実は近代モダン建築の宝庫だった!寺社仏閣だけでない、京都散歩がもっと楽しくなる「建物巡り」最強のお勧めコース
● 京都現代建築の雄「国立京都国際会館」 ここからは同じモダンでも京都を代表する二つの現代建築を見てみましょう。まずはJR「京都」駅から地下鉄烏丸線で20分の終点「国際会館」駅すぐにある「国立京都国際会館」。東海道新幹線の京都への乗り入れを機に、1966(昭和41)年に竣工した日本初の国立の会議施設で、気候変動問題に関する京都議定書が1997年に採択された場所でもあります。 国内初となる公開設計コンペが行われ、195点の応募作品から選ばれたのが、国立代々木競技場や東京都庁を手掛けた丹下健三門下で、モダニズム建築の第一人者である大谷幸夫。やはり東京大学名誉教授で、他に沖縄コンベンションセンター(宜野湾市)などがあります。 高度成長期の真っただ中に建てられ、当時テレビで放映されて子どもたちをワクワクさせていた特撮ものがイメージする未来感を、半世紀以上たった今でも実感できる貴重な空間です。見どころは、神社の社殿を思わせるような日本の伝統様式をモチーフに、台形と逆台形を組み合わせて構成された空間でしょう。 20年ほど前、日本建築学会により「日本のモダン・ムーブメント100選」に選定され、モダン建築として広く知られるようになりました。スタイリッシュな外観と合わせて、インテリアデザイナーの剣持勇が手掛けた館内の調度品や装飾品にも注目です。
● 都の玄関口「京都駅」 最後は、もちろん最初に訪れてもいいのですが、近鉄や地下鉄、東海道新幹線の他にJR各線が集まる京都の玄関口「京都駅」へ。この場所も、南は九条大路まであった平安京のエリア内です。 1877(明治10)年開業時にできた赤れんがの洋風建築の初代、1914(大正3)年竣工の2代目は総ひのき造りのルネサンス建築でした。3代目焼失後の52(昭和27)年には鉄筋コンクリート造りの3代目となり、現在の4代目駅舎は97(平成9)年と、元号に合わせるかのように、時代時代のモダンを更新してきました。 東西約470m、地上16階地下3階建て(最高部約60m)と巨大な4代目駅舎「京都駅ビル」を手掛けた建築家は、後に東京大学名誉教授となった原広司。93年に「空中庭園」で有名な梅田スカイビル、2001年には札幌ドームも手掛けています。地上45mで東西をつなぐ全長185mの「空中径路」は、清水寺など京都市街を見渡すことができる隠れ絶景スポットで、無料の望遠鏡もありますので、忘れずに足を延ばしてみてください。 駅ビル最大の見どころは、巨大な吹き抜け空間である北側の中央コンコース。谷から段々の丘が高低差35mの大階段(171段)で表現され、季節ごとにテーマが変わる18時開始の光と音楽のイルミネーションも。天井には4000枚のガラスの大屋根を冠しています。冬の吹雪の時にはガラス屋根の落下などの困難に見舞われながらもがんばっています。 烏丸通と室町通側にそれぞれ門を配し、ガラスと金属で天井を格子状にしているのは、「京都は歴史への門である」というコンセプトにより、平安京の特徴である碁盤の目をイメージしているからです。 「古都の玄関口らしくないんちゃう?」の一方で、「国際都市にふさわしい新しさ!」など、竣工当時は賛否両論が巻き起こりました。それから27年が経過する間に、「JR京都駅ビル大階段駈け上がり大会」や、東京ディズニーランドのクリスマスツリーより7mも高い巨大ツリーなど、恒例のイベントも定着しています。 駅ビルの烏丸通門の前に立つ地上131mの「京都タワー」は、京都市内で一番高い建物。東海道新幹線開通後の1964(昭和39)年12月28日開業なので、もうすぐ還暦を迎える現代建築ですね。京ろうそくを模したといわれる塔は鉄骨ではなく、特殊鋼板をつなぎ合わせた構造だとか。地上100mにある展望台からの眺望も、一度は体験しておきたいものです。 ◆参考資料◆ 各施設の公式ホームページ #casa THEKYOTO(京都新聞) 【本文で紹介した名所ほか関連リンク集】 らくたび京町家 京都市京セラ美術館 京都府庁旧本館 京都ハリストス正教会聖堂 武徳殿(京都府剣道連盟)salon de 1904(前田珈琲) 顔の家 京都国際マンガミュージアム 新風館 旧京都中央電話局上分局 長楽館 家邊徳時計店(四条繁栄会商店街振興組合) 京都文化博物館別館 国立京都国際会館 京都駅ビル ニデック京都タワー ※( )は遷移先のページ
らくたび/若村亮/ダイヤモンド・ライフ編集部