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withコロナで、ビジネスチャンスを捉える「3つの視点」はこれだ!

秋元祥治やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ
(写真:アフロ)

私はOKa-Bizで日々地域の中小事業者の方々の経営相談をお受けしていますが、新型コロナが感染蔓延してから、地域の中小企業の経営状態は一変しました。緊急事態宣言以降、休業余儀なくされる方々も多数。3月から5月にかけては、まずは融資制度の活用や補助金・協力金を受給したいと言う相談で行列をなす状態でした。

▼目の前の安心から、未来への希望を求める声

しかしゴールデンウィークを明けたころから徐々に【目の前の安心】すなわち資金繰りについてはめどが立ってきたと言う声も増えてきました。政府による大胆な金融支援を通じて、融資を受けることができて来たからです。

その後は「ここから先の売上の話をしたい」と言う相談が増えてきていますね。すなわち、これからの【未来への希望】をどう見いだすことができるか、と言う相談に変化していると思うのです。

引き続き第二波も予見される中、このウィズコロナの状況中でいかにビジネスチャンスを見出していくか。もちろん現状がピンチであることは変わりはありません。が、しかしこれを逆手にとって、いかにチャンスとして活かしていけるか。日々、苦しいと下を向いてばかりいても埒があきません。そしてきっと社会は、コロナ前には戻る事はないでしょう。だとしたら、この厳しい状況の中にでも、いかにチャンスを見つけ、前向きにチャレンジしていくかが求められるのです。

▼ピンチをチャンスに変えるポイントは、3つの S

今求められているのは、ピンチをチャンスに捉え直し、新たな事業展開を通じて売上の確保や拡大をにつなげていくこと。

そこで大事なキーワードは、ずばり3つの S。

speed スピード

small  スモール

social ソーシャル

ずばりこの3つ、スピード、スモール、ソーシャルだと考えます。

日に日に状況が変わる中で人々のライフスタイルやワークスタイルは変化をしています。この変化に対していかに柔軟に、そしていち早く対応したサービスを導入できるか。まさに求められるのはスピードなんです。

▼じっくり検討してたら、取り残されるから「スピード」

例えばマスク。2月ごろから日々を重ねるごとに、品薄状態が続きまずはいかにそのものを供給するかが課題でした。想像を超える価格の高騰は、皆さんの記憶にも新しいことでしょう。そうした状況下で、布マスクや、手作りをするための資材へのニーズが高まります。

しかしその後徐々に供給が安定化する中で、機能性であり、意匠性といった新たな要素が求められています。ファッションに合わせてコーディネートをしたい、デコりたい、あるいは夏には涼しいものを利用したい。季節が変わり、社会の状況が変われば刻一刻とニーズが変わっていく。

だからこそ、じっくり考えようとか、まずは協議をしてから…と言っているうちに与件となる社会情勢やニーズが変わってしまう。

だからこそ「機を見るに敏」、状況に応じて臨機応変な対応していけるかが、まさにスピードが求められていると言うことです。

▼小さく始めて、常に変化していくためには「スモール」

変わりゆくニーズに合わせて、スピード感持って事業を展開していく上で重要なポイントは、いかにコストをかけないかと言うこと。すなわち小回りをきかせながら、ローリスクでチャレンジをすると言うこと。

この先も、第二波がやってきたり、政府の政策が変わったり、あるいは予期せぬ出来事を通じて様々な変化がやってくるでしょう。そんな中で事業展開していくときに、大きな投資はとてつもないリスクとなります。

いかにお金をかけずに小さく始めることができるか。じっくり考えてどんと市場投入するよりも小さく始めて、状況に合わせて常に変化し続けていく、そんな機動性とスモールステップが、地域の中小企業には求められるのです。

すなわち小さく始める、と言うスモールが重要だということです。

▼応援や共感での消費、そして情報発信はより「ソーシャル」に

これからのビジネスに求められるキーワードのもう1つは、共感や応援と言うキーワードでしょう。社会性を見いだすことができるか、と言う意味でソーシャルです。飲食・宿泊業、様々な生産者たちの、新型コロナによる大きなダメージを支えたい、と応援消費が広がっています。

共感をするからネットショッピングを楽しむ。応援するから、クラウドファンディングに参加をする人々がずいぶん増えました。

またFacebookグループでは、在庫を抱え困った人々が発信をし「せっかくお買い物するなら応援につながるものを」…と言う人々が購入をする、大きなコミュニティが広がっています。決して見過ごすことができないようなインパクトにつながっています。

またコロナ感染拡大から、人々は直接的な接触を避けるようになっています。だからこそ、オンラインで情報を発信し、顧客とコミニケーションをしながらビジネスを展開できるかが極めて重要になっています。

すなわちSNSの活用や、クラウドファンディングといったものをどううまく活かしていけるかと言うことも重要なキーとなるでしょう。

▼3つの S を捉える上で欠かせない「想像力」

3つの「 S 」を意図する上で欠かせないのが、想像力です。

いかにして変わりゆく市場のトレンドに機敏に対応できるか。

変わりゆくニーズを捉えるために必要とされるのが、想像力なのです。

例えばこれから始まる夏休み、敬老の日、そして運動会シーズンは果たしてどう変わっていくだろうか?立ち止まって、この先起きるコロナによって想定される変化を、いちど想像してみることがこれからの変化の予測につながります。

新しい生活様式は、おそらく仕事の仕方も、通勤のあり方も、自宅での過ごし方も、行楽や旅行も大きく変えるでしょう。

例えばリモートワークは、最初は仕方なくするものでした。しかし徐々にその価値やメリットに気がつき、むしろ今後はどう前向きにリモートワークを楽しむか、より快適にしていくかと言う視点が広がっているように思います。

もちろん夏休みや旅行…と自分のビジネスが直接関係しないと言う方もいるでしょう。

しかし、むしろ自分のビジネスに関して未来の予測をする事は難しいもの。

ついつい凝り固まった業界の常識や、固定観念に囚われてしまいます。

だからこそ、異業種や、社会全体の一つ一つについて想像をまずしてみてほしいんです。そして、果たしてではこれは自分の業界に当てはめたら一体どうだろうか…そう考えていくことが、今後の変化を予測する上でとても重要なのです。

全方位にアンテナを高く伸ばしながら、これからどんな変化が、どんな困り事が起きるのかと言うことを一つ一つ敏感に感じ取ること。

それが自分自身のビジネスチャンスを掴むために大事な視点です。

やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

01年より、人材をテーマにした地域活性に取り組むG-netを創業し03年法人化。現在理事。13年オカビズセンター長に就任。開設9年で約3300社・2万2千件超の来訪相談が押し寄せ、相談は1ヶ月待ちに。お金をかけずに売上がアップすると評判で「行列のできる中小企業相談所」と呼ばれている。2022年より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授に就任。内閣府・女性のチャレンジ支援賞、ものづくり日本大賞優秀賞、ニッポン新事業創出大賞・支援部門特別賞ほか。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も。著作「20代に伝えたい50のこと」、KBS京都「KyobizX」・ZIP-FM「ハイモニ」コーナーレギュラーも。

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