6月から年度がスタートする住民税、住む場所によって違いはある? 副業や退職にともなう注意点は?

知っているようで知らないことも多い住民税について、理解を深めておきましょう。(ペイレスイメージズ/アフロ)

◆住民税は自治体によって違うのか

 この5月、給与明細書を受け取る際に、6月からの「住民税」予定額を通知されたのではと思います。多くの生活者に関わる「住民税」ですが、知っているようで知らないことが結構あるものです。

 「住民税」は地方税のひとつで、道府県民税と市町村民税(東京23区は特別区民税)を合わせてそのように呼びます。どこの住民かというと、その年の1月1日現在で居住している住所地。A県B市に住んでいた人が、1月2日以降にC県D市に引っ越したとしても、A県B市に納税することになります。

 税額は、毎年1月1日~12月31日までの所得(収入から各種所得控除を引いた金額)を基に計算されるのですが、納税時期は翌年6月から翌々年5月となっています。そのため、5月に「住民税」の新しい予定額が通知されるというわけです。

 私たちが納める「住民税」は、前年の所得金額に応じて計算される「所得割」と、一定以上の所得がある人なら全員同じ金額の「均等割」から成り立っています。

 「所得割」の計算方法は、国税である「所得税」とほぼ同じ仕組みなのですが、「所得税」では所得金額に応じて段階的に税率が刻まれているのに対し、「所得割」の税率は一律10%。そのうち、道府県民税は6%、市町村民税は4%となっています。

 2018年度からは、県費負担教職員の給与負担事務が道府県から移譲された指定都市については、税源移譲に伴って道府県民税8%、市町村民税2%と変更されますが、トータル10%であることには変わりはありません。

 ただし、10%は標準税率で、自治体によっては森林環境保全などの財源を目的に、標準税率より高い超過課税を実施しているところもあります。

 たとえば神奈川県の場合、水源環境の保全・再生に継続的に取り組むため、県民税所得割の税率に0.025%を上乗せしています。神奈川県民は、10.025%の税率で住民税を負担することになります。

 逆に、名古屋市の場合は市民税の減税を実施しており、税率が7.7%。名古屋市民は、県民税2%と合わせて9.7%の住民税の負担となっています。

 一方の「均等割」ですが、こちらの標準税額は道府県民税1500円、市町村民税3500円のトータル5000円(いずれも年額)。そのうちの500円ずつは、復興財源確保のため2014年度から2023年度まで増額されている分です。

 さらに、自治体によっては森林環境保全や水源環境の保全・再生の財源として超過課税を実施しており、300円~1200円程度の上乗せを行っています。

 よく「〇〇市は大企業の工場があるから、ウチの市よりも住民税が安いらしい」といった噂話がされることがあります。法人住民税が入るから財政が潤っているというのが根拠のようですが、実際には個人住民税には影響しません。

 述べてきたように、「所得割」で0コンマ以下の税率の違い、「均等割」で多くても年額1000円台の違いがあるくらいで、引っ越しを検討すべきほど、住民税の高い地域と安い地域の差はないと言ってよさそうです。

◆副業があるケースの住民税の注意点

 会社員など給与所得者の人は住民税が給与天引きされ、それを会社がとりまとめて納付するわけですが、この方法を「特別徴収」と言います。

 また、自営業者やフリーランスなどの事業所得者は、毎年3月15日までに所得税納付のための確定申告を行いますが、市町村や特別区(以下、市区町村)はその情報を基にして住民税額を計算します。確定申告を行った本人には、市区町村から6月初旬までに住民税の納付書が送られてくるので、それを使って金融機関窓口などで納めます(一般的に6月・8月・10月・1月の4期に分けて納税)。これを「普通徴収」と言います。

 給与所得者のうち、勤め先の給与所得以外に20万円を超える所得がある人は、所得税の確定申告を行う必要があります。会社が従業員の副業を認める傾向にあるなか、今後はそのような人が増えるのではないでしょうか。

 確定申告の情報も会社の給与の情報も市区町村に行きますから、当然、副業で増えた所得の分の住民税を支払わなければなりません。

 諸事情で副業を勤め先に知られたくないという人は、確定申告の際に「確定申告書B第二表」の「住民税・事業税に関する事項」の中にある「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法」には、「給与から天引き」ではなく、「自分で納付」に〇をすることです。そうすると副業分の住民税は「普通徴収」扱いとなるので、納付書により自分で納付できます。

 もし〇をしないと「特別徴収」扱いになり、副業分も合わせた住民税額が勤め先に通知されるため、副業による収入があることが知られてしまいます。

 所得税の場合、給与所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、住民税は20万円以下でも自治体に住民税の申告書を提出する必要があります。各市区町村のHPから申告書をダウンロードできるので、申告期限の3月15日までに提出することです。

 

◆退職するなら住民税のことを意識しておこう

 今年、社会人2年目という人は、この6月から住民税が給与天引きされることになります。1年目は住民税の給与天引きがなく、手取りも充実していたというのに、今後は住民税との長いお付き合いが始まります。

 リタイアに限らず、もし勤め先を退職することになったら、住民税への注意が必要です。特に高収入だった人が退職後に収入ダウンするケース、たとえば結婚・出産などで専業主婦になるとか、起業したがまだ十分に売上げがないなどのケースが考えられますが、高かった前年の所得での計算で住民税の負担が生じるからです。

 1月から5月までの間に退職する場合、退職月から5月までの住民税を最後の給与、あるいは退職金で一括払いするのが一般的です。

 その際に納付するのは前々年の所得を基にした分であり、前年の所得を基にした住民税がまだあります。6月に市区町村から送られてくる納付書で支払う必要があります。

 6月~12月までの間に退職する場合は、退職月分の住民税は給与天引きとなりますが、退職月以降の分は市区町村から送られてきた納付書で納める「普通徴収」になります。

 また、退職年の所得を基にした住民税が、翌年6月に通知されます。

 退職後も追いかけてくる住民税。納税に備え、資金をきちんと管理しておく必要性大です。

 なお、転職のための退職であれば、転職先での「特別徴収」を継続することはできます。