東京都教育庁による「性的マイノリティの児童・生徒への対応に関する実態調査」事業の中止処分について解説

(写真:アフロ)

「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」では、LGBTなどの性的マイノリティの子ども・若者の自殺対策に取り組んでいます。

その一環として、平成26年度東京都地域自殺対策緊急強化補助事業(以下、都事業)を都福祉保健局から採択を受け、先月から都内の公立学校を対象にアンケート調査を実施していました。しかし本調査について、1月28日付で都教育庁と都福祉保健局の協議により中止の決定となってしまいました。

各学校の先生方には、大変ご多忙な中、貴重なお時間を割いてご回答くださった中で、このような結果となり誠に申し訳ありません。中止処分をめぐり、「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」と都教育庁、都福祉保健局との間では、この間協議を重ねてきました。

ここでは「性的マイノリティの児童・生徒への対応に関する実態調査」事業の中止処分に関するこれまでの経緯と、今後の対応策について解説します。

「性的マイノリティの児童・生徒への対応に関する実態調査」について

「性的マイノリティの児童・生徒への対応に関する実態調査」は、性的マイノリティに関する研修の機会や、制服・更衣室の対応、抱えている課題等について、各学校の養護教諭の方を対象に尋ねる内容でした。昨年、文部科学省が性同一性障害に限定した「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査」を実施したことを受けて、同性愛などを含めた性的マイノリティ全般について把握することを目的としたものです。

平成27年1月18日付で、都内公立中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校全877校にお送りし、無記名制での回答を依頼していました。

なお、「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」は過去数年にわたり東京都地域自殺対策緊急強化補助事業を実施しており、過去には先進的な事例として評価されていた経緯がありました。

なぜ中止となったのか?

1月28日(水)、都教育庁より都福祉保健局に対してアンケート調査を中止するよう要請があり、電話にて当団体に中止決定が伝えられました。さらに都教育庁から、都内各学校長や市区教育委員会に対してこのアンケートに回答しないように連絡がありました。

その後、「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」では都福祉保健局、都教育庁側と協議を重ねてきましたが、2月12日(木)に既に回答のあった118件の封筒(未開封)をシュレッダーで破棄することに合意し、3者立ち会いのもとに処分を行いました。

中止の理由は?

都教育庁によれば、管理職ではなく養護教諭が直接回答する形式のアンケートを、平成26年度東京都地域自殺対策緊急強化補助事業(都の事業)と銘打って実施したこと。さらに、そのことを事前に都教育庁側に連絡しなかったことが問題視されたとのことです。事前に相談をしていても文部科学省から性的マイノリティの児童・生徒対応についての細かい指導がない中では、協力しにくい内容だとのことでした。

他団体の方で都内の公立学校に対しアンケート調査を検討されている場合は、今後のご参考にしていただければと思います。

封筒の扱いを巡って

当初は、都福祉保健局が回収した後に、都教育庁が封筒を預かり破棄するとの連絡がありましたが、「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」からの強い要請により三者立会い ・未開封でのシュレッダー処分を行う形になりました。回答された封筒はすべて開封せず、誰も回答の内容を知らないまま処分を行う形となりました。

なお、今回の中止決定に際して私たちには現場の先生方から「性的マイノリティについて学校で取り上げてはいけないのか」といった心配や不安の声が寄せられていますが、都教育庁としては性的マイノリティの児童・生徒の支援の重要性については認識しているとのことでした。

「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」では、封筒破棄後に文部科学省の政務官、担当部署に面会を行い、今回の経緯と今後の対応について協議を行っています。

●詳しくは下記の記事をご覧ください。

2/13(金)文部科学省に「LGBTなど性的少数者の児童生徒への支援」について要望

今後は、性的マイノリティの子どもたちが安心できる学校環境づくりのために東京都教育庁、そして東京都教育委員会の取り組みと、文部科学省からの力添えに注目していきたいと思います。