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野口宇宙飛行士搭乗のクルー1打ち上げは10月23日以降に NASA発表

秋山文野サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)
クルードラゴン船内で訓練中の野口宇宙飛行士(右)ら。Credit: SpaceX

2020年8月15日、NASAはスペースX開発の宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」運用1号機「クルー1」の打ち上げ日は10月23日以降になると発表した。クルー1には、JAXAの野口聡一宇宙飛行士が搭乗し、打ち上げ後およそ6ヵ月の国際宇宙ステーション(ISS)滞在ミッションを行う予定だ。

スペースXのクルードラゴン宇宙船によるISSへの宇宙飛行士輸送は、日本時間8月3日に有人試験飛行を終えて運用段階へ移行する審査を行っていた。7月末のJAXA発表によれば、クルー1の打ち上げ日は9月下旬以降を目標としていた。コマンダーのマイケル・ホプキンス宇宙飛行士、パイロットのビクター・グローバー宇宙飛行士、ミッションスペシャリストとして野口聡一宇宙飛行士、シャノン・ウォーカー宇宙飛行士と全4名が搭乗する予定だ。

NASAの発表によれば、クルー1が9月下旬から10月へ延期されたのは、ロシアのソユーズ宇宙船打ち上げとの調整を図るためだという。ソユーズ打ち上げMS-17ミッションは10月14日ごろに予定されており、ロシアのセルゲイ・リジコフ宇宙飛行士、セルゲイ・クズヴェルコフ宇宙飛行士に加え、NASAのケイト・ルービンス宇宙飛行士の3名が搭乗する。交代で4月からISSに滞在していたNASAのクリス・キャシディ宇宙飛行士ら3名が地球に帰還する。

10月中にソユーズ、クルードラゴンと2回の打ち上げが実施されれば、ISSにはNASAから4名、JAXAから1名、ロシアから2名と全7名の宇宙飛行士が滞在することになる。クルー1搭乗の4名はおよそ6カ月ISSに滞在し、クルードラゴンの運用2号機「クルー2」との交代になる予定だ。クルー2にはJAXAの星出彰彦宇宙飛行士が搭乗し、打ち上げ予定の「来春」は2021年4月下旬以降になるとみられる。

打ち上げ日程の調整に伴い、クルードラゴンの運用移行審査は保留中だという。また、10月に予定されていたシグナス補給船によるISS物資補給ミッションの打ち上げは、9月末に繰り上げられたようだ。

サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)

1990年代からパソコン雑誌の編集・ライターを経てサイエンスライターへ。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査、宇宙政策、宇宙ビジネス、NewSpace事情、宇宙開発史まで。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、訳書に『ロケットガールの誕生 コンピューターになった女性たち』ほか。2023年4月より文部科学省 宇宙開発利用部会臨時委員。

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