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北欧オスロで部分日食を観測

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
iPhoneで撮影した部分日食 Photo:Asaki Abumi

ノルウェー北極圏で皆既日食

3月20日、北極圏では皆既日食が観測され、美しい日食写真が世界中のニュース報道で話題となっています。北欧ノルウェーでは、北極圏にあるスヴァールヴァル諸島が、完全な皆既日食の有名な観測地。皆既日食ツアー客が押し寄せている同島ロングイェールビーン町では、観光客がホッキョクグマに襲われるという事件が19日に起きたばかりです(観光客は負傷、クマはその後射殺される)。

ホッキョクグマに襲われる危険+マイナス20度でも、観光客は気にしない!

過去にノルウェーで完全な皆既日食が観測できたのは1954年、次回は2061年。珍しい皆既日食を一目見ようと、物価の高いノルウェーでも、お金を惜しまずにやってくる旅行者は後を絶ちませんでした。

ノルウェー国営放送局NRKによると、1500~2000人の観光客が同島に集まり、宿泊料金の平均はこの期間は1泊2万ノルウェークローネ(約30万円)、凶暴なホッキョクグマに襲われる危険性が非常に高く、マイナス20度という極寒にもかかわらず、テントでキャンプする人もいたそうです。

オスロでは88.6%の部分日食

霧が立ち込め、曇っていたが目を凝らすと見えた Photo:Asaki Abumi
霧が立ち込め、曇っていたが目を凝らすと見えた Photo:Asaki Abumi

北極圏から離れた首都オスロでは、太陽の88.6%が月に覆われ、部分日食が観測されました。筆者もオスロ観光局VisitOSLO主催のプレスツアーにたまたま参加していました(しかし頭の中は、ほかのテーマの取材内容でいっぱいだった)。

突如、どうしても日食を観測したくてウズウズしていた現地ガイドが、運転手に「車をとめて!」と叫び、ものすごい勢いで外にでて、太陽を携帯電話で撮影しはじめました。私もiPhoneでパチリ。周囲を見ると、道路で立ち止まり、日食メガネを用意して空を見上げている人が至る所に。冒頭写真は、午前10時49分に撮影したものです。曇り空でしたが、太陽の形がみるみる変化する、不思議な一瞬でした。

ノルウェー気象情報サイトYr.noでは、市民が撮影した国中からの写真がアップされています。Yr.no

インスタグラムでは「#solformorkelse」とハッシュタグ検索すると、ノルウェー人が撮影した1万枚以上の日食写真が閲覧できます(3個目のアルファベットoは、ノルウェー語表記で、oに右上から左下に斜め線が入る)。

Text&Photo:Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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