人口減少社会を見据えた保育サービス2:サービスの隙間。そこを埋める送迎ステーション

共働き世代に魅力的なキャッチフレーズ

「母になるなら、流山市」その印象的なキャッチフレーズの如く、千葉県の流山市は共働きの子育て世代の流入を図ろうとしている。少子化が進み人口減少の警鐘が鳴るなかで、まち全体の活性化を目指し「子育てのまち」として、地域の再生を狙う。その火付け役に保育サービスの一つ、送迎ステーションがある。流山市では、新たな保育所の増設に加え、市内の2つの乗換駅に、「送迎保育ステーション」を設定し、駅と保育所をバスで結ぶ。流山おおたかの森駅と南流山駅と指定の保育所。保育所が家から離れていたり、通勤と逆方向だったりする家庭にとっては貴重なサービスである。

朝食の用意、仕事の準備、そして保育所からのお便りに目を通しつつ、連絡帳の記入など、諸々のものに追われる朝の時間、1分、1秒だって無駄にはしたくないという思い。自宅から保育所に、保育所から職場に。幼子を持つ親であれば、「時間がもっとあったら・・・。」そんな思いを、誰しも一度は感じるのではないだろうか。働く親の朝の習慣。その習慣を手に取るかのように出てきた送迎ステーションサービス。

働く両親のニーズに応えた送迎ステーション

量的にも質的にも保育サービスの充実が図られるなかで、その使い勝手にも注意が払われてきている。入所可能な保育所が自宅から離れている場合や就業時間と保育所の開所時間が合わない場合の隙間の部分。そこに注目したサービスに送迎ステーションがある。図1に送迎ステーションの概要、図2に一日のスケジュールを示している。

この送迎ステーションを社会的人口流入の大々的な政策として掲げた自治体として千葉県流山市がある。表1には、送迎ステーションの効果の指標を記している。転入超過の上位10自治体を掲載している。総数的には10番目であるが、子育て世代の社会的流入が上位9位の自治体を上回っていることが示されている。

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幼稚園にも利用の場を拡充

幼稚園版でも送迎ステーションを行っている自治体がある。神奈川県厚木市では、駅前のショッピングセンターのワンフロアーを借りて実施している。幼稚園の教育時間前まで、託児室で園児を預かり、就園する幼稚園まで送る。そして、幼稚園の教育時間終了後に、幼稚園から託児室へ送り届け、保護者へ引き渡すサービスです。送迎ステーションの利用料は、幼稚園が月額5,000円を負担するシステムである。

朝の受付時間は7時15分から8時15分まで、引き取り時間は18時30分から19時30分までと保育所の開園時間と同じ時間まで預かる。そこには、幼稚園の教育時間以上に園児を預けることができること、そしてバスのルートや預かり保育の時間に関係なく、幼稚園を選ぶことができるというメリットがある。

幼稚園の預かり保育サービス

今、幼稚園のサービスが広がりつつある。保育所よりも幼稚園にいれたい。働きながら幼稚園に通わせたいという保護者のニーズ。この希望に応えようと幼稚園のサービスも多様化している。通常、幼稚園の正規の教育時間は通常9時から14時である。だが、幼稚園では正規の教育時間終了後も引き続き在園児を夕方まで預かる園が増えている。

かつて幼稚園は教育活動の場として位置づけられてきたが、「少子化社会対策大綱」に基づく子ども・子育て支援プランにおいて女性の社会進出が進むなかで、従来の保育ニーズ以上のサービスが求められている。その具体的政策の一つに預かり保育がある。

預かり保育とは、図3で示すように、9時から14時の正規の教育時間の前後でも開園を行うことで、7時30分から9時までの午前と14時から18時30分までの午後の時間の間園児を預かるシステムである。社会の変化とともに、子育て世代のニーズも変わりつつあるなかで、サービスもそのニーズに応えるべく変化を遂げてきている。

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(参考文献:図表)

表1)総務省(2014)「住民基本台帳人口移動報告」をもとに筆者作成

図1)筆者作成

図2)筆者作成

図3)筆者作成

図4)横浜市「横浜市私立幼稚園等預かり保育事業とは」をもとに筆者作成