身のときは冷静でした。何をどうすればいいかもわかっていました。代表チームにも同じことが言えます」

ーー今の日本との関わりについて教えてもらえますか?

トルシエ「日本には年に2、3回来ています。友だちに会いに来たり、仕事で来日したり。日本のサッカーは常に追っています。代表もJリーグも、いつも関心を持って見守っています。私は今も日本のサッカーとつながっています」

ーーあなたが日本代表を率いて臨んだ2002年のワールドカップから16年が過ぎました。その後の日本サッカーの成長について、当時の代表と今の代表との違いについてはどう感じていますか?

トルシエ「海外、とくにヨーロッパが日本の選手の力を評価し、自分たちのクラブに招いています。この事実が、日本のサッカーが世界で認められている証だと思います。海外組の選手は、海外の選手と日々接することで、そして、ドイツ、イタリア、イングランドといったリーグやチャンピオンズリーグでプレーすることで違う世界を体験し、選手のパーソナリティも日本にいるときとは違った形で形成されます。そうした選手が日本代表に入ることによって、日本代表がチームとして成熟し、より経験豊かなチームになった。それが16年前との大きな違いだと思います」

ーー1998年から2002年の4年間はあなたにとってどういう時間でしたか?

トルシエ「私にとって、特別な時間でした。4年の間に、いろいろなステージがありました。まず、ワールドユース(ナイジェリア大会)はサプライズの大会でした。日本の若い世代を見いだした大会で、準優勝という結果は期待以上のものでした。あの大会がきっかけで、日本の選手がとても才能に恵まれていることを確信しました」

「次は、(シドニー)オリンピックです。日本は私にとってオリンピックの思い出の国でもありました。1964年の東京オリンピックのとき、私はまだ9歳で、はじめてオリンピックという存在をフランスから見守りました。とても印象に残る記憶です。そのオリンピックに日本代表として出場する。そうした時間がとても貴重な経験となりました」

「それから、アジアカップ。イラク、中国、サウジアラビアを破り、優勝してアジアのトップに立ちました。私はAFC年間最優秀監督賞を受賞することもできました」

「そして、2002年のワールドカップ。日本初の決勝トーナメントに進出することができました。この4つのステージで、一つひとつのミッションをポジティブに完遂しました。今も鮮明に記憶に残っています。おかげさまで、今も日本に戻るたびに温かく迎えてもらえています。日本サッカーのひとつの礎、ルーツを築くことができたという気持ちがあります」

「特別な時間」という日本代表監督時代を語ってくれたトルシエ氏と。撮影=藤巻祐介(TAKIBI)
「特別な時間」という日本代表監督時代を語ってくれたトルシエ氏と。撮影=藤巻祐介(TAKIBI)

ーー最後に、あなたのファンでもある日本のサポーターに向けて、メッセージをお願いします。

トルシエ「ワールドカップは32の出場国がいて、それぞれの国がワールドカップを母国に持ち帰るというモチベーション、夢を抱いています。正直な話として、世界のトップ8は変わらない。日本はまだそこに入っていませんが、快挙の可能性は残されています。日本のFIFAランクは50位を下回っています(※2018年6月7日発表で61位)、ワールドカップに出場する、TOP32に入るだけでも日本の力の勝利であると言うことができると思います」

「大切なのは、日本代表チームを信じること。しっかりとサポートすること、メッセージを送ることです。仮に敗れても不名誉なことではありません。最大限の力を発揮すれば可能性はある。快挙をイメージしながら、ワールドカップを見守ってもらえればと思います。2002年のとき、日本の地で監督として戦った日々の中で感じていたことがあります。それは、大きな青い波が我々を後押ししてくれる、そういう光景でした。日本代表チームに『こんなに応援しているぞ!』という気持ちを、メッセージを届けてあげてください。『ともにある!』ということをしっかり伝えましょう」