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ひとり親の家計が大変なのは今年から4月、8月、12月だ!

赤石千衣子しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 
(写真:アフロ)

ひとり親家庭への支援は少しずつでも改善されていると報道されている。

 根本的に、ひとり親家庭の相対的貧困率を改善するほどの大きなインパクトはないが、たしかにひとり親家庭の支援は少しずつ改善の方向だ。

 2020年1月から、児童扶養手当の支給月は2カ月に1度、奇数月になった。

 これまでは、4カ月に1度、4月、8月、12月に前月分までの手当4カ月分を支給していたのに比較すると、隔月の支給であっても、大きな改善である。

 日本では月払いの賃金を得ている人が多いだろうと思うが、これが4カ月に1回であったとしたらどうだろう?

 たとえば月々手取り30万円の人は まとめて4月に120万円。次は8月、12月だったら?

 あなたは家計管理をする自信がある?

 最初の月にひと月分以上に使ってしまってあとの月が苦しくなったりしないだろうか?

多くの人が2が月に1回の支給を歓迎

 さて、昨年の夏に、特に家計が苦しいと思われる、新入学お祝い金受給者(平均年収212万円)500人に、この児童扶養手当の2カ月に1度の支給についてどう思うかを聞いてみた。

 回答者のうち、うれしいと答えた人が65%、うれしくないと答えた人は2.9%、どちらでもいいと答えた人が30.9%であり、圧倒的にうれしいと答えた人が多かった。

 回答理由も見てみよう

【児童扶養手当の2が月に1回の支給はうれしい】

・家計の管理ややりやすくなる。

・2カ月の支給だと生活設計も計画しやすい。

・生活に少し余裕が生まれる。

・収入がコンスタントにあると、経済的なことの安定感につながる。

・毎月の生活費として使えるので、4カ月直前は家計が厳しくなっているので。

・毎月支給だとなおいい

とうれしい声が続いていた。

 多くの人が2カ月に1回のほうが家計管理しやすくなると答え、さらに、もうきちんと管理できる人にとってはどちらでもよく、またごく少数まとまって入ったほうがいいという声があったという現状である。

 この結果は、苦労してシステム改修から、予算措置(なぜなら令和元年は15カ月分の手当支給を用意して予算が膨らんだ)をした厚生労働省及び自治体の努力に報いるものだと信じている。

支給のない月が年に3回ある

しかし、2020年からは支給月問題では大きな問題点が出てくる。

これは2カ月に1回の支給であればいたしかたないことなのではあるが。

児童扶養手当は1月、3月、5月、7月、9月、11月の支給(各月11日が基本)である。

ありがたいのは、3月だ。入学準備のころに児童扶養手当の支給月があるのは多くの家庭でほんとうにうれしいだろう。

一方、ほぼすべての子どもに支給される児童手当は2月、6月、10月の年3回である。

はつまり手当支給は年に9回ということになる。

では、クイズです。

児童扶養手当も児童手当も支給されない月が年に3回だけあります。それはいつでしょうか。

4月、8月、12月が苦しい時期

ひとり親家庭へ、手当の支給がない月、それは4月、8月、12月です。

すぐに気が付くと思うが、4月、8月、12月とはどんな月だろうか。

4月は 子どもの進学入学で物入りの時期。新しい体操服だの、靴だの、副教材だのが必要かもしれない。

8月は夏休みで給食がなくお弁当を持たせたり、子どもと夏休みに遊びに行く(行かねばならない)時期。

12月は? クリスマスがあり、子どもは楽しみだが親は物入りで大変だ。さらに年越しの準備がある。

これは大変なことが予想されるとわかっていただけるだろうか。

しかし、これは2020年に全国のひとり親家庭が初めて経験することなのだ。以前は児童扶養手当がどかっと4カ月分入る月だった時期が逆に何も支給がない月になってしまう。

ひとり親家庭のみなさんも、家計のやりくりは初めてで、とてもとまどうことだろう。

支援者のみなさんにお願い

だから、支援者のみなさんにお願いしたい。

まず、食料支援や、子ども宅食、そのほかいろいろな支援を行うときには、この4月8月12月は、手当の支給がない!ということを念頭に置いておいてもらいたい。

きっと去年と違う、訴えがあるだろう。この時期に、子どもたちがおなかをすかせている可能性もあるし、追い詰められる親子もいるだろう。

そのときに、そうだ手当の支給月が変わったのだ、ということを念頭に置いて支援をしてほしい。

事前にこの時期にお米などの支援があってもいいだろう。

預貯金がほとんどない(先の新入学お祝い金受給者調査では、4割は預貯金が10万円以下なのだ)ひとり親家庭は多い。預貯金があればそれは家計の変動を吸収できるレジリエンス力につながるだろう。なければ、それは滞納や借金につながりかねず、そして精神的にも追い詰められる結果につながる。

 応援している世帯の収入の時期などの状況を想像しつつ、支援があることがのぞましい。この新しい事態をぜひ多くの人に知ってほしい。

 そしてシングルマザー、シングルファーザーのみなさんも、この新しい手当の支給スケジュールにそなえて、家計管理をするのになれていってもらいたい、と思う。

しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 

NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長。当事者としてシングルマザーと子どもたちが生き生きくらせる社会をめざして活動中。社会保障審議会児童部会ひとり親家庭の支援の在り方専門委員会参考人。社会福祉士。国家資格キャリアコンサルタント。東京都ひとり親家庭の自立支援計画策定委員。全国の講演多数。著書に『ひとり親家庭』(岩波新書)、共著に『災害支援に女性の視点を』、編著に『母子家庭にカンパイ!』(現代書館)、『シングルマザー365日サポートブック』ほかがある。

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