【保存版】「異例のシーズンだった」PGAツアー。レックス倉本が2024年シーズンを大総括
開幕戦の時期が9月から1月に変更したり、リオ五輪があったりと……、異例続きの1年となった今季のPGAツアー。倉本氏はどう総括するのか。
昨年までと全く違う異例のシーズン
まず、今シーズンのPGAツアーは選手たちにとって「近年まれにみるタフなシーズン」となりました。理由は2つあります。 1つ目は開幕が9月から1月に変更になったことです(開幕が1月になるのは10シーズンぶり)。これによりコンディション調整や、出場試合の選定に大きな変化がもたらされました。 PGAツアーは35~40試合が開催されますが、フルで出場する選手はほとんどいません。昨年の賞金ランク1位のスコッティ・シェフラーや同3位の松山英樹は21試合(PGAツアー以外も含む)に絞って出場していました。 そもそも主戦場となる米国は日本とは違って国土が広大なため、移動時間を確保したりそれに伴うコンディション調整が非常に難しくなります。よって、どの試合に照準を絞り、そのためにはどう休養し移動するのかというプランが非常に重要なポイントになるのです。 開幕が9月から1月になったことで、選手たちはそのプランニングの変更を余儀なくされました。 PGAツアーでは、9月から11月末にかけてフェデックスカップ・フォールという秋季シリーズが行われます。これは賞金総額が概ね1000万ドル以下で、主にランキング中~下位の選手がメインに出場するもの。トッププレーヤーはスキップしたり出場しても数試合で、この時期は調整や休養に当てるのが定石。秋開幕だった昨シーズまでは、この期間にコンディションを整えてから年明けの大会に臨んでいっていました。 しかし、今年の開幕戦は1月の「ザ・セントリー」。これは8つの大会に与えられる「シグニチャーイベント(昇格大会)」の1つで、賞金もフェデックスポイントも通常の大会より多く設定されていました。 つまり選手たちは開幕直後からエンジン全開でスターすることが求められたのです。 タフなシーズンとなった2つ目の理由はパリ五輪の開催です。リオデジャネイロ五輪での競技復活から3大会目となり、「ツアー競技とは違った世界一をかける大会」として認知されてきたためか、多くのトッププロが参戦しました。こちらも移動距離が長く時差もありコースコンディションも異なる環境だったため、選手にとってはフィジカル、メンタルの両面で非常に大きな負担となったことでしょう。