5年目の中国不動産危機、最悪期脱していない恐れ-ストレス兆候再び
(ブルームバーグ): 中国を代表するデベロッパーの1社が現在、債務不履行リスクを理由に当局の監視下に置かれている。香港の大手建設業者は、融資の延長を金融機関に求めている。他にも、閑散とした北京の主要ショッピングモールを売却しようとしている業者もいる。
中国の不動産債務危機は5年目に入っているが、住宅販売の低迷が続く中、経営難に陥ったデベロッパーの債務返済が容易になっている兆しはほとんど見られない。デベロッパーのドル建て社債は依然として深刻な経営難の水準で取引されており、債務発行はほぼ枯渇し、この業界は株式市場でも著しく出遅れている。
ここ数週間で再び警鐘も鳴らされた。銀行規制当局が大手保険会社に対し、中国第4位の売上高を誇るデベロッパーである万科企業への財務エクスポージャーを報告し、同社がデフォルトを回避するためにどの程度の支援が必要かを評価するよう指示した。香港では新世界発展が、一部の相対融資の返済期限延長について銀行と協議していることがわかり、北京ではパークビュー・グループが有名な商業複合施設を売りに出した。
最近のストレスの兆候は中国の住宅部門にとって、最悪の事態はまだ終わっていないのではないかとの懸念を強めている。同部門はかつて強力な成長エンジンだったが、今では家具から自動車まであらゆる商品の需要を大きく押し下げる要因となっている。特に万科の苦境は憂慮されている。これまでデフォルトを回避してきた数少ない大手建設業者の1社が、流動性危機に苦しんでいることを示しているためだ。一方、香港の同業他社が直面している問題は、国外への感染が広がっていることを意味している。
ルクロー・アナリティクスのシニアクレジットアナリスト、レナード・ロー氏は「最近の政府の政策により悪化速度は鈍化したが、この業界が底を打つには、さらに1-2年を要する可能性がある」と指摘。「このような背景から、全体的なデフォルト率は以前よりもはるかに低くなるはずだが、来年もデフォルトがさらに発生する可能性は排除できない」と述べた。