歴代最高の「ムーンスウォッチ」はどれ? オメガを愛する9人のエキスパートに訊いた
オメガ「スピードマスター」をこよなく愛するコレクターたちに、オメガ×スウォッチ「ムーンスウォッチ」のベストバージョンを選んでもらった。 【写真を見る】9人のオメガ・フリークが愛用する「ムーンスウォッチ」を写真で見る オメガ×スウォッチによる「ムーンスウォッチ」が2022年3月に初めて発表されたとき、私はそれがどれほどの出来事であるかを理解していたつもりだった。なにしろ、「ムーンスウォッチ」の列に並んでいて、危うく刺されるところだったという人もいたのだ。 私はこれを、極めて重要なコラボレーションだと考えていた。腕時計の方向性という点でかけ離れた2つのブランドを繋ぐ、強固な橋のようなものだと考えていたのだ。しかし、そんな私も「ムーンスウォッチ」という現象がどれほど大きく、永続的なものになるかは予想していなかったように思う。 あれから2年半、オメガとスウォッチは「ムーンスウォッチ」コレクションをさらに前進させるエキサイティングな新バージョンを発表し続けている。7月に発表された「ミッション トゥ ザ スーパー ブルー ムーンフェーズ」ではパルスメーターを、春に発表されたスヌーピーをフィーチャーした「ミッション トゥ ザ ムーンフェイズ」ではムーンフェイズのコンプリケーションをデビューさせた。 ほかにも、オメガとスウォッチによるコラボレーションの話題は尽きない。両ブランドは長い間、「ムーンスウォッチ」をオンラインで購入できるようにすると約束してきたが、先週ついにそれが実現した(と言っても、今現在ネット購入できるのはオリジナル11種類のうち4種類だけで、アメリカと中国に限られている)。 「ミッション トゥ ムーンシャイン ゴールド」の全バージョンを含めると、「ムーンスウォッチ」のバリエーションは25種類近くになる。ということは、もしあなたが「ムーンスウォッチ」を買いたいと思っているのなら、ちょっとしたガイドが必要ということだ。そこで、オメガ「スピードマスター」の大ファンであり、専門家でもある何人かに、オメガ×スウォッチのコラボレーションのなかからお気に入りのアイテムを紹介してもらうことにした。 ■ロバート=ヤン・ブロア @rjbroer 「ミッション トゥ マーズ」 「私のお気に入りの『ムーンスウォッチ』は、第1弾シリーズからの『ミッション トゥ マーズ』。この時計は、オメガがNASAのために製作した『アラスカプロジェクト』の時計に大きくインスパイアされたものです。オリジナルはペンシル針、白い文字盤、アルミニウム製の赤い保護用アウターケースを備えていました。『ムーンスウォッチ』ではアウターケースの代わりに、バイオセラミックのウォッチケースが赤に彩られています。ほかのほとんどの『ムーンスウォッチ』が空想的なエディションであるのに対し、『ミッション トゥ マーズ』は『アラスカプロジェクト』になぞらえた、とてもクールな腕時計だと思います」 ■ロイ&サシャ・ダヴィドフ @davidoffbrothers ロイ:「ミッション トゥ ネプチューン」 「私は青い文字盤が好きでね。実際、青い文字盤の腕時計をコレクションし始めたんです。だから、この時計はコレクションにぴったり。11のオリジナルモデルのなかで、入手するのが最も難しいものでした」 サシャ:「ミッション トゥ ザ ムーンフェイズ - フルムーン」 「『スピードマスター』のコレクターにとって、白い文字盤はちょっとしたフェティッシュを刺激するものなんです。通常は黒が主流ですからね。また、スヌーピーとのコラボとなれば私にとってはマストアイテム。夏の外出時に理想的な腕時計です」 ■ダーン・デ・グルート @fliptheparrot 「ミッション トゥ サターン」 「最初から私のお気に入りだったのは『ミッション トゥ サターン』でした。色が鮮やかすぎず、とても着けやすいモデルです。同時に、6時位置のサブダイアルに土星が描かれていたりして、個性的でもあります。“パンダ顔”の文字盤は全般的に好きですが、これはそのバリエーションのなかでも素晴らしいですね」 ■ニキ @viennawatchenthusiast 「ミッション トゥ ザ ムーンフェイズ - フルムーン」 「『ミッション トゥ ザ ムーンフェイズ - フルムーン』は、ブランド間の関係と時計の歴史を最もよく表しているモデルだと思います。『ムーンスウォッチ』というのは、オメガというブランドの歴史に深く根ざした、どちらかといえばシリアスな時計をプレイフルにアレンジしたものでした。このバージョンは、オメガの宇宙開発におけるレガシー、特にアポロ計画で象徴的な役割を果たした『スピードマスター』と、スウォッチらしい親しみやすさや楽しさを融合させたものです。アポロ計画にも関係が深い愛すべきキャラクター、スヌーピーのユニークなモチーフは、この時計に遊び心と意味深い要素を加えています」 「様々に存在する『シルバー スヌーピー アワード』バージョンの『スピードマスター』の大ファンでもある私にとって、この『ムーンスウォッチ』はオメガの歴史の重要な側面に触れるための手の届きやすいオプションとなっています。そんなことはどうでもいいという人にとっても、真っ白なケースとストラップを備えたこの時計は、決して場違いにならないかっこいいサマーウォッチと言えるでしょう」 ■ニールス @WatchMyPiece 「ミッション トゥ ザ スーパー ブルー ムーンフェイズ」 「オメガ『スピードマスター』のオーナーとして、『ムーンスウォッチ』の発表には興奮しました。『スピードマスター』の何分の一かの値段で、色やストラップを変えられるなんてクールだと思います」 「今年8月にスウォッチが発表したのが『スーパー ブルー ムーンフェイズ』。ブルーのケースにホワイトの文字盤、ブルーのサブダイアル、そしてムーンフェイズのコンプリケーションという組み合わせは、私にとって最高に美しい『ムーンスウォッチ』となりました。ブラックライトにかざして見てほしいですね」 ■マイケル @BetweenLugs 「ミッション トゥ ザ ムーン」「ミッション トゥ マーズ」 「私は『ムーンスウォッチ』の大ファン。と言っても、最初からそうだったわけではありません。オリジナルの『スピードマスター』のオーナーとして、『スピードマスター』を所有することが安っぽくなるのではと少し心配していたんです。しかし、そんなことはなく、『スピードマスター』の人気はむしろ高まっていきました。『ムーンスウォッチ』を2本(『ミッション トゥ ザ ムーン』と『ミッション トゥ マーズ』)所有する今、私はこれらの時計に夢中になっています。スウォッチは見事なデザインを実現させました。『スピードマスター』の外観を完璧に模しながら、素晴らしいカラーリングも展開させています。とはいえ、ストラップに関しては見た目も感触も最悪。救いはアフターマーケットのストラップです。『ムーンスウォッチ』をネクストレベルに引き上げ、より魅力的でクールなものにしてくれますからね。ストラップを交換した後は『ミッション トゥ ザ ムーン』を身に着けるのが本当に楽しくなりました。しかし、よく褒められるのは『ミッション トゥ マーズ』のほうかもしれません」 ■パクストン・ウォン @wwpax2049 「ミッション トゥ ネプチューン」 「『ムーンスウォッチ』はどれも好きですが、私のお気に入りは『ネプチューン』。“スピーディ”(『スピードマスター』のこと)のDNAを持っていて、快適で軽い。ストラップを着けて、すぐに出かけられます。ブルーは宇宙と空を思わせ、宇宙との繋がりが感じられます」 ──いつ、どこで着用するのですか? 「いつでも。まさに今も」 ■マッテオ・パオレティッチ @doc.o.clock 「ミッション トゥ ジュピター」「ミッション トゥ プルート」「ミッション トゥ マーズ」 「『ミッション トゥ ジュピター』は、発表されてすぐに手に入れた最初の『ムーンスウォッチ』です。『スピードマスター』のファンとして発表に興奮し、手に入れるためにあらゆる手を尽くしました。このモデルを最初に選んだのは、以前から(オレンジの秒針が特徴の)『ウルトラマン』モデルが好きだったから。クロノグラフ針のオレンジの色味がそれを思わせたんです。サンドカラーのケースは、コレクションのなかで最も使い回しやすいものですしね!」 「2番目に手に入れたのが『ミッション トゥ プルート』。その楽しい配色と、パンダ顔の文字盤に惹かれました。ラバーストラップを付けて、最も頻繁に身に着けているのがこれです。クラシカルな『スピードマスター』とはまったく違うのにね。そのユニークさゆえか、見るたびに顔がほころんでしまいます」 「『ミッション トゥ マーズ』は私にとって3本目の『ムーンスウォッチ』ですが、重要性という点で前の2本に決して劣るものではありません。『ミッション トゥ マーズ』は、スウォッチとオメガのコラボレーションが発表されたとき、すぐに欲しかったモデルです。サブダイアルのスペースシャトルのような形のクロノグラフ針と、有名な『スピードマスター アラスカプロジェクト』を明確に意識した全体的な配色に、“スピーディ”ファンとして心が躍らされました。一目惚れでしたね」 From GQ.COM By Cam Wolf Translated and Adapted by Yuzuru Todayama