【Q&A】波乱含みの米大統領選。どう“決着”がつくの?
投開票日。開票状況を受け、いずれかの候補が敗北宣言を行い、勝者に敗北を認める電話をする――。 【図解】3分でわかるトランプvs.バイデンの争点――次の4年を占う、70代の頂上決戦 従来の米大統領選では見慣れた光景でしたが、今年はそう簡単に決まらないかも知れません。ではどのようなシナリオがあり得るのでしょうか。アメリカ研究が専門の慶應義塾大学SFC教授、渡辺靖氏に聞きました。
Q:いつ勝者が決まるの?
これまでであれば、選挙当日か、翌日の早い段階でどちらかが敗北宣言して決着がついてきました。ところが、今回はそこで終わらないかも知れません。法廷闘争に発展する可能性もありますし、場合によっては連邦議会が選挙結果を決めるという事態になりかねません。
Q:どんな法廷闘争が想定されるの?
郵便投票をめぐって、どこそこ地区の郵便が数えられていないとか、不正に捨てられたとか、無効票になったとか、そういう争いが多いと思います。また、何日までの消印を排除した、といったことでもめる可能性もあります。
Q:「連邦議会が選挙結果を決める」とはどういうこと?
混乱が起き、どちらの候補も選挙人の過半数(270人)を獲得できない状態になれば、連邦議会の下院が大統領を決めることになります。 いまの下院(※議員435人。大統領選と同時に改選されるため状況が変わる可能性がある)は、人数は民主党の方が多いのですが、各州1票になると、共和党が有利なのが26州、民主党優位なのが23州、タイ(同点)がペンシルベニアとなっています。各州1票で共和党が過半数を維持した状態で下院に持ち込まれると、トランプ大統領が勝利します。
Q:民意とは違う結果になるということ?
一般得票数でトランプ大統領が負けて、選挙人でも不利な状況だけど、両陣営とも選挙人270人が獲れないと、連邦議会に持ち込むことによってトランプ大統領が逆転勝利を収めることがあり得るのです。 さらに、もつれにもつれた場合は下院議長が大統領代行になって、来年1月20日に就任式に臨むことになります。 一応、法律に基づいた手続きなので、民主的な手続きに沿っていますが、民意から外れてしまって、かなり正統性の弱いリーダーが誕生してしまう恐れはあります。
Q:連邦議会が大統領を決めたことは過去にあるの?
アメリカの歴史の中で下院が大統領を決めたのは1824年が最後で、もし今回そうなったら196年ぶりです。