「粗い試算だ」国民民主の榛葉氏、与党提示の税減収根拠に反発 「103万円の壁」協議
国民民主党は6日の自民、公明両党との税制調査会幹部の会合で、与党側が示した「年収103万円の壁」を178万円に引き上げた場合の税収減の試算が根拠に乏しいとして反発を強めた。国民民主側には政府・与党内で引き上げ時期を来年ではなく令和8年を軸に調整していることへの不満もくすぶり、9日に審議入りする6年度補正予算案に対しても厳しい姿勢で臨むべきだとの意見も飛び出した。 ■2枚の「紙」に怒り 「こんな粗い試算で地方税が足りなくなると騒いでいたのか。納税者や有権者をあまりにもバカにしている」。国民民主の榛葉賀津也幹事長は6日の記者会見で、声を荒らげて与党側の姿勢を批判した。榛葉氏の怒りの原因は、与党側が3党の会合で示した2枚の「紙」にある。 これまで政府は「壁」を178万円に引き上げた場合、国と地方で7兆~8兆円の税減収が見込まれると試算し、地方財源の減収を懸念する全国知事会もこの数字を利用して国民民主への批判を強めていた。 だが、この日示された資料には「10月31日時点での粗い試算であり、相当の幅をもって見る必要がある」と記されていた。榛葉氏は「『数字が粗くて曖昧だ』と認めたペーパーだ。これを基準に財源が足りないというのは話にならない」と怒りをぶちまけた。 ■「数足りぬこと分かっているのか」 国民民主側は「壁」の引き上げ時期に関しても与党側に不信感を募らせる。政府・与党内では来年の通常国会で関連法案が成立したとしても、企業などの事務手続きを考慮し、8年1月から適用するとの案が浮上している。さらには、具体的な引き上げ額も示されていないためだ。 与党側の曖昧作戦に対し、玉木雄一郎代表(役職停止)は4日、記者団に「とても国民の求めるスピード感ではない」と語り、来年1月からの適用を求めた。国民民主を支援する労働組合幹部は「実績がないと、来夏の参院選で戦えない」と本音を漏らす。 そもそも3党協議は少数与党の石破茂政権が安定的に政権を運営するため、国民民主に協力を仰いだのが原点にある。こうした政権側の足元を見透かすように「こんな不誠実な対応が続くならとても補正予算案に賛成できない」(玉木氏)との強硬論も出始めた。