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コロナ自宅療養を支える隔離グッズのセットは、中小企業のスピードと小回りで人気商品に

秋元祥治やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

新型コロナウイルス感染症、特にオミクロン株の感染拡大がまだまだ続いています。感染拡大のペースがやや鈍化しつつあるとはいえ、自宅療養者は全国で約44万人になるとのこと。(2月8日現在、朝日新聞による)

国立感染症研究所などの分析では感染者一人当たり、平均5名程度の濃厚接触者がいるとのことです。

自宅待機になる人々が急増し、医療機関の活動が一部制限され、製造業のラインが止まったり、テーマパークのアトラクションが中止になったり、様々な経済活動にも影響が出ているのは、報道でも記憶に新しいところです。

濃厚接触者の自宅待機期間が短縮されるなどの政府の対策があるとはいえ、自宅療養者44万人にくわえ、全国で自宅待機を余儀なくされている濃厚接触者が約200万人いるわけです。

このような状況もチャンスと捉え、新たな事業展開を行うのが包装資材販売会社・石川包材産業(愛知県岡崎市)です。新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者になるなどして突然自宅待機となった場合でも安心してもらおうと、石川包材産業の石川敏郎社長が、ごみ袋、使い捨ての手袋や食器などを詰めた「自宅隔離あんしんセット」(4950円)を1月下旬から販売開始。私がチーフコーディネーターを担うオカビズで商品開発をサポートさせていただきました。さっそく複数の地元紙を中心に話題となりました。店頭販売だけでなく配送に対応することで、多くの注文が続々寄せられているといいます。

実際に感染した家族との自宅隔離に使用するといった声のほか、「田舎に暮らす親に送りたい」とか、「会社でもしも発症者がいたときにすぐ対応できるために備蓄したい」といったニーズから注文も寄せられてるそうです。

自宅隔離あんしんセット
自宅隔離あんしんセット

この商品は、消毒液や消毒シート、使い捨て食器2種各50枚や大人用使い捨てマスク、紙製タオル、割りばしなど10品目がセットになったもの。

きっかけは、実際の感染者の声。家庭内隔離をしようにも、必要なものが何かわからない、そして買い揃えることも難しかったとの体験談をもとに、商品化を作り込んでいったとのことです。

もともと包装資材などを扱い、おしぼりやトレー、タオルなど使い捨て可能な生活必需品も販売していたため、スピード感ある商品投入となったとのこと。

特にこだわりは、手指消毒用のアルコール。 通常時であれば、自宅外/内を分けるためにアルコール消毒を行うが、家庭内に感染者がいれば、隔離療養室はもちろん、トイレや風呂場なども消毒しなければいけない。そこで、手指以外にもテーブル、ドアノブなどに噴霧して消毒することが出来るため、噴霧するスプレータイプを選ぶなど、実際のニーズにあわせた品揃えになっています。

実際の商品セットを抱える石川包材産業スタッフ
実際の商品セットを抱える石川包材産業スタッフ

中小企業の一番の強みは小回りとスピード。 新型コロナにより、人々のライフスタイルやワークスタイルは大きく変化しました。そしてオミクロン株の急激な感染拡大は、これまでとは異なる新たな影響を社会に生み出しています。

見方を変えればその変化によって生まれた課題や困り事は、ビジネスチャンス。迅速に取り組むことができる中小企業だからこそ、の取り組みです。

知恵と工夫でチャンスと捉える視点。そして第六波の多くの困難を一緒に乗り越えていければ、と思います。

やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

01年より、人材をテーマにした地域活性に取り組むG-netを創業し03年法人化。現在理事。13年オカビズセンター長に就任。開設9年で約3300社・2万2千件超の来訪相談が押し寄せ、相談は1ヶ月待ちに。お金をかけずに売上がアップすると評判で「行列のできる中小企業相談所」と呼ばれている。2022年より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授に就任。内閣府・女性のチャレンジ支援賞、ものづくり日本大賞優秀賞、ニッポン新事業創出大賞・支援部門特別賞ほか。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も。著作「20代に伝えたい50のこと」、KBS京都「KyobizX」・ZIP-FM「ハイモニ」コーナーレギュラーも。

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