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止まらない快進撃、過去の対戦相手&指揮官の言葉から探る『バルサを倒す10の方法』

浅野祐介OneNews編集長
レアル・マドリーに勝ち点で大差をつけ首位を走るバルセロナ[写真]=ムツ カワモリ

2008ー09シーズンにバルセロナが3冠獲得を達成して以来、あらゆるクラブが「バルサ対策」を講じてきました。実際に「打倒バルサ」を果たした指揮官や、ピッチ上でバルサの強さを“体感”した選手たち。『ワールドサッカーキング』では、彼らの言葉からバルサ攻略のヒントを探りました。

その1『プレーエリアを限定しろ!』

キケ・フローレス(アル・アハリ監督)

2012年2月、アトレティコ・マドリーを率いてバルサを2-1で撃破。この時、チームの指揮を執っていたフローレスは、自身の戦術についてこう述べている。「バルサが得意な『ピッチ全面を使うプレー』をさせないために、プレーエリアを限定し、そこを数で支配した。4バックだけじゃなく、チーム全体が最高のプレーをする必要があったし、それでもバルサの長所を消すのは容易ではなかったが、おかげで自分たちの時間帯も作れた」

その2『観衆を味方につけろ!』

ロビン・ファン・ペルシー(マンチェスター・U FW)

一昨シーズンのチャンピオンズリーグで、バルセロナを最も苦しめたのはアーセナルだ。決勝トーナメント1回グを2-1で制した試合についファン・ペルシーはこう語っている。「チームだけの勝利じゃない。サポーターの勝利でもあった。12人で戦っている。そう感戦、ロンドンでのファーストレて、1得点をマークしたじながらプレーし、バルサに勝つことができた」

その3『ゴールが見えたらシュートだ!』

クルバン・ベルディエフ(ルビン・カザン監督)

バルサが苦手とする“唯一の相手”、それがルビン・カザンだ。09-10シーズンのCLグループリーグでは、カンプ・ノウで大金星を挙げている。勝利は偶然の産物ではない。クルバン・ベルディエフ監督の指示が功を奏したのだ。「バルサの全試合を分析し、2つのポイントから攻めることにした。両サイドバックがともに開くので中央にスペースがある。まずはカウンターの起点をそこで作ろうと決めた。そして、チャビとイニエスタはピンチでも自陣のエリア内までは下がらない。エリア内で待ち構える選手が少ないならミドルシュートが有効だ。ウチのMF陣には、ゴールが見えたらすぐにシュートを打つよう指示したよ」

その4『猛獣となって戦え!』

エマニュエル・アデバヨール(トッテナム FW)

10-11シーズン、レアル・マドリーはコパ・デル・レイ決勝での勝利でバルサの進撃を止めた。延長戦までもつれたこの試合の勝因を、アデバヨールはこう語る。「あの決勝は“勝ちたいチーム”と“サッカーをしたいチーム”の戦いだった。勝ちたい気持ちがより強かったのはマドリーだった。俺たちは虎やライオンのようにバルサに襲いかかったんだ」

その5『チャビを止めろ!』

ペペ・メル(ベティス監督)

一昨シーズンのコパ・デル・レイ準々決勝、ベティスはホームでバルサに3-1で勝利。トータルスコアで敗退となったものの、バルサの公式戦無敗記録を28で止めた。メル監督は勝因をこう語っている。「窒息させるほどプレスをかける。すべてはチャビにプレーさせないためだ。チャビさえ止めれば、バルサのクラッキたちは普段の力を出せなくなる」。当時、ベティスは2部だっただけに、その勝利は格別だった。「翌日は多くのファンが練習場に詰めかけ、喝采を送ってくれた。クラブハウスの電話は鳴りっぱなしだ。世界中のメディアからバルサを倒した方法を質問されたよ。私は気恥ずかしかったがね」

その6『メッシを止めろ!』

フアンマ・オルティス(グラナダ DF)

アトレティコ・マドリーのカンテラ育ちで、現在グラナダに所属するフアンマ・オルティス。アルメリアでプレーした10-11シーズン、リーグ戦とカップ戦の3試合で全敗している(トータルスコアは0-16)。「バルサの倒し方は分からないけど、メッシへの対処はある程度分かる。メッシだけに7点も取られて、かなり教訓を得たからね。大事なのはメッシを中央のエリアに入れないこと。できる限りゴールから遠い位置、それもサイドに追いやることだ。それが分かった後もゴールは奪われたけどね(苦笑)」

その7『絶対にメッシを2人でマークするな!』

ハビエル・チカ(ベティス DF)

現在はベティスでプレーするチカだが、エスパニョール時代にバルセロナ・ダービーを戦っている。彼もメッシ対策が重要だと言う。「厄介なのは、メッシが決してワンマンプレーに走らないってことだ。複数でマークに行けば、引きつけられて味方にパスを出される。他の相手なら多少のリスクを冒して何人かでボールを奪いに行ってもいいが、メッシの場合はダメだ。対策は、必ずゴールに背を向けた状態でパスを受けさせ、決して振り向かせないことだ」

その8『シンプルかつ効果的な方法!』

ビクトル・ムニョス(元サラゴサ監督)

元バルサのスター選手で、監督へと転身したという点でグアルディオラの先輩にあたる彼は、バルサのサッカーへの対策は一つしかないと言う。「バルサはリスクを恐れない。それを逆手に取るのが、最もシンプルかつ効果的な方法だろう。09-10シーズン、インテルがその方法でバルサを破った。インテルはバルサを深い位置まで誘い込み、そこからカウンターを狙った。ピケもプジョルもスピードがあり、ギリギリでの対応も苦にしない。だが、本当にカウンターが完璧な形で実行されれば、DFにできることはほとんどない」

その9『中央を固め、外から攻撃せよ!』

エステバン・ビーゴ(ヘレス監督)

10-11シーズンのホーム初戦、バルサは昇格組のエルクレス相手に敗れた。エルクレスを率いたビーゴには、それなりの計算があった。「バルサの攻撃は多彩だが、軸となるのは中央突破だ。そのスペースを与えないため、ディフェンスラインはエリア外まで押し上げ、MF陣は素早く帰陣する。バルサは両サイドバックが積極的に上がるが、中央を固めればその頻度は更に上がる。その背後のスペースにロングボールを送り、スピードのある選手を走り込ませてカウンターを仕掛けるんだ」

その10『ゴール前に航空機を!』

ジョゼ・モウリーニョ(レアル・マドリー監督)

チェルシーの監督時代、超守備的に戦う相手に対して「ゴール前にバスを停めた」と批判していたモウリーニョだが、インテルを率いてバルサと対戦した09-10シーズンのチャンピオンズリーグ準決勝、カンプ・ノウで徹底的に守り切り、バルサを敗退に追いやった。試合後の彼に悪びれる様子はなかった。「バスじゃなくエアバス(航空機メーカー)でゴール前をふさいだ。我々は技術ではなく、血のすべてをピッチに注ぎ込んだのだ」

OneNews編集長

編集者/KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンで雑誌『ワールドサッカーキング』、Webメディア『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。『ウォーカープラス』編集長を卒業後、動画の領域でウォーカー、レタスクラブ、ザテレビジョン、ダ・ヴィンチを担当。2022年3月に無料のプレスリリース配信サービス「PressWalker」をスタートし、同年9月、「OneNews」創刊編集長に就任。

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