農場から世界を変える「スカイ ハイ ファーム ユニバース」に注目集まる 「バレンシアガ」とも協業
WWD:会社の仕組みにはどのように生かしている?
シーボルト:私たちの収益モデルは、従来のものとは全く異なる。まず利益の50%を農場に分配し、次に従業員、そして農業コミュニティーや農場に奉仕する人々に分配し、最後に投資家に渡る。伝統的な富のヒエラルキーを覆し、最も資金を必要とする人々を優先している。農業は高度な知識と技術を要する上に、信じられないほど大変で骨の折れる仕事なのに、従事者の給与は低く、適切な報酬を得られていない。そこで私たちは従業員中心の組織を作り、このような制度改革に取り組んでいる人々を評価したいと考えた。
WWD:「DSM」での経験が現在にどう役立っている?
シーボルト:私たちは目に見える製品だけでなく、ビジネス全体をデザインしており、これは川久保玲やエイドリアン・ジョフィ(Adrian Joffe) コム デ ギャルソン インターナショナルCEOから学んだことかもしれない。「DSM」と共に立ち上げた卸売寄付(Wholesale Donation)プログラムでは、商品の卸売価格を少し上げ、上げた分を農場に寄付している。このシステムによって、商品が店頭でどれだけ売れたかにかかわらず、農場にお金が渡るようになる。通常のチャリティープロジェクトでは、製品が市場に出回った後の売り上げの一部が寄付されるが、私たちの場合は、その前後の段階での利益を寄付している。
コラボレーションしたいのは
日本のあのブランド
WWD:「DSM」を経て「スカイ ハイ ファーム ユニバース」に取り組む中で、ファッション業界の環境問題への意識を変えたいと思う?
シーボルト:面白いことに、今の仕事は「DSM」にいたときとそれほど変わらない。構造は違えど、ファッションを用いて別のことを行っているだけ。私たちが模範となり、責任を持って倫理的に製品を生産することは重要だが、大きな変化を生み出すためにはファッション業界全体の力が不可欠だ。だからこそ「コンバース」や「バレンシアガ」「コム デ ギャルソン・シャツ」「ディッキーズ(DICKIES)」などとのパートナーシップが必要だ。私たちが今回のような取材で自分たちの取り組みについて伝えることも大切だが、私たちが提携しているブランドはより大きなオーディエンスを抱えているので、彼らのプラットフォームを通じてさらに多くの人々に農場のストーリーを伝えることができる。そして、従来の慈善活動よりも多くの人々にリーチすることができるポップカルチャーの力を信じている。