森友追及で選挙に勝利「いい流れがある!」木村真市議の闘い 地裁で判決へ

選挙戦で仲間たちと街頭に立つ木村真 豊中市議(提供・木村市議)

アジト感 満載の事務所

 大阪府北部、人口40万の中核市、豊中市。市役所からやや離れた幹線道路沿いに3階建ての古びた建物があります。きしむ階段を上がると、そこは市議会議員木村真さんの事務所。扉を開けると、拡声器やらビラやらが雑然と山積みに。私の姿を見て木村さんが一言「一段とアジト感が増してるでしょ(笑)」…確かに、議員の事務所と言うより活動家の拠点です。かつて大学の寮にあったような。

“アジト”の木村市議。格好も議員らしくないのが支持者には魅力(筆者撮影)
“アジト”の木村市議。格好も議員らしくないのが支持者には魅力(筆者撮影)

 木村さんはおととし2月、森友学園に売却された豊中市内の国有地の金額の情報開示を求めて裁判を起こしました。この土地に建つ小学校の名誉校長は安倍昭恵首相夫人でした。木村さんの裁判が発端となって国有地の大幅値引きが明らかになり、森友事件は政治を揺るがす大問題になりました。そう、木村さんは森友事件の口火を切ったのです。

オレンジ色は木村さんのイメージカラー(筆者撮影)
オレンジ色は木村さんのイメージカラー(筆者撮影)

 それから一貫して事件の真相解明を訴えてきた木村さんは、この4月の統一地方選で行われた豊中市議選で4期目に挑み、4486票を獲得。定数34人中7位で当選しました。森友事件の当初から木村さんを取材してきた私は、選挙戦をどう受けとめているのか、話を聞きに行きました。

森友事件追及が支持につながった

相澤)今回の得票、4000票あまりをどう受け止めています?

木村さん)前回から倍増しているから、それは森友のことが大きいやろうね。もともと僕はふわっとした選挙ではなく、名簿を作ってかちっとした票を集めていく選挙をしてきた。どぶ板選挙やね。でも今回は空中戦。街に出ると市民の反応がかつてなくいい。やはり豊中は(問題の国有地がある)地元なんで、森友事件への関心が高い。ただ、それが実際、どの程度の票になるかは最後までよめなかったので、4000票は僕にとっても驚きやったね。

相澤)街頭の反応が良かったとは、具体的にはどのように?

木村さん)森友は良くも悪くもインパクトのある問題だから、注目度が違った。街頭で訴えていると「がんばってね」と声をかけられる。ビラも大勢が受け取ってくれる。中には「まだ森友のことをやっているのか」と言われたことも2~3回あるけど、そこまで反発されるのもまだまだ生々しい問題だからでしょう。

 だから「最初に森友問題を追及したのは木村だ」ということを知ってもらうため、スーパー前などでの街頭宣伝の回数をいつもより増やしたし、今回初めて新聞折り込みでチラシを各戸配布した。森友でアピールしやすかった。

木村さんの得票は前回より倍増した(提供・木村市議)
木村さんの得票は前回より倍増した(提供・木村市議)

それでも維新に負けた…「批判よりも夢を」

相澤)全体の選挙結果をどう受けとめています?

木村さん)僕は4000票で勝ったけど、以前ならこの票数はトップを争うような数なんですよ。ところが結果は7位。僕より上位に維新(大阪維新の会)の候補が5人も並んでいて、5000票から8000票も取っている。僕は森友事件と並んで維新政治の問題も追及してきた。そもそも維新はあの小学校の認可をはじめ森友学園にいろいろと関わっている。だけど残念ながら維新が改革勢力として大阪府民に認知されていると認めざるをえない。

 大阪は今のままではマズいと感じている人たち、現状への閉塞感を感じている人たちが大勢いる。その人たちに向かって維新は「変えます」ということをはっきりさせている。都構想の実態はデタラメだと思うけど、すごくわかりやすい形で「自分らはこう変えるんや」「大阪をどんどん変えて発展させる」と訴えている。その主張が今のところ多くの人を引きつけている

 僕は仲間たちと今まで維新の批判ばかりしてきた。維新の議員の不祥事、デタラメ、ぜんぶ事実をもって批判してきたけど、維新の支持者にとっては単に足をひっぱる守旧派としか映っていない。有権者には、改革しようとする維新に守旧派が悪口を言っているとしか聞こえない。僕らもそこのところをまじめに考えないとあかん。

 僕らの描く近未来の大阪、そちらの方がより魅力的だと思ってもらえるか。将来の展望を示せるか。「僕らはこう変える」という夢を信じてもらうことができるか。それが大事だと痛感します。

木村さんと、選挙戦を支えた仲間たち(提供・木村市議)
木村さんと、選挙戦を支えた仲間たち(提供・木村市議)

森友事件追及のきっかけは?

相澤)そもそもなぜあの国有地の問題を調べ始めたんでしょう?

木村さん)あそこはもともと豊中市が公園にしたかった土地だから、何になるか気になっていた。私は議員活動のニュースを配るためにバイクで市内を隅々まで回っているけど、ある日、あの国有地のそばを通りかかったら、周辺に囲いができて、私立の小学校ができると書いてあった。「迷惑施設じゃないからよかったな」とその時は思ったんだけど、そのうちに、幼稚園で教育勅語を教えている学園が設置するとわかって、これは何とかしなくてはと思って調べ始めた。そしたら、安倍昭恵名誉校長だとわかって、これはいよいよおかしいなと。

 あの土地は当初、貸し付け契約で国が森友学園に貸していたんだけど、貸し付け合意書を開示請求しても賃料が黒塗りになってる。「なにかやってるな」と思ったね。そのうち与党系議員(市議)から「あの土地、森友に売却したらしいで」と聞いて、近畿財務局に乗り込んだ。すると担当者は売却したことは認めたけど金額は言わない。「随意契約で売っているんだから公開すべきだ」と言っても「ほかにも非公開の土地がある」という。でも、結局非公開はこれだけだったんですよね。それで裁判を起こした。

 あの時、僕らに応対した近畿財務局の担当者が裁判で証人として認められて、僕らは盛り上がった。「これはえらいことになる。何を言うだろう?」と期待したけど、結局、体調不良ということで出てこなかった。彼だけを責められないという思いもあるけど、(不当な値引き売却を)やらされたとはいえやったことは間違いない。そこを法廷で明らかにしたかったんやけど、残念やったね。

森友追及端緒の裁判 判決へ「いい流れがある」

相澤)その裁判がもうすぐ判決を迎えますね。

木村さん)財務局の職員の証人申請を裁判所が認めたということは、少なくとも門前払いにするつもりではないということ。門前払いなら証人を呼ぶ必要なんかないからね。(同じく森友事件を追及している)阪口徳雄弁護士のところでやっている裁判(森友関連で情報非開示による賠償を求めた)も、国に賠償を支払わせる原告勝訴の判決だったでしょ。しかも国は控訴しなかった。いい流れがある。裁判所はある程度こちらの主張を受け入れてくれるんじゃないかと期待してます。

◇ ◇ ◇

 森友事件追及のきっかけとなった注目の裁判は5月30日午後3時から大阪地方裁判所で判決が言い渡されます。

木村市議が国を訴えた森友関連裁判の判決は大阪地裁で30日に(筆者撮影)
木村市議が国を訴えた森友関連裁判の判決は大阪地裁で30日に(筆者撮影)