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【全豪オープンテニス】国枝慎吾が復活、ウデとの激闘制して9度目V!

荒木美晴フリーランスライター
全豪オープンテニス男子シングルスを制した国枝慎吾(写真:ロイター/アフロ)

テニスの全豪オープン(メルボルン)は27日、車いすの部の男子シングルス決勝が行われ、国枝慎吾(ユニクロ)がステファン・ウデ(フランス)を4-6、6-1、7-6(7-3)で下し、3年ぶり9度目の優勝を果たした。グランドスラムシングルスの優勝は、実に「21度目」の快挙だ(ちなみにダブルスは「20勝」している)。

決勝が行われたマーガレット・コート・アリーナは、会場で2番目に広い。2バウンドまでOKの車いすテニスの場合はより可動範囲が広がり、守備力が活かされるコートだ。国枝は持ち前のチェアワークを発揮して、試合巧者の47歳・ウデと渡り合った。

互いに1ゲームずつ奪って迎えた第3セットは、強打と外に逃げるサーブを武器にウデが5-2とリードする。だが、ここから国枝の執念の追い上げが始まった。4-5で迎えた第10ゲームは、相手のチャンピオンシップポイントを2度しのぐ粘りを見せる。第11ゲームはウデが取るが、国枝はここでも追いついて6-6とし、タイブレークまで持ち込んだ。そして、そのタイブレークでは集中力のギアをさらに上げ、1度もリードを許すことなく勝ち切った。

今大会の直前にメルボルンで行われた大会では、フルセットの末にウデに敗れており、リベンジを果たした格好だ。

国枝のグランドスラムの優勝は、2015年全米オープン以来。この年は、4大大会すべてを制する年間グランドスラムを達成するなど、まさに王者の風格を漂わせた。だがこの後、彼にはいばらの道が待っていた。

翌年、リオパラリンピックを見据えて古傷の右肘の手術をしたが、痛みが再発。リオではダブルスで銅メダルを獲得したものの、シングルスは3連覇を逃した。その後は休養を挟み、リハビリと肘に負担がかからないフォーム改造に取り組む日々が続いた。とくにバックハンドはグリップから徹底的に見直した。昨年4月のダンロップ神戸オープンで復帰し、再び世界の頂点を目指したが、現世界ランキング1位の24歳のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)や同2位のアルフィー・ヒューウェット(イギリス)ら若手選手が台頭し、ますます戦国時代の様相を呈する男子においては、思うように結果が残せなかった。

それだけに今大会は、準々決勝でリオパラリンピック金メダリストのゴードン・リード(イギリス)、準決勝で昨年のウィンブルドンを制したステファン・オルソン(スウェーデン)という強敵をそれぞれストレートで下し、さらには52回目の対戦でライバルであるウデから土壇場で勝利を引き寄せたことは大きな自信になることだろう。

2018年、国枝慎吾の反撃がいよいよ始まる。

■女子の上地はダブルス制覇! シングルスは準優勝

男子に先駆けて行われた女子シングルス決勝では、上地結衣(エイベックス)がディーダ・デ・グロート(オランダ)に6-7 (6-8), 4-6のストレートで敗れ、2連覇を逃した。マジョレーン・バイス(オランダ)と組んだ前日のダブルスでは、オランダペアをストレートで下し、2年ぶり4度目の優勝を果たしている。

フリーランスライター

1998年長野パラリンピックでアイススレッジホッケーを観戦。その迫力とパワーに圧倒され、スポーツとしての障がい者スポーツのトリコに。この世界の魅力を伝えるべく、OLからライターへ転身し、障がい者スポーツの現場に通う日々を送る。国内外における障がい者スポーツの認知度向上と発展を願い、2008年に障がい者スポーツ専門サイト「MA SPORTS」を設立。『Sportsnavi』『web Sportiva』などスポーツ系メディアにも寄稿している。パラリンピックは2000年のシドニー、ソルトレークシティ、アテネ、トリノ、北京、バンクーバー、ロンドン、ソチ、リオ大会を取材。MA SPORTS代表。

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