大量返品に悩む業者…“返品率95%”のアパレルブランドも「独身の日」中国経済停滞で“異変”…消費行動にも変化
中国では、11月11日の「独身の日」に世界最大級のネットセールが行われている。中国経済の停滞を受け、大規模なセールにも異変が現れている。 【画像】作業場を埋めつくす返品された商品
「独身の日」返品増加や消費行動に変化も
11月11日は、1が並ぶことから、中国では「独身の日」と呼ばれ、大規模なネットセールが行なわれる。 その規模は世界最大級で、日本の年間のネット通販の市場規模(22.7兆円・2022年度)に匹敵する売上(約23兆円・2023年)を、このセール期間で稼ぎだす。2024年は例年より早くスタートした。 日用品大手のSUNSTARも10年前から参戦している。 SUNSTAR上海・藤下佳之副総経理: (売り上げが)最初の爆発よりも、持続的に伸びていく。 大きな売り上げが期待できるセールだが、停滞する中国経済の影響もあり、さまざまな「変化」が生まれてきている。 SUNSTAR上海・藤下佳之副総経理: “背伸び消費”が去年くらいから“身の丈消費”という形で、衝動買いをあまりしなくなった。(SUNSTARは) 過剰な低価格競争には参戦しない。我々の価値を伝えるということが一番大事かなと思っています。 SUNSTARでも以前は売り上げを追求していたが、今はブランドイメージを広める場としての役割を重視しているという。 「変化」はこんなところにもあった。 中国南部の広東省・広州市にある業者では、20人以上のインフルエンサーと契約し、商品の在庫管理や発送作業を代行している。 発送代行業者・謝観林社長: この服は、1日に5000~6000着売れます。 独身の日のセールが始まると、毎日1万以上の荷物を発送するため、作業は深夜2時ごろまで続くそうだ。 そんな業者には悩みのタネがあった。それは「商品の返品」だ。 中国では、オーダーメイドなどの特別な商品以外は、7日以内だと理由がなくても返品が可能だ。特にセール中は、「購入特典」目当ての客が特典だけをもらって商品を返品するケースが後を絶たない。しかも、その返品の配送料は売る側の負担だ。 発送代行業者・謝観林社長: 返品率が上がっていて、今は約40%です。だいたい1日に3000~4000ほどの返品があります。 アメリカの高級アパレルブランドは、約340億円を売り上げたが、返品率が95%に達したと中国メディアが報じた。 中国のウェブマーケティングを行う日系企業は、次のように話す。 unbot・淡路恒平主管: 購買チャンネルも多様化している状況になるので、消費者の嗜好を見抜きつつ、効率的に投資をしていくというところがより求められるような状況になっています。 今後は、「売る」だけではなく、「返品されない戦略」も必要になってきている。
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