“夢みたいな物語”を歩んできたホーキンソン「次の世代のためにも…」日本代表とBリーグへの思い語る
■「昔は空調がない施設で試合したり…。Bリーグの成長はすさまじい」
――気づけばBリーグ8年目です。来日してから今まで、どんな部分で成長できたと感じますか。 ホーキンソン 8年前にファイティングイーグルス名古屋へ入団したときは、今よりも華奢でした。日本の外国籍のレギュレーションでは重いビッグマンが多いので、来日当初は5番ポジションの選手に対峙するときは少し苦労しましたね。ただ、信州ブレイブウォリアーズに移籍してから、ディフェンス力を向上できたと思います。勝久マイケルヘッドコーチがいて、当時は選手だったアンソニー・マクヘンリー(2023年に現役引退/現B1琉球アシスタントコーチ)、今もプレーしているウェイン・マーシャル選手(現B2信州所属)といった日本のレジェンドと言われるようなベテランの外国籍選手から、どのように守るか、どのように身体を使うか、ディフェンスの構築という部分をたくさん学びました。振り返ってみれば、自分にとって信州での3年間がすごく大きかったです。オフェンスに関しては、所属クラブによって多少役割が変わる部分はありますが、プロキャリアをスタートさせたときから大きな変化はなく、主にディフェンスが日本に来てからかなり向上したと感じています。 ――日本代表選手たちは「バスケ界を盛り上げたい」と口にしてきました。2023年に帰化したホーキンソン選手は、どのような思いでプレーされているのでしょうか。 ホーキンソン 自分のキャリアを振り返ってみると、B2からスタートして、B1に移籍して、帰化をして、日本代表の中心選手になって、という夢みたいな物語が続いています。8年前にこういったキャリアを歩むとはまったく想像していなかったです。一般的にはサクセスストーリーを進んでいるように見えるかもしれませんが、今でも「もっと良い選手になりたい」という思いは変わらないですし、それが自分のモチベーションになっています。 これまで自分自身のステップアップをしてきましたが、日本バスケの成長の助けになりたいとも思っています。そのためにも自分が毎日ベストプレーヤーでいるということを目標にしていますし、誰か自分を支えてくれている人たちがいる限り、そういう人たちを代表してプレーすることを心がけています。次の世代の子たちのためにも、もっとバスケットボールが人気になる、もっとたくさんの人たちがプレーをする、そういうことに貢献できるような“スター選手”のような立ち回りができたらいいなと思っています。 ――“夢のアリーナ”が続々と建設されるなど、Bリーグは急速に成長しています。選手という立場から、このリーグの変化はどう見えているのでしょうか。 ホーキンソン Bリーグの成長は本当に目まぐるしいものがあると思います。自分は特にB2からキャリアをスタートしているので、昔を振り返ると、例えば空調がない施設で試合をしたり、あまり環境が整っていない体育館でプレーをすることもありました。いまB1でずっとプレーしている選手たちのなかには、そういった環境で戦ったことがない選手もちらほらいるだろうなと思ったりもします。Bリーグの成長は本当にすさまじくて、お客さんのパッションであったり、特にこの2、3シーズンはものすごくリーグが熱くなってきています。新しいアリーナもできて、アウェーゲームの際には地域との連係もすごいなと感じます。それぞれのアリーナが独特で、各クラブのファン・ブースターも特徴的な応援をする。お客さんの特別な感情を乗せて、新しいアリーナを建てて、「これが俺たちのチャームポイントだ」と押し出しているチームもたくさんあると思います。そういった遠征も楽しんで、各チームの特色なども感じながら試合に臨むようにしています。 ――今シーズンの開幕戦では完成間もないハピネスアリーナ(長崎)でプレーし、日本代表のチームメートである馬場雄大選手ともマッチアップしました。 ホーキンソン ハピネスアリーナだけでなく長崎市に行くこと自体が初めてだったので、長崎という街も含めて素晴らしい場所だなと遠征を楽しんでいました。ただアリーナが大きいだけじゃなくて、選手のプレーがよく見えるスタンドの構造も素晴らしいなと思いましたね。 うちのチームはスイッチディフェンスが多くて、ババとマッチアップすることがありました。特にGAME1ではショットクロックぎりぎりで一対一を仕掛けてきて決められてしまいましたが、GAME2は向こうもスイッチしてきてやり返す場面がありました。代表で仲良くしていたマイキー(川真田紘也)ともマッチアップする機会があって、すごく楽しい瞬間でした。 ――今シーズンは日本代表でチームメートだった渡邊雄太選手が千葉ジェッツに加入しました。シーズン終盤の第31節(4月12日・同13日)に対戦します。 ホーキンソン 元NBA選手がBリーグに入ってきてくれるということは、日本のバスケットボール業界にとって非常に大きなことだと思います。彼は衰えていないですし、ベテランというわけでもない。プライムタイム(脂が乗っている時期)という非常にいいタイミングで戻ってきてくれたので、リーグ自体の競争力を上げてくれる選手だと思います。個人的には彼とは代表のチームメートとしてプレーしてきたので、プレシーズンゲームで彼とマッチアップする時間も楽しめましたし、レギュラーシーズンでは4月まで対戦することはないですけど、また彼とマッチアップする機会があれば非常に楽しみです。 ――サンロッカーズ渋谷としては大きな期待を寄せられるシーズンです。加入2年目のホーキンソン選手が感じるチャンピオンシップ(CS)進出へのキーポイントは何でしょうか。 ホーキンソン 昨シーズン、シーホース三河と1ゲーム差、千葉ジェッツとは得失点5点差でCS進出を逃したことを踏まえ、全てのゲームが重要になってくると思います。それを達成するためにはチームメート、ヘッドコーチ、それを支えるコーチングスタッフなど含め、自分たちを信じて戦っていかないといけないと思います。自分たちはディフェンスのチームなので、しっかりと相手の守るべきところを抑えて、自分たちは効率よく点を取る、そういったことを継続して前に進んでいきたいです。新加入選手もいい選手が入ってきてくれましたし、コアとなる選手たちは残ってくれたということもあります。中地区は激戦ですけど、昨シーズンよりも多くの勝ちを積み重ねていけるという自信はありますし、昨シーズン達成できなかったCSを勝ち取りたいと思います。 ――最後に今シーズンの目標と、ファンへのメッセージをお願いします。 ホーキンソン 目標は「毎日いい選手になる」ということを続けていくことです。日々ベストを更新していくことは忘れずに取り組んでいきたいと思っています。チームとしては、まずCSに出場しないとBリーグチャンピオンになるチャンスすらないので、まずはその舞台に立てるように一つひとつ積み上げていきたいと思います。 ファンの皆さんのサポートは本当に素晴らしいです。大きな期待を寄せてくれていると思いますので、そこに応えられるように頑張ります。青山学院記念館でのホームゲームもあるので、私自身に対してもそうですが、サンロッカーズ渋谷というチームを応援していただけるとうれしいです。引き続き応援よろしくお願いします。 取材・文=藤田皓己
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